ウェブアクセシビリティは、すべての人がウェブコンテンツに平等にアクセスできることを目指す重要な取り組みです。アクセシビリティの試験を適切に実施することで、ウェブサイトやアプリケーションがアクセシビリティ基準に準拠しているかを確認し、改善点を見つけることができます。本ガイドラインでは、ウェブアクセシビリティの試験実施に関する基本的なステップと方法について解説します。

1. 試験の目的と範囲の明確化

1.1 目的の設定

アクセシビリティ試験を行う前に、その目的を明確にしましょう。試験の目的には以下のようなものがあります。

  • アクセシビリティ基準への準拠確認: WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)などの国際標準に準拠しているかどうかを確認します。
  • ユーザー体験の向上: 障害を持つユーザーや高齢者など、幅広いユーザー層が快適に利用できるかを確認します。
  • 法的リスクの軽減: アクセシビリティ関連の法律や規制に準拠しているかを確認します。

1.2 試験範囲の決定

試験を実施する範囲を明確に定めます。すべてのページや機能を対象にするのか、特定のページや重要な機能のみを対象にするのかを決定します。また、PC、スマートフォン、タブレットなど、どのデバイスやブラウザで試験を行うのかも設定します。

2. 試験方法の選定

2.1 自動試験ツールの活用

自動試験ツールは、短時間で多くのアクセシビリティ問題を検出するのに有効です。以下のようなツールが一般的に使用されます。

  • axe: ウェブブラウザの拡張機能として利用でき、リアルタイムでアクセシビリティの問題を検出します。
  • WAVE: ウェブアクセシビリティの問題を視覚的に表示し、改善点を明確にします。
  • Lighthouse: Googleが提供するツールで、アクセシビリティだけでなくパフォーマンスやSEOの評価も行います。

自動ツールは便利ですが、すべての問題を検出できるわけではないため、あくまで補助的な手段として使用します。

2.2 手動試験

手動試験では、実際に人間がウェブサイトを操作してアクセシビリティを評価します。以下のポイントを確認します。

  • キーボード操作の確認: マウスを使わずにキーボードだけでサイトを操作できるかどうかを確認します。タブキーでのフォーカス移動が適切か、エスケープキーでのモーダルウィンドウの閉じなどが確認項目です。
  • スクリーンリーダーの使用: スクリーンリーダー(例:NVDA、JAWS、VoiceOverなど)を使用して、音声読み上げが正しく行われるかを確認します。特にフォームのラベルやリンクのテキストが適切かどうかが重要です。
  • コントラスト比の確認: テキストと背景のコントラスト比がWCAGの基準(通常は4.5:1以上)を満たしているかを確認します。

2.3 ユーザビリティテスト

実際の障害を持つユーザーや高齢者など、ターゲットユーザーに試験を依頼し、実際の使用感を確認します。この方法は、ユーザーが直面するリアルな課題を発見するのに非常に効果的です。ユーザビリティテストでは、観察やインタビューを通じて、どの部分で困難を感じたか、どのような改善が必要かを洗い出します。

3. 試験結果の評価と報告

3.1 問題の分類と優先順位付け

試験で見つかった問題を分類し、修正の優先順位を決めます。問題は以下のように分類できます。

  • 重大な問題: サイトの利用に大きな支障をきたす問題(例:フォーム送信ができない、重要な情報がスクリーンリーダーで読み上げられないなど)。
  • 中程度の問題: 利用に多少の支障をきたすが、代替手段がある問題(例:キーボード操作でアクセスできないリンクがあるが、他の方法でアクセスできるなど)。
  • 軽微な問題: 利用にあまり影響しないが改善が望ましい問題(例:コントラスト比がわずかに基準を満たしていないなど)。

3.2 改善提案の作成

検出された問題に対して、具体的な改善策を提案します。提案は、技術的な詳細を含め、開発者がすぐに実施できるような形で提供することが望ましいです。

3.3 レポートの作成

試験結果と改善提案をまとめたレポートを作成します。レポートには以下の内容を含めます。

  • 試験の概要: 試験の目的、範囲、使用したツールや方法。
  • 問題の一覧: 検出された問題の詳細と優先順位。
  • 改善策: 各問題に対する具体的な改善提案。
  • 次のステップ: 改善後の再試験や定期的な試験スケジュールなど。

4. 改善の実施と再試験

4.1 改善の実施

試験結果に基づき、開発者とデザイナーが問題の修正を行います。修正の際には、再度アクセシビリティ基準に基づいて適切に実装されているかを確認します。

4.2 再試験の実施

修正が完了したら、再度試験を実施し、改善が適切に行われたかを確認します。再試験でも新たな問題が発見されることがあるため、継続的な改善が必要です。

5. 継続的なアクセシビリティ管理

アクセシビリティは一度達成すれば終わりではなく、継続的に管理することが重要です。定期的にアクセシビリティ試験を実施し、新しいコンテンツや機能が追加されるたびに確認することを推奨します。また、ユーザーフィードバックを活用し、現場の声を反映した改善を続けることが、すべてのユーザーにとって使いやすいウェブサイトの実現につながります。

まとめ

ウェブアクセシビリティの試験は、すべてのユーザーがウェブコンテンツにアクセスできるようにするための重要なプロセスです。自動試験、手動試験、ユーザビリティテストの組み合わせを活用し、問題を的確に検出・修正することで、アクセシビリティの向上を図りましょう。本ガイドラインを参考に、効果的なアクセシビリティ試験を実施し、より良いウェブ体験を提供するための継続的な改善を続けてください。


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投稿者 greeden

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