2025年11月15日の世界主要ニュース総まとめ:米政府“再開3日目”で統計・行政が段階復旧、FAAは減便率を“6%→3%”へ半減、MD-11全面停止は継続、COP30は大規模デモと先住民の封鎖—交渉は続行、ロシアの大規模空爆とウクライナの黒海油槽所攻撃で原油は不安定、ガザ決議は“米案 vs 露案”の綱引き——株は世界同時安、金は高値圏で往復、為替はドル軟調
“まず3分で全体像”
- 米政府再開:最長43日の閉鎖が終わり各機関が業務再開。深い政治対立は残存、統計は**10月分に“空白”**が残る見込み。BEAは新しい発表カレンダーを組み直し。
- 空の便:FAAは計画減便を6%→3%に半減。エアライン各社は早期の通常運行を視野に。
- 航空・物流:UPSの墜落を受けたMD-11の飛行禁止は継続。UPS/FDXの50機超が停止、左エンジン+パイロン脱落が主な焦点。
- COP30(ブラジル・ベレン):先住民の入口封鎖や数千人規模のデモが続く一方、**資金・森林・実装(MRV)**の交渉は進行。
- 東欧情勢:ロシアの大規模ミサイル/ドローン攻撃でキーウに死傷者。同時にウクライナは露・ノヴォロシースク油槽所へ長距離無人機攻撃、原油の供給不安が点灯。
- 中東:ガザの安保理決議を巡り、米案(安定化部隊2年マンデート)と露案が同時進行。世銀は米案の文言を支持。
- 市況:世界株は利下げ観測の後退で売りが優勢。金は高値圏→やや反落、原油は地政で上下。
この記事が「特に役立つ」読者像(具体像)
① 経営層・CFO・SCM/購買・物流・広報/IR(製造・小売・EC・観光・IT・エネルギー)
米政府再開による許認可・入札・査察の復旧工程、FAAの減便半減やMD-11停止が調達・在庫・納期へ与える影響を、運用フローに直結する粒度で整理します。
② 官公庁・自治体・医療・教育・人道支援/NPO
統計・給付の遅延、ガザの人道アクセス、**COP30での“権利と透明性”**を、紙媒体×多言語×一本化窓口×優先スロットという現場の型に落とします。
③ 個人投資家・渡航者・出張担当
株安・金高もち合い・原油不安定のなかで、金利±50bp/USDJPY±3円/原油±5ドルの感応度を旅程や持ち高に“常設”する方に。
1|米政府“再開3日目”:統計は戻るが10月に“空白”——行政・市場の“見通し”をどう回復するか
何が確定したか
- 政府機能は再開したものの、対立の火種は残存。43日という最長閉鎖で低所得層の食支援や航空運用まで影響が及びました。“再開=即正常”ではなく、段階復旧の局面です。
- BEAは新たな発表カレンダーの編成に着手。専門家は**「10月分は恒久的な盲点(blind spot)」**になる恐れを指摘しています。
経済・社会への含意
- 政策判断:統計の空白がFRBの手触りを鈍らせ、市場の期待もぶれやすい。**“データの霧”**という表現どおり、再開後もしばらく視界は悪いとの見立てが優勢です。
- 実務翻訳(IR/広報):
- **“レンジ見通し+代替指標(カード決済・貨物トラッキング等)”**を注記で併記。
- “統計再開→改訂リスク”を脚注化し、上方/下方改訂の幅と前提を先出し。
- サンプル告知:
「統計・給付は順次再開しますが、10月分の欠測により見通しはレンジ表記といたします。カート決済・物流KPIなど代替指標も併記します。」
2|空の便:FAAの計画減便“3%”へ半減——“実運用”は早期の平常化へ
今日の確定情報
- FAAは計画減便率を6%→3%に半減。コントローラー(ATC)の欠勤減少と政府再開を受け、段階的な正常化に踏み出しました。
企業・旅行の運用に翻訳
- 物流:到着保証日は**+1営業日の“前倒し”を今週いっぱい**維持→翌週から通常に戻す“段階復帰”。
- 出張・旅程:乗継+45分/代替空港の同等扱い/±72時間の無償振替を11月内の標準に据え、12月第1週で見直し。
- テンプレ(旅行・EC・航空販売):
「出発48時間前に一括通知:直行優先/代替空港(DCA/BWI、BOS/PVD等)自動提案/±72h無償振替/到着保証日前倒しを実施します。」
3|航空・物流:MD-11全面停止の“痺れ”は継続——UPS/FDX 50機超、焦点は左エンジン+パイロン
事実関係(更新)
- FAAはMD-11の飛行を禁止(検査完了まで)。UPS/FDXは50機超を停止、整備履歴やCVR/FDRの解析が継続。左エンジンとパイロンの脱落が主要論点です。
サプライチェーンの“今すぐ”対策
- キャパ:3%減便×MD-11停止で、空き枠はなおタイト。高回転SKUの前倒し集荷/倉庫間横持ち/混載→直行で積替え損失を圧縮。
- 契約・保険:迂回費用・デマレージの分担を臨時覚書で明文化。事業中断(BI)は暫定支払い枠を先取りしてSLA悪化の時間差を短縮。
- 対外コミュニケーション文例:
「米国内の航空貨物は**+1〜3営業日**の遅延見込みです。直行優先/代替空港活用と、当社負担の迂回費用範囲を覚書で共有します。」
4|COP30(ベレン):数千人規模のデモと先住民の入口封鎖——それでも**資金×森林×実装(MRV)**は前へ
現地の今日
- 先住民による会場入口の封鎖や大規模デモが続き、化石燃料“葬儀”のパフォーマンスなど、強いメッセージが街を覆いました。交渉は続行され、資金・森林・MRVが主戦場。
企業への実務翻訳(“薄く広く”導入)
- MRV:衛星×地上センサーの外部連携を年内試行(範囲は薄く、対象は広く)。
- 森林リスク:木材・牛・大豆・パーム等の地理情報+第三者ログを一次→二次サプライヤーへ拡張。
- GRM:先住民・地域の苦情処理窓口を常設し、2026年度に第三者保証を付す。
- 観光・地域連携:“撮影だけ”の無償利用を避け、正当な対価と安全配慮を契約に明文化。
5|東欧:キーウへの大規模攻撃とノヴォロシースク油槽所攻撃——**原油は“地政スイング”**に
今日の確定情報
- ロシアがキーウなどへ大規模ミサイル/ドローン攻撃。死傷者とインフラ被害が発生し、在キーウ・アゼルバイジャン大使館の損傷も確認。
- ウクライナは黒海側・ノヴォロシースクの油槽所などへ長距離無人機攻撃。同港の輸出停止が世界供給の約2%に影響との見立ても。
経済・社会への影響
- 燃料コスト:原油は63/59ドル台を軸にニュースで上下。±5ドルの感応度で**サーチャージ(指数連動+キャップ+満期ラダー)**を“仕組み化”。
- レジリエンス:分散電源+非常用電源の二層冗長を“冬季モード”へ。発電燃料の在庫日数KPIを週次で可視化。
6|中東:ガザ決議“二案併走”——米案(安定化部隊2年)と露案が対峙、世銀は米案に前向き
現在地
- 米国起草の安保理決議案はガザ安定化部隊(2年マンデート)と暫定統治枠を含む。世銀は書簡で草案支持を示し、一方でロシアは対抗案を提出。来週にも採決観測が流れます。
人道・物流・保険の共通言語
- 一本化窓口:許認可・立入・通過量を統合ポータルで処理。
- 優先スロット:医薬・栄養・電源の優先通過を“規格”化。
- 第三者監査:“通過数/遅延/没収”ログの監査・公開で、戦争危険料・寄港地費の段階縮小を交渉。
- 契約雛形(フォワーダー→荷主)
「寄港地・倉庫の二重化/治安・遅延の閾値で自動迂回発動。危険料=KPI連動で段階減額。優先貨物=医薬・栄養・電源。」
7|市況:株は世界同時安、金は高値圏→持ち戻し、原油は地政で乱高下
- 株式:利下げ観測の後退やAI関連の過熱観測で世界同時安。米欧アジアで広く下落。
- 金:政府再開後のポジション調整で一時反落も、高値圏を維持。**“安全資産+データ不確実”**が下支え。
- 原油:需給の緩み観測と地政要因の綱引きで63/59ドル前後の往復。
投資家“ミニチェック”
- 金利±50bp/USDJPY±3円/原油±5ドルの損益感応表を更新。
- 燃料・運賃は指数連動+キャップ+満期ラダー(3/6/9/12か月)でP/Lのブレを機械化。
- AI×データセンター裾野(電力・冷却・不動産)の二次波及を点検。
8|“今日から回す”業種別テンプレ(7シーン)
A|小売(米国現法)
- 課題:給付・統計は再開も、10月の盲点で需要読みがブレる。
- 運用:常温×低価格×PBを各月初3日に前出し、紙クーポン・多言語掲示を継続。“前日EC予約+翌日引換”でイベント販促を時間分散。
B|EC・荷主・フォワーダー
- 課題:3%減便でもMD-11停止で航空貨物枠が逼迫。
- 運用:混載→直行、高回転SKU前倒し、倉庫間横持ち、迂回費用・デマレージの覚書化、遅延ダッシュボード週2更新。
C|旅行・出張・MICE
- 課題:早期正常化が見えるが接続ミスの尾は残る。
- 運用:乗継+45分/代替空港同等扱い/±72h無償振替を11月標準に。出発48時間前の一括通知を徹底。
D|製造・装置・素材(燃料・運賃連動)
- 課題:原油の“地政スイング”。
- 運用:サーチャージ=指数連動+キャップ+満期ラダー、原油±5ドルの感応表を月次+臨時で更新。
E|人道・医療(ガザ)
- 課題:**“米案 vs 露案”**で運用設計が不安定。
- 運用:一本化窓口×優先スロット×第三者監査を事前合意に落とし込み、保険・寄港地費の段階縮小をKPI連動で交渉。
F|サステナビリティ(COP30)
- 課題:権利・森林・MRVの実装圧。
- 運用:衛星×地上MRVの社外委託を年内試行、森林リスクDDを二次まで拡張、GRMを常設し2026年度の第三者保証を目標化。
G|財務・IR
- 課題:統計の空白と市況の往復で説明責任が増す。
- 運用:レンジ見通し+代替指標を明記、再開後の改訂リスクを脚注化。地政→燃料→運賃の**“階段(ラダー)”**でP/L感応を図示。
9|チェックリスト(“今日から回す”小さなPDCA)
- 移動/輸送:直行優先/乗継+45分/±72h振替を11月標準に、代替空港の同等扱いを規程化。
- 在庫/調達:**3/6/9/12か月ラダー×依存先20%**で集中回避。
- 燃料/運賃:指数連動+キャップ+満期ラダーでP/Lのブレを機械化。
- 広報/顧客:遅延ダッシュボードを週2更新、FAQに**“3%減便・MD-11停止”**の影響と補償を明記。
- 人道:一本化窓口×優先スロット×第三者監査で速度と透明性を両立(ガザ)。
- サステナビリティ:COP30の“資金・森林・MRV”を自社KPIに翻訳。
10|きょうのエッセンス(要約)
- 米政府は再開したが、10月統計の盲点で**“データの霧”**が当面続く。BEAの新日程を前提に、“レンジ見通し+代替指標”で説明力を補強。
- 空の便は減便3%へ。早期の平常化が視界に入り、**旅と物流の“段階復帰”**を設計。
- MD-11全面停止は継続、UPS/FDX 50機超の穴を直行化・横持ち等で埋める“運用の知恵”が必要。
- COP30はデモと封鎖の熱気の中でも、資金×森林×MRVの実装論点が深まる。薄く広いMRVと森林DD+GRMを今日から。
- キーウ空爆×黒海油槽所攻撃で原油は地政スイング。サーチャージを“仕様”にしてP/Lを守る。
- ガザは**“米案 vs 露案”**が並走、世銀は米案支持。一本化窓口×優先スロット×監査が人道と保険の共通言語。
- 市況は株安・金高圏もち合い・原油往復。三面感応とラダー化で“説明できるポジション”へ。
参考資料(主要ソース・見出し)
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米政府再開/統計:政府は再開、深い対立は残存。BEAが新カレンダーを編成、10月の盲点指摘。
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航空:減便は3%へ半減。
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MD-11:飛行禁止継続、UPS/FDX 50機超が停止、左エンジン+パイロン脱落が焦点。
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COP30:入口封鎖・大規模デモも交渉続行(資金・森林・MRV)。
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東欧情勢:キーウ大規模攻撃/黒海油槽所攻撃で供給不安。
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ガザ:米案(安定化部隊2年)と露案が並走、世銀は米案を支持。
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市況:世界株は利下げ観測後退で売り、金は高値圏→反落、原油は往復。
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EU 2040目標:**“90%削減(国外クレジット5%)”**を可決。
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英国SMR:ウィルヴァ(Wylfa)にSMR建設、米側は不満。
