2025年11月12日の世界主要ニュース総まとめ:米政府閉鎖“最長更新”は下院採決の大詰めへ、米国内線の混乱長期化、MD-11全面停止の余波、COP30は“資金×森林×実装”で緊張高まる、ガザ国際安定化部隊案の交渉続行、ポクロフシクの戦闘激化——原油は65/61ドル前後・金は4,120ドル台・欧州株は最高値圏
まずは“3分で全体像”(11/12[水]・東京時間)
- 米国:連邦政府閉鎖は42日目。下院がきょう採決し、最長の閉鎖を終える妥結案の可決を目指します。可決なら1月30日までの政府資金が確保され、SNAP(食料支援)の継続条項も含まれる見通し。市場は再開期待で強含みです。
- 空の便:ATC人員不足×閉鎖で欠航・遅延が連日拡大。火曜だけで1,200便欠航、12空港でのビジネス機(GA)制限措置も。今週中の正常化は困難と見られています。
- 航空・物流:UPSのMD-11墜落を受け、FAAがMD-11飛行を禁止。UPS/FDXは保有MD-11を全機停止し、CVR/FDR解析と整備履歴の精査が継続。年末の航空貨物キャパに狭窄感。
- COP30(ベレン):会場前で先住民らが衝突、入口一時閉鎖。交渉は継続し、**気候資金・森林・実装(MRV)**が主戦場に。
- 中東:米国主導の**「ガザ国際安定化部隊(任期2年)」草案が安保理で審議続行**。世銀が支援の意向を表明。合意形成はなお曲折。
- ウクライナ:ポクロフシクで家屋単位の戦闘が続き、露軍の**浸透(“マッドマックス風”の車列)**映像も。冬季の都市機能維持が課題。
- 市況:原油はBrent約65.1/WTI約61.0ドルで横ばい、金は4,125ドル前後で高止まり。欧州株は最高値圏、米株先物も上昇、円は154.9円台と軟化。
この記事が「特に役立つ」読者像(具体像)
- 経営層・CFO・SCM/購買・物流・広報/IRの皆さま
年末商戦直前の航空キャパ狭窄(減便×MD-11停止)、統計空白、コモディティの小幅変動、COP30の規制・資金圧を、“業務フローに落とす”視点でまとめています。 - 官公庁・自治体・医療・教育・人道支援/NPO
SNAPの制度不確実と渡航・物流の混乱、ガザ人道アクセス、学校×礼拝施設の安全管理に即効性のある「窓口の一本化/優先スロット/紙媒体の多言語周知」の雛形を用意しました。 - 個人投資家・渡航者・出張担当
金↑・原油横ばい・株↑・円安の環境で、金利±50bp/USDJPY±3円/原油±5ドルの“三面感応”を定例点検に。旅程は乗継+45分と**±72時間の無償振替**を“標準装備”に。
1|米政府閉鎖:42日目、きょう下院採決へ——再開期待が市場を押し上げ
政治の現在地
上院可決済みの政府再開法案が、本日(現地)下院で採決される見通しです。法案は来年1月30日までの政府資金を手当てし、閉鎖の直接被害を受けた行政サービスの復旧と統計発表の再開に道筋を付けます。SNAPの継続条項も盛り込まれ、足元の生活不安を和らげる設計。市場は**「終結近い」**との受け止めでリスク選好が広がっています。
経済・社会への含意
- 家計・小売:月初の“需要の谷”→中旬の反動という波形は、11月内は残る見込み。低価格帯PBの売上比率↑/現金決済比率↑、フードバンク需要の高止まりが想定されます。
- 企業の説明責任:統計空白を挟むため、**IRは“レンジ見通し+代替指標(カード決済・貨物追跡)”**の併記が現実的。再開後の改訂リスクを注記で先出しすると対話が滑らかになります。
- 市場:米株先物は上昇、欧州株は最高値圏。金は4,125ドル前後で、**“有事の備え+利下げ観測”**が下支え。円は154.9円台まで軟化し、外需株・インバウンドに追い風。
“今日から”の現場アクション(自治体・小売)
「SNAPの最終判断は審理・採決の過程にあります。市民の皆さまには紙媒体・多言語でのご案内を継続し、“常温×低価格×PB”の特設棚と紙クーポン、フードバンク窓口をご利用いただけます。」(店頭掲示文例)
2|空の便:今週中の正常化は難しい——1,200便欠航、ビジネス機の一部制限も
いまの実数と運用
- 運航状況:火曜だけで1,200便欠航。ATC(航空管制)人員不足は続き、民間機(チャーター・ビジネス機)については12空港で一時停止や制限が実施されました。今週中の完全正常化は困難との見立てです。
- 計画減便:政府要請に基づく40空港での段階減便(4%→6%→14日に10%)が継続し、20%削減の警告も消えていません。
ビジネス・暮らしへの翻訳
- 物流:直行便枠の争奪が激化し、混載→直行への切替コストが増加。“到着保証日”の前倒しと代替空港の活用が現実策です。
- 旅行・MICE:週末ピーク(⾦夕〜⽉朝)の欠航・遅延リスクが増幅。±72時間の無償振替と乗継+45分を規程として明文化すると満足度を保ちやすくなります。
“すぐ使える”告知テンプレ(旅行・EC・航空販売)
「出発48時間前に一括通知:直行便優先/代替空港(例:DCA/BWI、BOS/PVD)自動提案/±72時間の無償振替/到着保証日前倒しを実施します。」
3|航空・物流:MD-11全面停止の余波——2〜3週間の航空貨物“詰まり”に備える
確定情報と捜査の焦点
- 規制:FAAがMD-11の飛行を禁止(検査完了まで)。UPS/FDXはMD-11を全機一時停止し、操業の代替計画を展開中です。
- 調査:UPS機の墜落ではCVR/FDRの記録から警報音が最終瞬間まで鳴動、整備履歴の重点調査が続いています。予備報告は約30日以内の見込み。
サプライチェーンへの実務対応
- キャパ狭窄:段階減便(〜10%)×MD-11停止が重なり、2〜3週間は空き枠がタイトに。高回転SKUの前倒し集荷/倉庫間横持ち/混載→直行の“地ならし”で詰まりを回避。
- 契約・保険:迂回費用・デマレージの分担を臨時覚書で明文化。事業中断(BI)は暫定支払いの枠を早期確保し、SLA悪化の時間差を圧縮。
- 顧客告知・雛形
「米国内の航空貨物は当面**+1〜3営業日**の遅延見込みです(地域別の最新値は当社ダッシュボードで更新)。直行優先/代替空港活用/当社負担の迂回費用範囲を、本日付覚書で共有します。」
安全文化の再点検(社内向け)
- “重大インシデントは契約の見直しサイン”:重整備・改修の外注先やパーツの追跡に関するKPIを、保険・調達・運航で共通化。月次レビューで“紙ではなくログ”を見る体制へ。
4|COP30(ベレン):資金×森林×実装(MRV)の“三点勝負”——会場前での衝突が示した“痛点”
現地で起きたこと
先住民のデモ隊が会場入口に押し寄せ、一時衝突。軽傷者が出たものの、交渉自体は継続され、入口は本日再開予定。**「土地の保護」「資源開発への歯止め」**が改めて前面化しました。
交渉の主戦場
- 資金:損失と被害(L&D)基金、移行金融、自然資本の枠組みを“誰が、いつ、どの条件で”供給するか。
- 森林:アマゾンを含む森林保全とサプライチェーンのトレーサビリティ強化。森林リスク商品(木材・牛・大豆・パーム等)をどう“見える化”するか。
- 実装(MRV):衛星×地上センサーで測定・報告・検証を回し、虚偽やグリーンウォッシュを抑止する“運用回路”づくり。
企業への翻訳(すぐ動ける設計)
- 脱炭素会計:カテゴリ11/15まで“薄く広く”算定を開始、MRVは外部連携で試行。
- 森林リスクDD:仕入先の地理情報+第三者監査ログを一次→二次へ拡張。**苦情処理窓口(GRM)**を設計し、2026年度に第三者保証の付与を目標化。
- 観光・地域:先住民観光では正当な対価と安全配慮を明文化し、**写真だけの“持ち帰り”**を避ける運用に。
5|中東:**ガザ“国際安定化部隊(任期2年)”**の安保理交渉が続行——一本化窓口×優先スロット×監査が“人道と保険”の共通言語
論点の現在地
米国起草の安保理決議案は、暫定統治体+国際安定化部隊(ISF)に2年のマンデートを与える設計。世銀は草案を支持する書簡を提示し、資金の呼び水を示しました。一方で、参加国の幅・撤収タイムライン・法的枠組みなど課題は多く、合意形成にはなお時間を要します。
人道・物流・保険への実装
- 一本化窓口:許認可・立入・通過量を統合し、医薬・栄養・電源を優先スロットで処理。
- 第三者監査:“通過数/遅延/没収”ログを第三者が監査して公開し、戦争危険料・寄港地費の段階縮小を交渉。
- 契約雛形(フォワーダー→荷主)
「寄港地・倉庫の二重化、治安・遅延の閾値で迂回トリガー自動発動。危険料はKPI連動で段階減額。優先貨物=医薬・栄養・電源。」
6|ウクライナ:ポクロフシクの攻防が家屋単位に——冬の補給線がカギ
最新の情勢
露軍の浸透を示す映像が相次ぎ、“マッドマックス風”の車列も報じられました。ウクライナ側は包囲を否定しつつ守勢を続行。クラマトルスク/スラビャンスク方面の後背地と連動する補給線の維持が焦点です。
現場ヒント(企業・自治体)
- 電力運用:分散電源+非常用電源の二層冗長、“非操業日の寄せ”でピーク電力を平準化。
- 透明化:被害・復旧マップを時系列公開し、再保険・復旧資金の引受条件を改善。
- 周知:アナログ媒体+訪問ケアで情報弱者を取り残さない。
7|市況:原油横ばい・金は4,125ドル前後・株はリスクオン、円は154.9円台
- 原油:前日上昇の反動をこなしつつ、Brent約65.1/WTI約61.0ドルで小動き。米政府再開期待がジェット燃料需要の回復期待につながるとの見方。
- 金:4,125ドル前後で高止まり。下院採決待ちで様子見ながら、利下げ観測が支え。
- 株式:欧州株は最高値圏、米株先物も上昇。閉鎖終結期待とAI関連のリバウンドが後押し。
- 為替:USD/JPYは154.9円前後まで円安。日本当局のけん制は続くも、米再開観測×金利観測がドルを支えました。
投資家ミニチェック
- 金利±50bp/USDJPY±3円/原油±5ドルでポート損益帯を更新。
- 燃料・運賃は指数連動+キャップ+満期ラダー(3/6/9/12カ月)でP/Lのブレを機械化。
- **AIサプライチェーン(電力・冷却・不動産)**への二次波及を点検。
8|“すぐ使える”業種別テンプレ(7シーン)
A|小売(米国現法)
- 課題:SNAPの制度不確実と移動制約で月初需要の谷が残る。
- 運用:常温×低価格×PBを月初3日は前出し、電子棚札の当日値引き、紙クーポン常備、フードバンク棚を入口近くに。FAQに**“閉鎖影響と価格改定の根拠”**を記載。
- 文例:
「SNAPの運用は審理・採決の過程にあります。常温・低価格・PBの特設棚と紙クーポンをご利用ください。フードバンク窓口はサービスカウンター横です。」
B|EC・荷主・フォワーダー
- 課題:段階減便(〜10%)×MD-11全面停止で航空貨物枠がタイト。
- 運用:混載→直行、高回転SKU前倒し集荷、倉庫間横持ち、迂回費用・デマレージの覚書化、遅延ダッシュボード週2更新。
- 文例:
「直行便優先・代替空港活用により**+1〜3営業日の遅延**見込みです。影響地域と回復見通しはダッシュボードで随時更新します。」
C|旅行・出張・MICE
- 課題:連日の1,000便超欠航、ビジネス機の一部制限、今週中の正常化は困難。
- 運用:乗継+45分を社内必須、週末ピーク回避、代替空港(DCA/BWI、BOS/PVD等)の同等扱い、±72時間の無償振替を標準に。
- 文例:
「出発48時間前の一括通知で、直行優先/代替空港自動提案/±72h振替/到着保証日前倒しを実施します。」
D|製造・装置・素材(燃料・運賃連動)
- 課題:原油65/61ドルでもヘッドラインに敏感。
- 運用:サーチャージ=指数連動+キャップ+満期ラダー、原油±5ドルの感応度表を月次更新。
E|人道・医療(ガザ)
- 課題:ISF案の実装に向け許認可・通過量が変動。
- 運用:一本化窓口×優先スロット(医薬・栄養・電源)、第三者監査ログの公開で保険料・寄港地費の段階縮小を交渉。
F|サステナビリティ(COP30)
- 課題:資金×森林×MRVの“実装圧”。
- 運用:MRV外部委託を年内試行、森林リスクDDの地理情報+GRMを設計、2026年度に第三者保証を目標化。
G|財務・IR
- 課題:統計欠測とSLA悪化で説明責任が増す。
- 運用:代替データに基づくレンジ見通し、閉鎖解除後の改訂リスクを脚注で。COP30の合意骨子は**自社KPI(MRV・DD・GRM)**に翻訳して提示。
9|チェックリスト(“今日から回す”小さなPDCA)
- 移動/輸送:直行優先/乗継+45分/±72h無償振替を標準化。代替空港の同等扱いを規程に明記。
- 在庫/調達:**3/6/9/12カ月ラダー×依存先20%**で集中リスクを分散。
- 燃料/運賃:指数連動+キャップ+満期ラダーでP/Lのブレを機械化。
- 広報/顧客:遅延ダッシュボードを週2更新、FAQに閉鎖・減便・MD-11停止の影響と補償を明記。
- 人道:一本化窓口×優先スロット×第三者監査で速度と透明性を両立(ガザ)。
- サステナビリティ:COP30の“資金・森林・実装”を社内KPIに落とし込み、来期投資計画と連動させる。
10|きょうのエッセンス(要約)
- 閉鎖42日目、下院採決で終結が視野。SNAP継続条項を含む妥結案で、統計再開・行政復旧が段階的に戻ります。**説明は“レンジ+代替データ”**で。
- 空の便は1,200便欠航、12空港でビジネス機制限も。今週中の完全正常化は難。直行化・代替空港・±72h振替が“旅と物流”の守り。
- MD-11飛行禁止で航空貨物キャパは2〜3週タイト。前倒し集荷/迂回費用条項/暫定支払いで詰まりを減らす。
- COP30は資金×森林×実装が主戦場。会場前の衝突は“権利と透明性”の重さを映し出しました。MRV・森林DD・GRMを今日から設計。
- ガザ安定化部隊案は一本化窓口+優先スロット+監査が人道と保険の共通言語。合意形成はなお曲折。
- ポクロフシクは補給線の争奪で消耗戦。二層冗長電源/復旧マップ公開で都市の粘りを。
- 市況は原油横ばい・金高止まり・株高・円安。三面感応とサーチャージ機械化で“説明できるP/Lと運用”へ。
