すべての人に伝わる文章を目指して:Webアクセシビリティ対応ライティングの基本と実践
Webサイトの文章は、単に情報を伝えるだけでなく、「誰にでも正確に、ストレスなく届く」ものであることが求められます。視覚障害や認知障害のある方、日本語に不慣れな方、高齢者、または情報処理が得意でないユーザーなど、多様な背景を持つ人々がWebを利用しています。
そのため、「わかりやすい文章を書く」ということは、Webアクセシビリティを高めるうえで欠かせない取り組みの一つです。
本記事では、Webアクセシビリティに配慮したライティングの基本原則と、実際に使えるテクニック、実例を交えながらわかりやすくご紹介します。
1. アクセシブルなライティングとは何か?
アクセシブルなライティングとは、すべての人が理解しやすいように工夫された文章のことを指します。以下のような特性を持つ人にとって特に重要です。
- 視覚障害がある人:スクリーンリーダーで読み上げたときに意味が正しく伝わる必要があります
- 認知特性に多様性がある人:情報を整理し、段階的に理解できるような構成が求められます
- 外国人や日本語が苦手な人:やさしい表現で簡潔に説明されていると理解しやすくなります
- 高齢者や子ども:漢字の多用を避け、文を短くし、慣用句や専門用語を避ける工夫が必要です
2. アクセシブルな文章を書くための基本原則
1. 平易な言葉を使う
- 難解な漢字や専門用語、外来語は避け、誰にでもわかる表現に置き換える
- ❌ コンセンサスを得る → ✅ 意見をまとめる
- ❌ エビデンス → ✅ 証拠、裏付け
2. 文を短く区切る
- 1文を60文字以内に収めるのが理想
- 接続詞や読点(、)を使って情報を整理し、文章を視覚的にも読みやすく
3. 主語と述語を明確にする
- 主語が不明瞭な文章は、スクリーンリーダー使用者や認知機能に課題のある方には理解しにくくなります
4. 視覚に頼らない表現を使う
- 「右のボタンを押してください」「赤い文字を読んでください」などの視覚的な説明だけでは情報が伝わらないことがあります
- ✅ 「[送信] ボタンを押してください」や「重要な情報は太字で表示されています」といった表現に改善
5. 適切に情報を構造化する
- 見出し・箇条書き・表の活用で、文章を論理的に整理
- 長文は段落を分け、ひとつの段落にひとつのトピックだけを扱う
3. ライティングにおける具体的な工夫とテクニック
よく使われる難解語の言い換え例
難解な語句 | わかりやすい言い換え |
---|---|
迅速に | すぐに、速く |
ご確認ください | 見てください |
ご了承願います | わかってください |
実施する | 行う |
〜に関して | 〜について |
読みやすい文章の構成例(改善前と改善後)
❌ 改善前:
ご利用に際しましては、所定の手続きを実施し、必要書類をご提出いただくこととなっておりますので、予めご了承願います。
✅ 改善後:
このサービスを使う前に、手続きが必要です。書類を用意して提出してください。
簡潔で、主語と述語が明確になり、読みやすさが大きく向上しています。
4. 情報の優先順位とインバーテッドピラミッド構成
アクセシブルなライティングでは、**「重要なことを先に書く」**という原則が非常に重要です。これはインバーテッドピラミッド(逆三角形)と呼ばれる構成で、特にWebにおいて有効です。
構成の例:
- 結論・概要(何が重要か)
- 理由や背景(なぜ重要か)
- 詳細な説明(どのように)
- 補足情報(参考や関連)
このように構成することで、ユーザーは途中で読むのをやめても、重要な情報を確実に得られます。
5. ライティングの品質をチェックするためのツールと指標
アクセシブルな文章かを確認するチェックリスト
- ✅ 文章が短く、明確か?
- ✅ 難解な語や専門用語は避けられているか?
- ✅ 色や位置だけに頼らない表現になっているか?
- ✅ 読点や句読点で読みやすく区切られているか?
- ✅ スクリーンリーダーでの読み上げに配慮されているか?
活用できるツール例
- VoiceOver / NVDA / JAWS:スクリーンリーダーでの読み上げ確認
- やさしい日本語チェッカー:文章の平易性を確認
- テキスト難易度分析ツール:読みやすさのスコア化
6. まとめ:ライティングからはじめるアクセシビリティ
わかりやすい文章は、すべての人への思いやりです。特別な技術がなくても、言葉の選び方や文の構成を少し工夫するだけで、多くの人にとって読みやすく、理解しやすい情報提供ができます。
ライティング改善のポイントまとめ:
- やさしい言葉を選ぶ
- 短く、区切られた文にする
- 論理構造を意識して段落・見出しを整える
- 主語と述語を明確に
- 視覚情報だけに頼らず、言葉で正確に伝える