【授業レポート】システム開発入門 第24週目 〜生成AI入門:仕組みと使い方の基礎〜
24週目の授業では、来週から始まる「生成AI(Generative AI)」の実践に備えて、基礎概念・倫理・プロンプト設計の初歩を学ぶプレ準備回が行われました。外部API連携で得た知識を踏まえ、「生成モデルって何ができるの?」という問いにクラスで向き合った回です。
■ 先生の導入:「道具を知って、正しく使うことが最優先」
田中先生:「生成AIはとても強力な道具です。まずは『仕組み/できること・できないこと/使うときのルール』を理解しましょう。」
先生は簡単な比喩で導入。生成AIは「巨大な文章の倉庫を参照して新しい文章を組み立てる道具」であり、人間と同じように常に正しいとは限らないことを強調しました。
■ 今日のポイント:生成AIの基本概念と注意点
授業では以下の項目をわかりやすく整理しました。
- 生成AIとは:テキスト・画像・音声などを「生成」するAIの総称(例:文章を作るモデル、画像を作るモデル)。
- 学習データとバイアス:モデルは過去のデータから学ぶため、偏り(バイアス)が含まれることがある。
- 正確性の限界:生成結果は“信頼できる一次情報”ではない。事実確認(検証)が必要。
- 倫理と著作権:生成結果の取り扱いや、学習データ由来の問題点に注意する必要がある。
- プライバシーと安全:個人情報を含む入力は避ける、APIキーは秘匿するなどの基本ルール。
生徒A:「AIが間違うって、ちょっと意外かも」
生徒B:「データの偏りって、言われてみれば怖いね」
■ 実習①:プロンプト(問い)の作り方入門
生成AIに“うまく答えさせる”ための最初の技術が「プロンプト設計」です。今日はプロンプトの良い例/悪い例を比較して、何が違うかを学びました。
悪いプロンプト例
「旅行について教えて」
改善したプロンプト例
「高校生が週末に日帰りで行ける関東近郊の自然スポットを、交通の便(電車)と予算(2000円以内)を考慮して3つ、簡潔に箇条書きで教えてください。」
先生は「具体的に・制約を与える・出力形式を指定する」ことの重要性を説明しました。
生徒C:「出力を箇条書きにしてほしいって指定するだけで読みやすくなるね」
■ 実習②:プロンプトのミニ演習(考える時間)
紙に短い課題を渡し、班ごとに「良いプロンプト」を設計するワークを実施。テーマ例は次の通り。
- 短時間で作れるお弁当メニュー(制約:アレルギーなし、材料3つ以内)
- 授業で使えるクイズ問題(制約:正答+解説付きで3問)
- 読書感想文の導き方(制約:高校生向け、400字以内の下書き案)
各班は「誰に」「何を」「どんな形式で」答えてほしいかを明確にしたプロンプトを作り、クラスで共有しました。
生徒D:「制約を入れると答えがぐっと実用的になる!」
■ ミニ講義:生成AI利用の倫理と実務上の注意
授業後半には、生成AIを使ううえでの“守るべきルール”について短い講義。
- 出典確認を習慣にする:生成された事実は必ず別ソースで検証する。
- 著作権の配慮:特定作品の翻案や本文をそのまま使わない。
- 個人情報を含めない:名前や連絡先などは入力しない。
- 学内ルール・利用規約を守る:学校の方針やサービスの規約に従う。
- 透明性:生成AIを使った作業は、使った旨を明示する(例:課題で利用した場合は注記する)。
田中先生:「便利だからこそ、ルールを守ることが大事です。使い方を誤ると他人に迷惑をかけたり、自分が不利益を被ったりする可能性があります。」
■ 先生のひとこと
「生成AIは“アイデアの助走”や“反復作業の短縮”に強い道具です。でもゴールは『AI任せ』ではなく、『AIと協働して良いものを作ること』。まずは使い方を正しく学びましょう。」
■ 宿題(短めの実践課題)
来週のハンズオンに備えて、次の宿題が出されました。
- 授業で学んだ「改善プロンプト」を1つ家庭で書いてくる(テーマは自由)。
- そのプロンプトで期待する出力の例を50〜100字で書く。
- プロンプト作成時に気をつけた点(箇条書きで3つ以内)を説明する。
先生は、「実際にプロンプトを書いて考えることが上達の近道」とアドバイスしました。
■ 来週の予告:生成AIハンズオン(校内環境での実習)
来週はいよいよ実際にプロンプトを試すハンズオンです(学校のルールに従い、安全な学習用環境または事前に用意したローカル教材を使用)。基本的なプロンプト実行、出力の検証、簡単な出力整形(フォーマット指定)を行います。
生成AIの可能性とリスクを同時に学ぶ24週目。生徒たちは「便利そう」「でも責任がある」という両面を実感し、来週の実習に意欲を見せていました。