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【2025年9月24日|世界ニュースまとめ】国連総会の焦点、ガザとウクライナ、EUの対ウクライナ資金構想、原油と金の行方を先読み

きょうの要点(短く)

  • 国連総会で各国首脳が演説。ウクライナのゼレンスキー大統領は「軍事AIとドローンの国際規制」を訴え、支援の継続を要請。
  • EUはロシア資産のキャッシュ収益を裏付けに、ウクライナ向け「リパレーション・ローン(最大1,300億ユーロ)」を検討。
  • イスラエル南部エイラートでドローン攻撃、負傷者が発生。ギリシャ沖ではガザ支援船団がドローン攻撃を受け、イタリアが海軍艦派遣。
  • ロシア財務省が付加価値税(VAT)引き上げ案。戦費財源の補強策として議論に。
  • 金は過去最高圏で高止まり、原油は在庫減で続伸。株式はパウエルFRB議長の慎重発言で方向感薄い。
  • 比北部〜台湾海峡周辺で超大型台風NANDO(RAGASA)による被害と交通混乱が続く。

1. 国連総会:規範と現実が交差する「軍事AI・制裁・資金」の三題噺

ニューヨークの国連総会では、ウクライナのゼレンスキー大統領が、ロシアの侵略を止めねば破壊的な軍拡競争が始まると警告し、軍事AI・ドローンの国際ルール作りを提案しました。 同じ場でイラン大統領は「核兵器を求めない」と表明しつつ対米制裁に反発。中東情勢と核合意の再構築をめぐる駆け引きが続きます。

EUは、凍結ロシア資産から生じたキャッシュ残高を裏付けに、ウクライナへ最大1,300億ユーロの「リパレーション・ローン」を組成する構想を協議。G7と歩調を合わせつつ、没収ではなく特別目的事業体(SPV)とゼロクーポン債で仕立てる案が浮上しています。時限的な資金橋渡しとしては意義が大きい一方、法的リスクや返済条件(将来のロシア賠償金に依拠)という不確実性を内包します。

インパクトの見立て

  • 外交:軍事AI・ドローン規制は、将来の兵器輸出管理に波及。
  • 経済:EUの資金枠はウクライナのマクロ安定化に寄与。ただし返済回収の条件が政治に強く依存。

2. 中東:エイラート被弾と海上支援航路の緊張

イスラエル最南端エイラートでドローン攻撃が報じられ、救急当局は多数の負傷者を確認。紅海沿岸の空路・海路の安全コストが再び意識されます。 さらに、ギリシャ沖の公海でガザ支援船団が夜間のドローン攻撃を受け、イタリアが海軍艦を派遣。海上輸送の“灰色地帯”リスクが浮き彫りになりました。

ガザ情勢自体は依然として激戦と退避指示が続き、都市インフラの損壊が拡大。国連調査委はイスラエル側の恒久的統治志向や入植政策を指摘し、各国の外交対応は二極化しています。

ビジネスへの示唆

  • 海運・保険:地中海〜紅海の戦争危険料とサーチャージの見直しを継続。
  • 物流:中継港の複線化(東地中海・エーゲ海)と代替陸送の確保で遅延を吸収。

3. ウクライナ:支援のフレーミングが再編、ロシアは増税で戦費手当て

米国の言説はここ数日で揺れ動きつつも、ウクライナの領土回復可能性に言及する発信が相次ぎました。欧州では「米国が支援の主役から一歩引くのでは」との警戒と、自主防衛・資金分担の強化論が並走しています。 クレムリンはこの対露姿勢の転調を「誤り」と牽制。

一方ロシア財務省はVAT引き上げを提案。戦費と社会歳出の両立へ財源拡充を図る狙いで、国内物価・消費の下押しが懸念されます。 EUのリパレーション・ローンを含む資金スキームが実現すれば、ウクライナ側の財政・軍需調達の息切れリスクは一定程度緩和されますが、欧州納税者の負担議論は今後も続くでしょう。


4. マーケット:原油は在庫減で続伸、金は最高圏、株は様子見

原油は米在庫の取り崩しやクルド原油再開停滞観測を映し、ブレントは67ドル台後半までじり高。需給はタイト化方向ながら、世界景気の減速懸念が上値を抑える構図です。 金は過去最高圏で推移し、利下げ観測と地政学リスクが需要を下支え。指標(PCE)や要人発言の度に利益確定と押し目買いが交錯しています。

株式はパウエル議長の慎重トーンで手控え気味。ドルはやや強含み、金・原油・株に対して短期的に力学がぶつかる一日でした。

運用・実需のヒント

  • エネルギー:クラック・スプレッドとTTF/JKMの変化でヘッジ比率を微調整。
  • 金:実質金利とETFフローを併読。イベント前後のリスク管理を丁寧に。

5. アジアの気象リスク:超大型台風NANDO、港湾とサプライに遅延余波

フィリピン北部〜台湾海峡周辺は、超大型台風NANDO(RAGASA)の影響が長引き、各地で大雨・暴風・高潮が続きました。空路・海路の欠航や停電、倉庫・冷蔵設備の被害が報じられています。 PAGASAの最新公報でも、南西モンスーン強化を通じた大雨・高波への厳重警戒が続きます。

現場の対策例

  • 在庫:日配・常温・コールドの“段積み”を分散配置し、停電前提の非常電源を再点検。
  • 物流:CY締切前倒し、代替港(比:スービック/バタンガス等)と内陸輸送の二重確保。

6. 今後1〜3か月の見通し(情勢と経済)

  • 国連総会の余波:ガザ停戦・人道回廊、対露制裁の「抜け道封じ」、軍事AI・ドローン規制の論点化が続きます。
  • ウクライナ資金:EUのリパレーション・ローン設計が進めば、資金繰り不安は一段緩和。ただし加盟国・ECBの法務・金融面の詰めが鍵。
  • マーケット:金は高原状態、原油は在庫と地政の綱引き、株は指標と要人発言待ちの展開。

この記事は誰の役に立つか

  • 企業の経営企画・財務・サプライチェーン担当:地政・制裁・台風の複合リスクを、在庫・保険・ヘッジ・仕入条件に落とし込むための全体像として。
  • 金融・投資(CIO/PM/アナリスト):金高・原油レンジ・株様子見の非典型相関を、イベント日程と合わせて管理する指針として。
  • 公共部門・NGO:ガザの人道アクセス、海上安全、台風被災地支援の実務的な“急所”確認用として。

参考リンク(主要ソース)

投稿者 greeden

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