【保存版】なぜ“ウェブアクセシビリティ”はSEOに効くのか——4つの確かな理由と実装チェックリスト(2025年版)
先に要点(インバーテッド・ピラミッド)
- アクセシビリティはSEOの土台。人に優しい設計は、検索エンジンにも解析しやすい構造とテキスト情報を与えます。結果としてクロール性・理解性・再訪率が上がり、総合評価に寄与します。
- 4つの理由:①視認性(色コントラスト等)で直帰低減と閲読性UP、②代替テキスト(alt)で画像内容を機械可読に、③説明的なアンカーテキストで内部リンクの意味が伝わる、④字幕・文字起こし+構造化で“動画や音声の内容”まで検索対象に。
- Googleの要点:altは画像検索ではランキング要因・ウェブ検索では文脈テキスト扱い。画像リンクのaltはアンカーテキストとして利用されるため、説明的にが鉄則。キーワード詰め込みはNG。
- すぐできる8つ:色コントラスト/alt最適化/リンク文言の見直し/字幕・文字起こし/見出し階層/ランドマーク(main・nav)/キーボード操作/アニメの自動停止。90分の改善でも効果は出ます。
- 誰に効く?:B2Bの資料系サイト、ECの商品詳細、採用サイト、自治体/教育/医療は投資対効果が高いです。アクセシビリティは多様な利用者の利便を高めつつ、検索流入の取りこぼしを減らします。
1|アクセシビリティは“人のため”だけじゃない:検索エンジンにも読みやすい構造を渡せます
アクセシビリティの目的は、能力や環境に関係なく誰もが使えるウェブ体験をつくること。実はそれが**検索エンジンにとっての“理解しやすさ”**とも一致します。読み上げ対応・キーボード操作・適切な色コントラストといった配慮は、**HTMLの意味づけ(見出し・代替テキスト・リンク文言)**の徹底とセットで実現されます。つまり、人が使える=機械にも意味が伝わるという構図。海外SEOコミュニティでも「アクセシビリティを上げることは、SEOの宝の山」と繰り返し解説されています。
この「人と検索の二重最適」を、私は**“共有テキスト化”**と呼んでいます。画像・音声・UI操作など、本来テキスト化されていない事柄を、テキストかつ構造として落とし込むこと。結果、インデックスされる情報量が増え、誤解の少ない理解につながります。
2|理由① 視認性(色コントラスト)——読めるページは直帰が下がる、理解が深まる
コントラストが低い文字は、視力や環境に関わらず読みづらさを生み、離脱につながります。WCAG 2.2では、通常文で最低 4.5:1(大きな文字は3:1)といったテキストと背景のコントラスト比を求めています。視認性が上がると本文の理解・クリック判断が早まり、次の行動(お問い合わせ、購入、閲覧継続)に移りやすくなります。これは検索の文脈でもポジティブ。ユーザーが満足して滞在するページは、総合的な評価要素で利点を得やすいからです。
実装の型(CSS)
- ベースの文色と背景色を決め、ブランドカラーは装飾に回す
- ダークモード時は色だけに頼らず下線や太字など形の手掛かりも併用
- ボタンは色+テキストで状態を伝える(例:××色=エラー、に加え「エラーです」と明記)
参考:Web担当者Forumによる要点整理では、色のコントラストを“競争を有利に導く要素”の1つとしています。
3|理由② 代替テキスト(alt)——画像の意味が伝わると、検索も理解できます
altは“画像の目的や役割”を短く説明するための属性です。Googleは**「有用で情報量があり文脈に沿った alt を」と明記し、キーワード詰め込みを避けるよう注意しています。画像リンクの場合、altはアンカーテキストとして解釈されます。つまり、「ここをクリック」よりも**「カレーのレシピを開く」といった意味のある説明が人にも検索にも効きます。
- 画像検索のランキング要因:altは画像検索では直接のランキング要因。一方、ウェブ検索では本文テキストの一部として解釈される……この線引きもGoogleが繰り返し説明しています。ですので自然な言い回し・過不足のない説明がベストです。
- NG例:
alt="猫, 猫, 子猫, ネコ 写真, かわいい"
のような詰め込み/意味のない羅列。 - 装飾画像:空のalt(alt=“”)を許容。スクリーンリーダーが余計な読み上げをしません。
良い例(コード)
<!-- 商品イメージ(目的:色と質感を伝える) -->
<img src="mug-amber.jpg" alt="飴色の陶器マグ。マットな質感で容量350ml">
<!-- 画像リンク(目的:レシピへ遷移) -->
<a href="/recipes/curry"><img src="curry.jpg" alt="スパイスカレーの作り方へ"></a>
参考:Web担当者Forumの記事でも、altテキストは重要トピックとして強調されています。
4|理由③ 説明的なアンカーテキスト——“クリック先の意味”が伝わると内部リンクが強くなる
「ここをクリック」「詳しくはこちら」だけでは、支援技術のユーザーにも検索エンジンにもリンクの目的が伝わりにくいです。リンク文そのものが要約になるように、名詞+動詞で行き先や行為を表すのが基本。Googleはリンクのクロール・インデックスの章で、画像リンクではaltをアンカーテキストとして使用する旨を明記。テキストリンクでも同じ思想で「説明的に」が推奨です。
書き換え例
- NG:こちら
- OK:卒業式の写真 一覧を見る
- NG:PDF
- OK:2025年度の料金表(PDF, 1.2MB)
参考:Web担当者Forumのホワイトボード整理でも、説明的なアンカーテキストが挙がっています。「ここをクリックは卒業」です♪
5|理由④ 字幕・文字起こし+構造化——マルチメディアの中身まで検索対象に
動画やポッドキャストは素敵ですが、耳や目だけに頼る情報は検索から見えにくいもの。字幕・文字起こしを用意すると、内容がテキストとしてクロール対象になり、キーワードの共起も自然に増えます。さらに自動再生や点滅などユーザーの集中を削ぐ演出は、「一時停止・停止・非表示」の提供が推奨されています(WCAG 2.2/2.1のPause, Stop, Hide)。落ち着いた体験は離脱の抑制にもつながります。
加えて、見出し階層(h1–h6)やランドマーク(<main> <nav> <aside> <footer>
)でページの論理構造をはっきりさせると、読み上げの見出し一覧や領域移動が可能になり、検索エンジンにも章立てが明示されます。W3CのチュートリアルやAPG(Authoring Practices Guide)には実践的な型がまとまっています。
参考:Web担当者Forumの元記事も、字幕・文字起こしやレスポンシブ対応を「競争を有利に導く要素」として図解しています。
6|“すぐ効く”実装チェックリスト(90分プラン)
- 色コントラストの点検:主要テンプレの本文/見出し/リンクで4.5:1以上を確認。主要ボタンは色+文言で状態を明示。
- altの棚卸し:商品一覧・記事サムネ・主要バナーのaltを全見直し。目的や行き先を端的に。装飾はalt=“”。
- リンク文言の修正:「こちら」掃除。目的語と動詞で遷移先を説明。画像リンクはalt=アンカーテキストを意識。
- 字幕・文字起こし:再生回数の多い動画から優先実装。要点見出し付き文字起こしで長文も読みやすく。
- 見出し階層の是正:見出しを論理順(h1→h2→h3…)に整理。ページ内目次の自動生成も検討。
- ランドマークの付与:
<header><nav><main><aside><footer>
を1ページ1回の原則で。 - キーボード操作確認:Tabで主要動線を移動できるか、フォーカス可視かを目視チェック。
- 自動再生の制御:アニメやカルーセルに一時停止を用意。点滅は避ける。
7|実務ポイント:NGになりやすい“惜しい実装”
- altの“名詞だけ”問題:
alt="青い船"
より**alt="湖畔で貸出中の青いセイルボート"
のほうが文脈**が伝わります。詰め込みは逆効果です。 - 画像をテキスト代わりに:見出しを画像化すると読み上げも検索も無言になります。テキスト+CSSで表現。
- リンクの連打:「詳しくはこちら」が並ぶと支援技術のリンク一覧が地獄に。同じ文言を繰り返さない。
- 自動再生・点滅:視覚過敏やてんかん発作を誘発することがあります。必ず停止手段を。
8|サンプル集(そのまま使える最小コード)
8-1. 見出しとランドマーク
<header>…</header>
<nav aria-label="主要ナビゲーション">…</nav>
<main id="content">
<h1>製品サポート</h1>
<section aria-labelledby="sec-faq">
<h2 id="sec-faq">よくある質問</h2>
<p>…</p>
</section>
<section aria-labelledby="sec-contact">
<h2 id="sec-contact">お問い合わせ</h2>
<p>…</p>
</section>
</main>
<footer>…</footer>
(ヘッディングの順序とランドマークで、読み上げや検索に章立てを伝えます)
8-2. アクセシブルな画像とリンク
<!-- 装飾:空alt -->
<img src="divider.svg" alt="">
<!-- 内容:目的を説明 -->
<img src="report-2025.png" alt="2025年版 市場レポートの売上推移グラフ">
<!-- 画像リンク:altがアンカーテキストとして利用される -->
<a href="/case/voicebot">
<img src="case-voicebot.jpg" alt="コールセンターの音声ボット導入事例">
</a>
8-3. 字幕と「停止」ボタン
<video controls>
<source src="intro.mp4" type="video/mp4">
<track kind="captions" src="intro_ja.vtt" srclang="ja" label="日本語字幕" default>
</video>
<button type="button" aria-pressed="false" id="pause-anim">アニメーションを停止</button>
(字幕で音声内容をテキスト化、停止で集中阻害を回避)
9|対象読者と効果(とても具体的に)
- B2Bの資料ダウンロード型サイト:PDFの代替HTML要約+リンク文言の最適化で、リード獲得率と非直帰率が改善しやすいです。スクリーンリーダー配慮は入札や調達でも評価対象になりやすく、指名検索外の流入拡大が見込めます。
- ECの商品詳細:代替テキストで検索と読み上げに商品特徴が伝わります。動画の文字起こしは比較検討ユーザーの滞在を押し上げます。
- 採用サイト:見出し・ランドマークで情報構造が明確に。説明的なアンカーテキストが応募導線をはっきり見せます。
- 自治体・教育・医療:WCAG 2.2順守は法令・調達要件と親和性が高く、字幕・停止などの配慮が市民の理解と問い合わせ抑制に直結します。
10|アクセシビリティとSEOの“正しい理解”Q&A
Q. altはランキング要因ですか?
A. 画像検索ではYes。通常のウェブ検索では独立要因ではなく文脈テキスト扱いです。とはいえ説明的なaltはユーザーにも検索にも有益なので必須です。
Q. “クリックはこちら”はダメ?
A. 目的が曖昧です。リンク先の内容や行為を文にしてください。画像リンクのときはaltがアンカーテキストになります。
Q. アクセシブルにするとデザインが犠牲に?
A. いいえ。色や余白・装飾の使い方で、見やすさとブランド性は両立できます。形の手掛かり(下線・太字・アイコンと文言の併用)も味方です。
Q. どのガイドに従えばいい?
A. WCAG 2.2とWAI-ARIAのAPG、そして**Googleの検索ドキュメント(画像・リンク)**を“3点セット”で。実務がぶれません。
11|運用設計:チームの役割分担(サンプル)
- 編集・ライター:見出し階層・要約・代替テキストの品質管理。
- デザイナー:コントラスト・フォーカス可視・アニメ停止手段。
- 開発者:ランドマーク・キーボード操作・ARIAの適用(必要最小限)。
- SEO/アナリスト:離脱/回遊/画像検索流入のモニタリング。字幕・文字起こしの有無で行動指標の差を検証。
- 広報・法務:アクセシビリティ方針と改善履歴の公開。入札やCSRの根拠資料に。
12|編集部のまとめ:アクセシビリティは“SEOの近道”。テキストと構造を増やしましょう
- 色・文字を整えると読めるページになり、離脱が減る。
- altと説明的リンクで機械にも意味が届く。
- 字幕・文字起こしで動画・音声の中身も検索対象に。
- 見出し階層・ランドマークで章立てを人と検索に伝える。
この4本柱は、一度整えると長く効く“資産”です。まずは目立つ導線と主要テンプレから、90分の改善で前進しましょう。
参考(一次・高信頼中心)
- 「アクセシビリティはSEOに効く」要点整理(Web担当者Forum / Moz ホワイトボード・フライデー)
- WCAG 2.2(コントラスト・キーボード操作・AA要件 ほか)
- WAI-ARIA APG/見出しチュートリアル(ランドマーク・構造化)
- Google 検索ドキュメント(画像SEO・リンクのベストプラクティス)
- 「Pause, Stop, Hide」(自動再生や点滅への配慮)
付記(ご依頼に応じて)
greedenは、Webアクセシビリティ対応(WCAG 2.2準拠の設計・実装・監査)に対応しており、SEO領域でも20年の実績を有しています。アクセシビリティとSEOを**“同じ土台”**として統合的に進めたい企業さまに、要件設計から運用改善まで伴走いたします。
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