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月間アクセス数別に選ぶクラウドサービス:AWS、Azure、GCP、OCIのおすすめ

はじめに

システムの規模やトラフィック量は、クラウドサービスを選ぶ際の重要な基準です。本記事では、月間アクセス数を目安に、1万未満、10万未満、100万未満、そしてそれ以上の規模に応じたクラウドサービス選択のポイントを解説します。コスト効率、運用性、拡張性に注目し、システムエンジニアが適切なサービスを選べるようサポートします。


1. 月間アクセス数:1万未満

特徴と要件

  • 小規模なウェブサイトやアプリケーション。
  • コストを抑えたいが、今後の成長に備えて柔軟な環境を確保したい。
  • トラフィック変動は少なく、シンプルなアーキテクチャで十分。

推奨クラウドサービス

AWS

  • Amazon Lightsail: 小規模プロジェクト向けに最適化された低価格で使いやすい仮想サーバー。
  • AWS Lambda: サーバーレスで運用コストを削減。小規模アプリに適している。

Azure

  • Azure App Service: アプリケーションのホスティングが簡単で、スモールスタートに最適。
  • Azure Functions: サーバーレス環境でコストを抑えつつ運用可能。

GCP

  • Firebase Hosting: 小規模ウェブアプリに最適なホスティングサービス。
  • Cloud Run: サーバーレスでトラフィックに応じた課金体系が魅力。

OCI

  • Always Free Tier: 無料枠で仮想マシンやデータベースを提供。初期コストを抑えたいプロジェクトに向く。

2. 月間アクセス数:10万未満

特徴と要件

  • 中規模なウェブサイトやモバイルアプリケーション。
  • トラフィックの増加に対応可能なスケーラブルな環境が必要。
  • コストとパフォーマンスのバランスを重視。

推奨クラウドサービス

AWS

  • Amazon EC2(Tインスタンス): 低負荷の常時稼働アプリケーションに向けたコスト効率の良い仮想マシン。
  • Elastic Beanstalk: 自動スケーリング機能を持つ簡易デプロイメント環境。

Azure

  • Azure Virtual Machines(Bシリーズ): コストパフォーマンスに優れた仮想マシンで、一定の負荷に対応可能。
  • Azure Kubernetes Service(AKS): 中規模なトラフィックに耐える柔軟なクラウドネイティブ環境。

GCP

  • Compute Engine(E2インスタンス): 高パフォーマンスで中規模トラフィックに適した仮想マシン。
  • GKE(Google Kubernetes Engine): スケーラブルなマイクロサービスアーキテクチャを構築可能。

OCI

  • Compute Instances(Flexible型): 柔軟なリソース割り当てでコスト最適化が可能。
  • Autonomous Database: 自動チューニングにより、データベース運用の負荷を軽減。

3. 月間アクセス数:100万未満

特徴と要件

  • 高負荷なアプリケーションやEコマースサイト。
  • パフォーマンス最適化やキャッシュ戦略が必要。
  • データベースの負荷分散や自動スケーリングが重要。

推奨クラウドサービス

AWS

  • EC2(MまたはCインスタンス): 負荷が高いトラフィックに対応可能な仮想マシン。
  • Amazon RDS: 高負荷トラフィックを処理するリレーショナルデータベース。
  • CloudFront: グローバルCDNを活用してレスポンスを最適化。

Azure

  • Azure Virtual Machines(Dシリーズ): 高いコンピューティングパワーを持つインスタンス。
  • Azure SQL Database: 大規模データ処理向けにスケーラビリティを提供。
  • Azure Front Door: トラフィック分散と高速コンテンツ配信。

GCP

  • GKE(Google Kubernetes Engine): オートスケーリングで大規模トラフィックに対応可能。
  • Cloud Spanner: 分散型データベースで高負荷を処理。
  • Cloud CDN: コンテンツ配信を最適化し、応答時間を短縮。

OCI

  • Compute Instances(High Performance): 高パフォーマンスが必要なアプリケーション向け。
  • Oracle Exadata Cloud Service: 高負荷のデータベース処理に最適。

4. 月間アクセス数:100万以上

特徴と要件

  • グローバル規模のトラフィックに対応するため、スケーラブルなインフラが必須。
  • 複雑な負荷分散戦略と、高度なセキュリティ機能が必要。
  • データ分析やリアルタイム処理が求められる場合が多い。

推奨クラウドサービス

AWS

  • EC2(RまたはXインスタンス): メモリ集約型ワークロードに対応。
  • Global Accelerator: グローバルユーザー向けの高速化ソリューション。
  • Redshift: 大規模データ分析を迅速に行えるデータウェアハウス。

Azure

  • Azure Virtual Machines(Eシリーズ): 大量データ処理に最適。
  • Azure Synapse Analytics: 大規模なデータ分析基盤。
  • Azure Traffic Manager: グローバルトラフィックの効率的な分散。

GCP

  • BigQuery: リアルタイムのデータ分析が可能なウェアハウス。
  • Anthos: 複数クラウドをまたぐハイブリッド運用が可能。
  • Cloud Load Balancer: グローバル負荷分散でトラフィック最適化。

OCI

  • Bare Metal Instances: ハイパフォーマンスで負荷の高いアプリケーションに適合。
  • Oracle Analytics Cloud: データ分析とダッシュボード機能を提供。
  • FastConnect: 高速でセキュアなオンプレミス接続。

結論

システムの規模やトラフィック量に応じたクラウドサービスの選択は、運用効率とコスト管理に直結します。以下を目安に検討してください。

  • 1万未満: Firebase(GCP)、Lightsail(AWS)などのローコストサービス。
  • 10万未満: 自動スケーリング機能を持つ中小規模の仮想インスタンス。
  • 100万未満: 高負荷トラフィック対応のスケーラブルなリソース。
  • 100万以上: グローバルな負荷分散と高度な分析機能を備えた環境。

選定時にはトラフィックの成長予測や将来の拡張性も考慮しましょう。

投稿者 greeden

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