JIS X 8341-3:2016は、日本国内におけるウェブアクセシビリティの標準規格であり、ウェブコンテンツがあらゆるユーザーにとって使いやすくなることを目指しています。「知覚可能」のガイドラインの中に含まれる「判別可能」は、特に視覚や聴覚の制約を持つユーザーにとって情報が明確に認識できるようにするための基準です。本記事では、JIS X 8341-3:2016の「判別可能」に関する要件と、それを達成するための具体的な方法について詳しく解説します。
「判別可能」とは?
「判別可能」は、ウェブコンテンツの情報や構造が、ユーザーによって明確に識別・認識できるようにすることを目的としています。視覚や聴覚、あるいはその他の身体的制約を持つユーザーにも正確に情報が伝わるように設計することが求められます。これには、テキストのコントラスト、音声の明瞭さ、コンテンツの読みやすさといった要素が含まれます。
「判別可能」の主要な達成基準
「判別可能」に関する主な達成基準を以下に紹介します。これらの基準をクリアすることで、コンテンツがより多くのユーザーにとって利用しやすくなります。
1. コントラストに配慮したデザイン
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文字と背景のコントラスト比
視力に制限のあるユーザーにとって、文字が背景と区別しにくいと情報が認識できません。JIS X 8341-3:2016では、最低でも文字と背景のコントラスト比が4.5:1以上であることが求められています。大きなテキストの場合は3:1以上とし、アクセシブルなデザインを心掛けましょう。 -
コントラストチェックツールの活用
デザイン時にはコントラスト比を確認できるツール(例: WebAIMのコントラストチェッカーなど)を使用し、基準を満たしているかを確認します。
2. 色のみに依存しない情報提供
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色覚異常に配慮した設計
情報が色のみによって伝えられている場合、色覚異常を持つユーザーにはその情報が伝わりません。例えば、エラーメッセージを赤色で強調する場合、必ずアイコンやテキストで補足し、色の違いが分からなくても意味が理解できるようにします。 -
色以外の視覚的手段を使用
グラフやチャートなどでは、異なる色を使うだけでなく、異なるパターンやテクスチャを加えるなどの工夫を施し、色以外の手段で情報を伝えることが重要です。
3. テキストの可読性を高める
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フォントサイズの調整
小さすぎるフォントは読みづらいため、最低でも12pt以上のフォントサイズを使用し、ユーザーが自分のデバイスで文字を拡大できる設定を提供します。また、行間や文字間隔も調整し、テキストが詰まらず読みやすくすることがポイントです。 -
視覚的な強調に留意
重要な情報やリンクには、色だけでなく太字や下線を用いるなど、視覚的な強調方法を組み合わせて用います。ただし、過度な強調は逆に読みづらさを引き起こすため、バランスの取れたデザインを心がけましょう。
4. 音声情報と代替手段の提供
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字幕と文字起こしの提供
音声コンテンツや動画には必ず字幕をつけるか、音声の内容を文字起こししたテキストを提供します。これにより、聴覚障害を持つユーザーや、音声を聞くことが難しい環境にいるユーザーにも情報が伝わります。 -
視覚的な警告と音声警告の併用
アラート音や音声ガイドだけに頼らず、視覚的なメッセージも併用することで、聴覚障害を持つユーザーが警告や通知を認識しやすくします。
5. 動的コンテンツの視覚的安定性
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点滅や急な動きの回避
点滅や急な動きを含むコンテンツは、光感受性発作を引き起こすリスクがあります。そのため、動きの速さを調整し、ユーザーがアニメーションを一時停止またはスキップできる機能を提供することが重要です。 -
動画やスライダーの操作性向上
自動再生する動画やスライダーには、停止ボタンや速度調整機能をつけ、ユーザーが視覚的な安定性を保ちながら操作できるように設計します。
「判別可能」のガイドラインを守る意義
「判別可能」の基準を守ることは、視覚や聴覚、その他の身体的制約を持つユーザーだけでなく、年齢や環境によって視認性が変わるすべてのユーザーにとって有益です。例えば、屋外でスマートフォンを使う際の画面の反射や、暗い場所でのコンテンツの視認性など、様々なシチュエーションで効果を発揮します。また、これによりウェブサイト全体のユーザビリティが向上し、離脱率の低下やコンバージョン率の向上といったビジネス上のメリットも期待できます。
まとめ
JIS X 8341-3:2016「知覚可能」のガイドラインの一部である「判別可能」は、ウェブコンテンツが誰にとっても使いやすく、アクセスしやすいものになるための重要な基準です。コントラストの配慮や色覚異常への対応、テキストの可読性向上、音声コンテンツの代替手段の提供など、多様なユーザーが情報を正しく認識できるようにするための具体的な対策を実践しましょう。このガイドラインに基づくデザインと実装を徹底することで、より多くの人にとって利用しやすいウェブ環境が整い、ユーザーの満足度とアクセスのしやすさが向上します。
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