「ITは難しい」を卒業する経営の教科書――ムダを減らし、売上を増やす“かんたんDX・DI入門”
- この記事の要点
- 専門用語を使わずに、ITを「会社の道具箱」として理解できるように解説
 - DX=ムダを減らす、DI=新しい売上を生む、という二刀流の考え方を、例え話と事例で説明
 - 3つの失敗パターン、3つの成功思考、90日実行プラン、すぐ使える依頼文・会議テンプレを収録
 - 対象:ITに詳しくない経営者・事業責任者、創業オーナー、地域の中小企業の社長、医療・介護・教育・小売・製造の管理者
 - 効果:投資判断がシンプルになり、現場が動きやすくなり、翌期の売上と現金に効く一歩が踏み出せます
 
 
はじめに:ITが苦手でも大丈夫――経営に効く“道具の選び方”
「ITはよく分からないけど、ムダは減らしたいし、売上は増やしたい」。きっと、多くの経営者の本音ではないでしょうか。
難しく聞こえる横文字はひとまず脇に置き、今日は会社の台所を整えるつもりで読み進めてください。冷蔵庫の在庫が見える、買い物リストが自動でできる、料理が早くできる。家庭が回る仕掛けを会社に持ち込む――それがこの記事のテーマです。
わたしたちgreedenは、簡単に言えば「ムダを減らすDX」と「売上を生むDI」をセットで設計し、実行まで並走する会社です。DXは“片付けと時短”、DIは“新メニューで売上アップ”。この二刀流がそろうと、会社は静かに、でも確実に強くなります。
本稿は、ITが得意でない方にこそ読んでいただきたい、経営の実務に直結するやさしい入門ガイドです。
用語をやさしく:DXとDIを「会社の日常」に置き換える
- 
DX(ディーエックス)=デジタルでムダを減らすこと。
例:紙の注文書をやめてスマホで入力、ミスと手戻りを減らし残業を削る。
会社で言えば「片付け」「動線の改善」「時間短縮」です。 - 
DI(ディーアイ)=デジタルで新しい売上を作ること。
例:常連さんの好みを覚えて、次に喜ばれる提案を自動で出す。
会社で言えば「新メニュー」「セット販売」「会員制度の強化」です。 - 
IT=“機械やソフトのこと”ではなく、仕事を早く・正確に・安く・気持ちよく進めるための道具箱。
難しい設定は専門家が引き受けます。経営者が握るのは「何のムダをなくし、どんな売上を増やすか」という方向です。 
よくある失敗:なぜ投資が「ただの経費」で終わるのか
1. 道具を買うことが目的になる
「流行だから」「あの会社も使っているから」と、高価なツールを導入。ところが現場は入力が増えるだけで、売上は動かない。
対策: 道具の名前ではなく、数字の約束で始めましょう。
- 「問い合わせから見積までの時間を3日→1日に」
 - 「納品ミスを月20件→5件に」
 - 「常連の再購入率を20%→28%に」
 
2. IT担当が“修理屋さん”で終わっている
「パソコンが壊れたら直す人」だけでは、稼ぐ仕組みは生まれません。
対策: IT担当(内製でも外部でも)を、売上・粗利の会議に呼び込む。評価も「節約額」だけでなく「増やせた売上」で。
3. 守りだけで満足してしまう
残業削減、紙の削減、サーバー費用の削減。素晴らしい一歩ですが、削減には限界があります。
対策: 同時に “攻め”(新しい売上作り) を始める。両輪で回すから、会社は長く強くなります。
成功している会社の“3つの考え方”
考え方1:ITは「経費」ではなく、育てる資産
ITは買って終わりの消耗品ではなく、「使うほど価値が増える道具」です。
- 顧客カルテを毎回使って少しずつ賢くする
 - よく使う見積フォーマットを磨いて作成時間を短縮
 - よく読まれる提案文の言い回しを残して、次の提案に活かす
こうして会社に残る型が増えるほど、翌月・翌年の売上に効いてきます。 
考え方2:事業の目標とITを同じ言葉でつなぐ
「来期は既存顧客の売上を20%伸ばす」なら、ITの仕事は「誰に・何を・いつ提案すると伸びるか」を見つけ、自動で動く仕組みに変えること。
- 例:購入から45日で次のおすすめを自動通知
 - 例:見積提示から7日返事がないお客様に、リマインド+事例を自動送付
 
考え方3:データは次の行動に変わると価値になる
グラフを眺めるだけでは売上は増えません。
- 例:よく問い合わせるのに決まらないお客様に、上司同席の提案を自動で予約
 - 例:クレームになりやすいパターンを早期に検知し、先回りで案内
見て終わりではなく、動く仕掛けへ。 
まず何から?――“3つの鉄則”で小さく早く始める
鉄則1:機能ではなく目的・目標・KPIで頼む
「チャット機能を付けて」ではなく、「問い合わせから初回返答までを30分以内に」と頼む。
サンプル依頼文:
- 目的:初回対応のスピードを上げ、成約率を高める
 - 目標:初回返答30分以内の割合を80%へ
 - 測定:週次で追跡、月末に受注率との関係を確認
 
鉄則2:2〜8週間で最初の成果を出す
最小の仕組み(MVP)をつくり、現場で試し、毎週直す。完成を待たず、走りながら整えるのがコツ。
鉄則3:導入して終わりにしない――グロース体制
運用の役目は「止めない」ではなく「伸ばす」。
- 週1回、主要数字を見て次の一手を決める
 - 効果が薄い施策はためらわず止める
 - 成功した型をマニュアルとテンプレにして全員に配る
 
具体事例:身近な業種で“ムダ削減×売上増”を両立
1. 製造業(BtoB)
- 課題:予備在庫が膨らみ、在庫費が重い。営業の訪問順も感覚任せ。
 - 施策:過去の出荷履歴と故障時期をもとに部品の需要時期を予測。予測スコアが高い順に、営業の訪問ルートを自動作成。
 - 期待効果:在庫回転が上がり、機会損失と滞留の両方を減らす。同行回数の削減で人件費も軽く。
 
2. 小売・EC
- 課題:広告費が増える一方、利益が薄い。
 - 施策:単純な「買われやすい商品」ではなく、利益が残る組み合わせをおすすめに。カゴ落ちには24時間以内にクーポン+質問への自動回答。
 - 期待効果:平均注文額だけでなく粗利額が増える。返品が多い商品は露出を下げ、倉庫の負担も軽く。
 
3. 医療・介護
- 課題:予約の電話が重なり、取りこぼしが発生。キャンセルも多い。
 - 施策:Web予約+自動リマインドで電話を削減。来院前アンケートで症状を把握し、当日の導線を短縮。
 - 期待効果:待ち時間が減り、満足度が上がる。空き枠の自動案内で稼働率を底上げ。
 
4. 教育サービス
- 課題:入会はあるが定着しない。
 - 施策:学習のつまずきポイントを早期に検知し、面談と復習提案を自動でセット。
 - 期待効果:退会が減り、LTV(ひとり当たりの総売上) が上がる。
 
5. 建設・設備工事
- 課題:見積→着工までの段取りが複雑で抜け漏れが起きる。
 - 施策:案件のチェックリストを標準化し、工程が進むたびに次の担当へ自動でバトン渡し。
 - 期待効果:手戻りとクレームが減って、現場のストレスが軽く。紹介案件も増えやすい。
 
数字で語るための“かんたんKPIセット”
難しい分析は不要。まずはこれだけから始めましょう。
- 売上の“種別”:新規/追加購入/継続
 - 時間の短縮:問い合わせ→見積、見積→受注、受注→納品
 - 取りこぼし:カゴ落ち、見積後の音信不通、予約の無断キャンセル
 - 粗利:商品別・案件別の粗利額と返品率
 - 顧客の元気度:来店・ログイン・問い合わせ・クレームの数
 
そして、1つだけ“北極星”になるKPIを決めます。
例)「既存顧客の月次売上」「受注から入金までの日数」「再来店率」
他の数字は、この北極星を上げるための手段として扱うと、会議がシンプルになります。
明日から動ける:90日で結果を出すロードマップ
0〜7日:目的を決め、場をつくる
- 北極星KPIを1つ決める
 - 対象となるお客様の具体像を合わせる(誰に効かせるか)
 - 週1回の30分ミーティング枠を固定
 
8〜30日:最初の仕組みを出す(MVP)
- 入力の手間を減らす(紙→スマホ、電話→フォーム)
 - 1つだけ自動アクションを作る(例:見積後7日で自動フォロー)
 - 使ってみた感想をその週のうちに反映
 
31〜60日:A/Bテストで“勝ち筋”を見つける
- フォロー文面AとB、対象タイミング①②を試す
 - 受注率・粗利・反応率の数字で比較
 - 効果が薄い案は遠慮なく停止
 
61〜90日:伸びた施策を“会社の型”にする
- 手順書・テンプレ・チェックリストに落とす
 - 新人でも回せるように、ツール内に手順を埋め込む
 - 役員会で「増えた売上/減ったムダ」を1枚で共有
 
すぐに使える“社長のひと言テンプレ”
1. 依頼の出し方
目的は「既存のお客様の追加購入を増やす」こと。今月は、見積から7日以内のフォローを自動化し、追加購入率を2ポイント上げたい。数字で見える準備をしてほしい。
2. 会議の進め方(30分)
- 先週の数字(良かった・良くなかった)
 - 来週やること(1〜2個だけ)
 - 邪魔しているもの(決裁・人・道具)を決める
 
3. 依頼を受ける側の答え方(サンプル)
了解しました。来週までに、見積後7日フォローの自動化を実装します。AとBの文面を試し、再来率と受注率で比較します。必要データは見積日・連絡先・購入履歴です。
よくあるお悩みと、現場が進むコツ
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「入力してくれない」
入力の見返りがすぐに返ってこないと、人は動きません。入力すると見積が10分で出る、おすすめが自動で出るなど、本人に嬉しい結果を先に用意しましょう。 - 
「データが汚い」
完璧を目指すより、まず勝てる1列(見積日/購入回数/返品の有無など)から。欠損や重複は毎週ひとつ直せば、3か月で景色が変わります。 - 
「人が足りない」
5人も10人も要りません。小さな混成チーム(現場1・担当1・外部1)で十分。目的が明確なら、外部パートナーも力を発揮します。 - 
「大きな入れ替えが必要?」
多くは今の道具をつないで成果が出ます。全部を取り替えるのは、勝ち筋が見えてからに。 
セキュリティとルールは“信頼の土台”
- 見られる人・触れる人を最小限に
 - いつ・誰が・何をしたか記録する
 - お客様の情報は必要な期間だけ保管する
 - もしもの時の手順を紙1枚に
安全はコストではなく、長く選ばれるための条件です。 
greedenのご支援スタイル:片付けて、稼ぐ
わたしたちgreedenは、
- ムダを減らすDX(業務の片付け・自動化・時短・コスト削減)と、
 - 売上を生むDI(おすすめ・再来・追加購入・新メニュー)
を同時並行で設計・実装・運用まで伴走します。 
進め方(例)
- 役員ワークショップ(半日):北極星KPIと90日目標を決める
 - 90日MVP:1テーマに集中して、数字で成果を出す
 - グロース体制:週1の短い会議と、止める・伸ばすのルールを定着
 - 展開:うまくいった型を他部署・他店舗にひろげる
 
こんな方に向いています(具体)
- 「広告費は増えるのに、利益が残らない」小売・ECの経営者
 - 「人手不足で現場が回らない」医療・介護・教育の管理者
 - 「在庫の重さと営業のムラ」が課題の製造・卸の責任者
 - 「見積・請求・入金の流れを早くしたい」建設・設備・BtoB事業者
 - 「ITのことは苦手。でも数字は大事」すべてのオーナー経営者
 
サンプル台本:営業の“再来提案”を自動化する
- 目標:既存のお客様の追加購入率を月2ポイント上げる
 - 使う情報:前回の購入日・よく買う商品・問い合わせ履歴
 - 仕組み:
- 前回購入から45日で自動メッセージ(おすすめ3点+事例)
 - 反応があれば担当者に電話の合図を自動通知
 - 反応がなければ7日後に別の提案を自動送付
 
 - 測定:反応率、面談率、受注率、粗利
 - やめる基準:2週間試して改善が出なければ文面を差し替え
 
もう一つの台本:問い合わせの“初動30分”
- 目標:問い合わせから30分以内に初回返信80%
 - 手順:
- フォームに来たら、内容別の定型返答を自動送信
 - 担当者のスマホへ即通知
 - カレンダーの空き枠を自動表示し、面談予約まで案内
 
 - 測定:初回返信時間、当月の受注率
 - 現場のメリット:返信テンプレの手直しだけで済み、個人差が減る
 
役員会で刺さる“1枚レポート”の型
- 今月、ITの仕組みがいくらの売上・粗利を動かしたか
 - 伸びた施策トップ3/止めた施策
 - 来月やること1つと、必要な決裁・協力
説明は3分で。詳しい資料は後ろに。これだけで合意が速くなります。 
まとめ:ITが苦手でも、会社はもっと強くできる
- 道具の名前より、何を減らし、何を増やすかを決める
 - 小さく始めて、毎週直す
 - 見て終わりではなく、自動で動く仕組みへ
 - 成果が出た型を会社の資産に
 - 守り(ムダ削減)と攻め(売上増)を同時に
この5点だけで、来月の現場は軽くなり、来期の数字は変わります。ITの専門用語は、分からなくてかまいません。経営のゴールをわたしたちに伝えてください。道具の選び方と作り方は、一緒に考えます。 
ご相談のご案内
「まずは小さく試したい」「自社なら何から始めるべきか知りたい」――そんな最初の一歩から、わたしたちgreedenが伴走いたします。
お問い合わせは、こちらのカスタマーポータルよりお気軽にどうぞ。担当が内容を拝見し、90日で結果を出すシンプルな計画をご提案します。
greeden 相談窓口
付録:コピーして使えるミニ資料
A. 5分チェックリスト
- [ ] 北極星KPIを1つ決めた
 - [ ] 週1の30分ミーティング枠を固定した
 - [ ] 最初の自動アクションを1つ選んだ
 - [ ] 結果の数字をメモする表を作った
 - [ ] 成果が出なければやめる基準を決めた
 
B. 依頼テンプレ(社内・外部向け)
- 目的:____
 - 目標(数字):____
 - 期間:____
 - 測り方:____
 - 期待する現場の変化:____
 - 必要な協力(部署・人):____
 
C. 現場ヒアリングの質問メモ
- 1日のうち、待ち時間が長いのはいつ?
 - お客様が困りやすい質問は?
 - 作業で「二度やっている」ものは?
 - 今月、いちばん褒められた瞬間は?(それを仕組みに)
 - 今月、いちばん怒られた瞬間は?(それを消す仕組みに)
 
D. “伸びる提案文”の骨組み
- 先日のご利用のお礼
 - お客様の使い方に合わせたおすすめ1〜2点
 - 実際に喜ばれた事例を短く
 - 迷ったらこの1つ、という最後の提案
 - 予約・見積・問い合わせの一歩を簡単に
 
あなたの会社のITは、今日から「難しい機械」ではなく、現場を助けて売上を増やす味方になります。ムダを減らし、売上を増やす二刀流――greedenが、最初の一歩からご一緒します。
