person holding iphone showing social networks folder
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はじめに

ウェブコンテンツのアクセシビリティを向上させるためのガイドライン「WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)」は、多くの人々がオンラインコンテンツを利用する際のバリアを取り除くために重要な役割を果たしています。WCAG 2.2のガイドラインは、視覚障害や認知障害を持つユーザーなど、様々なニーズを持つユーザーに対してより良いウェブ体験を提供するための具体的な基準を示しています。本記事では、その中でも特に重要な「テキストの代替」に焦点を当て、ガイドラインの内容を詳しく解説します。

テキストの代替とは

テキストの代替(Text Alternatives)は、視覚的なコンテンツに代わるテキスト情報を提供することを指します。これにより、スクリーンリーダーなどの支援技術を使用するユーザーがコンテンツの意味を理解できるようになります。具体的には、画像、動画、グラフィックスなどの視覚的な要素に対して、その内容を説明するテキストを提供します。

主な要点

  • 目的: すべてのユーザーが情報にアクセスできるようにすること。
  • 適用範囲: 画像、動画、ボタン、リンクなどのインターフェース要素。
  • ツール: スクリーンリーダー、音声ブラウザ、点字ディスプレイなどの支援技術。

テキストの代替は、単にアクセシビリティを向上させるだけでなく、SEO(検索エンジン最適化)の面でも有利です。テキストを用いた代替情報が検索エンジンによって評価されるため、ウェブサイトの検索結果が改善される可能性があります。

WCAG 2.2の基準とテキストの代替

WCAG 2.2では、テキストの代替についていくつかの重要なガイドラインが示されています。特に注目すべき基準には次のようなものがあります。

1.1.1 非テキストコンテンツ

この基準では、すべての非テキストコンテンツに対して、適切なテキスト代替を提供することが求められます。たとえば、画像には「alt属性」を使用して簡潔でわかりやすい説明を提供します。また、複雑なグラフィックスやチャートには、長文の説明を別途提供する必要があります。

ポイント

  • シンプルな説明: 基本的な画像やアイコンには短い説明を。
  • 詳細な代替: グラフやチャートなど、複雑な視覚情報には詳細な説明文を提供。
  • 装飾的な要素: 装飾的な画像は「alt=“”」とし、スクリーンリーダーでスキップ可能に。

1.1.2 リンクやボタンのラベル

リンクやボタンのテキスト代替は、その操作が何を意味するのかを明確に伝える必要があります。「クリックしてください」などの曖昧な表現ではなく、「購入手続きを開始する」や「お問い合わせページに移動する」といった具体的なアクションを示す言葉を使います。

世界情勢とウェブアクセシビリティの重要性

ウェブアクセシビリティは、単に法律や規制の遵守という側面だけではなく、社会的なインクルージョンの観点からも非常に重要です。特に新型コロナウイルスのパンデミック以降、オンラインでの情報提供やサービス利用が急速に拡大し、アクセシビリティの必要性が高まっています。障害を持つユーザーだけでなく、高齢者や一時的な障害を持つユーザー、低速なインターネット環境でウェブを利用するユーザーにも対応するため、アクセシブルなウェブコンテンツの提供は不可欠です。

世界的な取り組み

  • アメリカ: ADA(Americans with Disabilities Act)により、公共のウェブサイトはアクセシブルであることが求められています。
  • ヨーロッパ: EUでは、Web Accessibility Directiveによって公共部門のウェブサイトおよびアプリがアクセシブルであることが義務付けられています。
  • アジア: 日本でも、JIS X 8341-3という国内規格に基づき、公共機関だけでなく民間企業もアクセシビリティ対応を進めています。

具体的な実装方法

画像の代替テキスト(altテキスト)

  • シンプルな画像: 例:「風景の写真」「猫のイラスト」
  • 複雑な図表: 例:「棒グラフは、2020年から2023年にかけての売上の変化を示しており、2021年には20%の増加が見られる」

ボタンやリンクのラベル

  • 悪い例: 「こちらをクリック」
  • 良い例: 「資料をダウンロードする」

メディアの代替

動画には字幕や音声解説、ライブ放送にはリアルタイムの字幕や手話通訳が求められます。

まとめ

ウェブアクセシビリティの観点から、テキストの代替は非常に重要な要素です。WCAG 2.2のガイドラインに沿って適切なテキスト代替を提供することで、多くのユーザーに対して情報のアクセシビリティを確保することができます。アクセシブルなウェブデザインは、法的な義務を果たすだけでなく、より広範なユーザー層にリーチし、インクルーシブな社会の実現に貢献します。

ウェブ開発者やコンテンツ制作者の皆さんは、テキストの代替を効果的に活用することで、誰もが平等に情報を享受できるインターネット環境を目指していきましょう。

対象読者と影響

このガイドラインは、ウェブ開発者、コンテンツ制作者、プロジェクトマネージャー、UXデザイナー、およびアクセシビリティコンサルタントにとって非常に有益です。また、公共機関や企業のウェブサイト運営者にとっても、法的遵守の観点から必須の知識と言えるでしょう。最終的には、誰もが使いやすいウェブを実現するための基盤となります。

このように、テキストの代替はウェブアクセシビリティの基本中の基本です。正しい実装を行うことで、多様なユーザーのニーズに応え、すべての人にとって快適なインターネットを提供する一助となります。


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投稿者 greeden

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