【10月6日まとめ】OpenAIが発表した4つの大型ニュース:AMDと6GW協業、ChatGPT内アプリ、AgentKit、Codexの一般提供
最初に要点(1分で把握)
- AMDと戦略提携:6ギガワット規模のAMD GPUを段階導入。初回1GWは2026年下期にMI450で稼働開始。NVIDIA中心の体制に第二の柱を加えたかたちです。
- ChatGPTに“アプリ”が登場:会話の中で呼び出して操作できるApps in ChatGPTを公開。**Apps SDK(プレビュー)**も提供開始。
- AgentKitを発表:エージェント開発の設計(Agent Builder)/埋め込みUI(ChatKit)/評価(Evals強化)/RFT微調整までを一式に。
- Codexが一般提供(GA):Slack連携/SDK/管理機能を追加し、GPT-5-Codexベースでエンジニアリング現場の運用を想定。
この記事は誰に効くか(対象とインパクト)
本稿は開発部門/情シス・DX/プロダクト・事業企画/EC・カスタマーサポート/広報・教育機関の実務者向けに、10月6日の発表を“導入判断の視点”で整理します。
- 開発部門:AgentKitとCodex GAにより、エージェント実装〜評価〜運用の工数とリスクを圧縮できます。
- 事業企画/プロダクト:Apps in ChatGPTでユーザー接点を“会話×UI”に集約。外部サービス連携をSDK準拠で迅速化できます。
- 情シス・DX:AMD提携は計算資源の多元化を後押し。供給リスク分散やコスト交渉の余地が広がります。
- EC・CS:会話内アプリとエージェントを組み合わせて検索→提案→実行の接客導線を短縮。
- 広報・教育:新機能の**安全設計(ガードレール、ポリシー)**を押さえ、来歴表示や許諾の社内ルールに落とし込めます。
1. AMD×OpenAI:6GWの計算基盤で“第二の柱”を確立
OpenAIはAMDと複数年・複数世代の戦略提携を発表し、6GWのGPUキャパシティを段階的に導入します。第1弾は2026年下期にMI450で1GW。NVIDIA中心の既存体制にAMDを“コア戦略パートナー”として追加したことが大きな意味を持ちます。外部報道でも本件の規模と市場反応が確認できます。
実務への示唆
- 計算資源の多元化で供給逼迫の平準化と価格交渉力の向上が期待できます。
- GPU世代またぎの最適化(MI450/NVIDIA混在)を見越し、推論・学習ジョブの振り分けポリシーを設計しておくと移行が滑らかです。
2. Apps in ChatGPT:会話の中で“アプリを呼ぶ”
ChatGPTにアプリが常駐し、会話の文脈に応じてBooking.com/Canva/Coursera/Figma/Expedia/Spotify/Zillowなどをその場で操作できます。開発者向けには**Apps SDK(プレビュー)**が公開され、MCP(Model Context Protocol)を拡張したオープン標準として設計されています。まずはEU以外のログインユーザーに展開し、順次拡大予定です。
使いどころ(サンプル)
- 「Spotify、金曜の社内懇親会用のプレイリストを作成」→会話内UIで編集。
- 「Zillowでこの予算に合う物件を地図で」→チャット内で一覧・絞り込み。
- Confluenceや社内検索を自社アプリ化し、Apps SDKでChatGPT内に埋め込む。
3. AgentKit:設計・埋め込み・評価・RFTをひとまとめ
AgentKitは、エージェント開発の“分散した作業”を一式のツール群で統合します。主なコンポーネントは次のとおり。
- Agent Builder:ノーコードのビジュアルキャンバスでワークフロー設計/バージョニング。
- ChatKit:会話UIの埋め込みを容易化(スレッド管理・ストリーミング・見せ方)。
- Evals強化:データセット/トレース採点/自動プロンプト最適化/他社モデル評価。
- RFT(強化学習的微調整):o4-miniでGA、GPT-5はプライベートβ。ツール呼び出し最適化や独自評価軸に対応。
導入の勘どころ
- 安全策(Guardrails)をPython/JSライブラリで有効化し、PIIマスキングや脱獄検知を既定化。
- Connector RegistryでDropbox/Google Drive/SharePointなどの接続を統制。管理者権限と監査ログを運用に組み込みます。
4. Codex GA:現場運用を見据えた“人と並走するコーディング”
Codexの一般提供に伴い、
- Slack連携:チャンネルで**@Codex**に依頼→クラウド環境で作業→PRリンクで返却。
- Codex SDK:GPT-5-Codexを自社ワークフローに組み込み。CI/CD向けにGitHub Actionも。
- 管理機能:環境の一括管理/操作制限/分析ダッシュボードで導入統制を標準化。
現場への効果
- 定型改修・コードクリーニング・PRレビューの自動化でサイクル短縮。
- ローカル/クラウド/IDEが一つのアカウントで繋がるため、人の作業とエージェント作業の境目が整理できます。
5. すぐ試せる実装プラン(役割別の最短ルート)
- アプリ担当:Apps SDKで自社のミニアプリを1つ作り、社内向け検索や申請ワークフローを会話内UI化。EU配信は順次展開を前提に。
- サポート運用:AgentKitのChatKit+EvalsでFAQ→有人引継ぎまでの導線を設計。GuardrailsでNG応答・PIIをカット。
- 開発組織:Codex GAをSlack→PRの流れに組み込み、小規模リポジトリから段階展開。監査ダッシュボードで品質とガバナンスを可視化。
- クラウド調達:AMD提携を踏まえ、ジョブ種(学習/推論/視覚/音声)×GPU世代での配分ポリシーと費用上限を更新。
まとめ:10月6日は“プラットフォーム化”を宣言した日
- 計算資源ではAMD連携で多元化を進め、
- アプリの流通ではApps in ChatGPTで会話×UIの新しい面を開き、
- エージェント運用ではAgentKitで設計・埋め込み・評価を一式化、
- 開発現場にはCodex GAで人とAIの協業を常態化——。
これらは**「ChatGPTをOS的な面にする」**流れの中核であり、開発・運用・配信の三層が一段つながった節目と言えます。
参考リンク(一次情報・主要メディア)
- OpenAI 公式ニュース一覧(10/6の項目あり):OpenAI News
- AMD×OpenAI:
- Apps in ChatGPT:
- AgentKit:
- Codex GA: