WCAG 2.2 ガイドライン「1.4.7 背景音が低いまたはない」Level AAA について
はじめに
WCAG 2.2の「1.4.7 背景音が低いまたはない」は、音声のみの事前録音コンテンツで主に音声(スピーチ)が含まれる場合に適用されるガイドラインです。この基準は、背景音がスピーチを妨げることなく、内容が明瞭に聞こえるようにすることを求めています。
適用条件
以下の条件を満たす場合、このガイドラインが適用されます:
- 主にスピーチが含まれている
背景音よりもスピーチが主要なコンテンツである。 - オーディオCAPTCHAやオーディオロゴではない
CAPTCHAや短いブランドロゴのようなコンテンツは対象外。 - 主に音楽表現ではない
歌やラップなどの音楽的な音声コンテンツは対象外。
1. 要件の内容
スピーチが含まれる音声のみのコンテンツにおいて、次のいずれかを満たす必要があります:
- 背景音が全くない。
- 背景音がスピーチより少なくとも20デシベル(dB)低い。
- ユーザーが背景音をオフにできる設定がある。
2. 実装方法
a. 背景音を完全に除去する
背景音が不要な場合は、録音時または編集時に削除します。
録音時の注意点
- 静かな環境で録音を行う。
- 録音機器のノイズキャンセリング機能を使用する。
編集時のツール
- AudacityやAdobe Auditionなどの音声編集ソフトで背景音を削除。
b. 背景音をスピーチより20dB低くする
背景音を完全に除去できない場合は、スピーチと比較して音量を十分に低く調整します。
具体例
- スピーチの音量が80dBであれば、背景音の音量は60dB以下に設定します。
Audacityでの編集手順
- 背景音のトラックとスピーチのトラックを分けて編集。
- 背景音の音量を調整し、スピーチより20dB以上低く設定。
- 両方のトラックをミックスして出力。
c. ユーザーが背景音をオフにできる設定を提供
背景音がある場合、ユーザーがオン/オフを切り替えられる機能を提供します。
HTMLとJavaScriptの例
HTML
<audio id="audioPlayer" controls>
<source src="speech-with-background.mp3" type="audio/mpeg">
このブラウザは音声をサポートしていません。
</audio>
<button id="toggleBackground">背景音をオフにする</button>
JavaScript
const audioPlayer = document.getElementById('audioPlayer');
const toggleButton = document.getElementById('toggleBackground');
toggleButton.addEventListener('click', () => {
const withBackground = 'speech-with-background.mp3';
const withoutBackground = 'speech-only.mp3';
if (audioPlayer.src.includes(withBackground)) {
audioPlayer.src = withoutBackground;
toggleButton.textContent = '背景音をオンにする';
} else {
audioPlayer.src = withBackground;
toggleButton.textContent = '背景音をオフにする';
}
audioPlayer.play();
});
3. よくある失敗例とその対策
a. 背景音がスピーチを覆い隠している
失敗例
- 背景音がスピーチと同じかそれ以上の音量で再生され、聞き取りが難しい。
対策
- 音声編集ソフトを使用して、背景音を減少させる。
- スピーチの音量を上げて、背景音とのコントラストを強化。
b. 背景音を完全に除去できない
失敗例
- ノイズや環境音が録音に含まれており、削除されていない。
対策
- 録音時に静かな環境を選択。
- 編集ソフトでノイズリダクション機能を活用。
4. 実装時の注意点
a. 音声編集の精度
- スピーチが聞き取りやすくなるように音声編集を行います。
- 背景音の種類によっては、完全に除去するのではなく、音量を調整する方法が適切です。
b. ユーザー選択肢の提供
- ユーザーが背景音をオン/オフに切り替えられると、多様なニーズに対応できます。
5. アクセシビリティのメリット
a. 聴覚障害者や高齢者への配慮
- 聴覚障害のあるユーザーや高齢者でも、スピーチを明確に聞き取れるようになります。
b. 騒音環境での利用
- 騒音の多い場所や、音声再生が制限される環境でも快適に利用できます。
まとめ
WCAG 2.2の「1.4.7 背景音が低いまたはない」は、スピーチが主な内容である音声コンテンツにおいて、背景音がスピーチを妨げないようにする基準です。
実装ポイント
- 背景音を完全に除去する。
- 背景音の音量をスピーチより20dB以上低く設定する。
- ユーザーが背景音をオフにできる機能を提供する。
これらの基準を満たすことで、幅広いユーザーにとって利用しやすい音声コンテンツを作成できます。
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