2025年11月25日・世界ニュース総まとめ
ウクライナ和平へ水面下交渉、パレスチナ経済「歴史的崩壊」、日本・高市首相とトランプ電話協議、シンガポールがApple/Googleに“なりすまし”規制
きょうのポイント(ざっくり押さえる版)
- ロシア軍が首都キーウを含むウクライナ各地にミサイルとドローン攻撃。少なくとも6人が死亡し、発電所などエネルギー施設が被害を受けました。一方で、米国とロシアはアラブ首長国連邦アブダビで極秘和平協議を実施し、「停戦と捕虜交換」を軸にした新たな案を協議しています。
- 国連貿易開発会議(UNCTAD)は、パレスチナ経済が「統計が残る1960年以降、世界で最悪級の崩壊」に直面していると報告。2年にわたるガザ戦争と西岸での制限により、1人あたりGDPは2003年水準まで逆戻りし、「22年分の発展が帳消しになった」と指摘しました。
- レバノンでは、停戦発効後も続くイスラエル軍の空爆で、民間人127人が死亡したと国連が報告。ガザ停戦もたびたび違反が指摘され、「戦闘は止んでも人々の暮らしは戦時のまま」という状況が続いています。
- 世界の株式市場は、12月の米利下げ観測が強まり続伸。市場は「次回会合で0.25%利下げの確率を8割超」と織り込み、米欧アジアの株価指数がそろってプラス圏となっています。
- 米政府は43日間の「政府閉鎖」を続けており、感謝祭シーズンの航空需要が冷え込み。TSA職員の無給勤務や空港インフラ投資の遅れも重なり、航空各社は減便や人件費調整を迫られています。
- 政府閉鎖の影響で、オバマケア(医療保険補助)を頼りにする米国民の一部が加入を先送り、あるいは断念していることも判明。無保険リスクの高まりが医療費破産や健康格差につながる恐れが指摘されています。
- 日本では高市早苗首相がトランプ米大統領と初の電話会談を実施。「いつでも電話してきていい」とのメッセージを受け取ったとし、台湾有事発言で冷えた日中関係の中で、米国との個人的関係を強調しました。
- シンガポール政府は、AppleとGoogleに対し、iMessageやGoogleメッセージで「gov.sg」など政府機関を装ったアカウント名の利用・表示を制限するよう命令。フィッシング詐欺への対策として、年内に仕様変更を求めています。
- アフガニスタンのタリバン政権は、パキスタン軍の空爆で子ども9人と女性1人が死亡したと非難し、「報復する」と表明。両国関係は再び緊張を高めています。
- ロシア政府は、5兆円超の負債を抱える国有鉄道企業「ロシア鉄道」の支援策を協議中。債務保証や資本注入などが検討されており、戦時経済の歪みがインフラ企業の経営を圧迫している実態が浮かび上がっています。
この記事が特に役立つ方と、読み方のご提案
きょうのまとめは、次のような方を具体的にイメージして書いています。
- 日本企業で、経営企画・海外事業・リスク管理・財務・IR・サステナビリティなどを担当されている方
- 株式・投信・債券・FX・コモディティ・暗号資産などで資産運用をしている個人投資家の方
- 国際政治・安全保障・国際経済・人権・テクノロジーを学ぶ高校生・大学生・社会人の学習者
- 自治体・教育・医療・福祉・NGO/NPOなどで、「世界情勢が自分の現場にどう響くか」を知りたい方
構成は、重要度の高いテーマから順に並べた逆三角形型です。
- ウクライナ:キーウ攻撃とアブダビでの米露協議、ロシア鉄道の負債問題(第1章)
- パレスチナ:UNCTAD報告による「史上最悪の経済崩壊」と、レバノン・ガザの停戦下の犠牲(第2章)
- 世界経済・市場:米利下げ観測、株高・金・ビットコイン調整、ノキアのAI投資・アリババ決算など(第3章)
- 米国内政:政府閉鎖の長期化が航空・医療保険に与える影響(第4章)
- アジア:高市首相とトランプ大統領の電話会談、ASEANとミャンマー、アフガニスタンとパキスタンの緊張(第5章)
- テックと社会:シンガポールのApple/Google規制で見える「なりすまし」と詐欺対策(第6章)
- 最後に、「きょうのニュースを自分ごとにするヒント」(第7章)
お時間が限られていれば、第1〜3章だけでも「安全保障+世界経済」の大枠がつかめます。
余裕があるときに、第4章以降をゆっくり読んでいただくと、暮らしや仕事に近いテーマとのつながりも見えやすくなります。
第1章 ウクライナ:キーウ再攻撃とアブダビ米露協議、ロシア鉄道の「戦時負債」
1-1. キーウにミサイル・ドローン攻撃、インフラも標的に
ロイターによると、25日未明、ロシア軍はウクライナの首都キーウを含む各地にミサイルとドローンで大規模攻撃を行い、少なくとも6人が死亡、多数が負傷しました。
- 攻撃の主な標的は送電施設や変電所など、エネルギーインフラ。
- 首都圏や周辺で停電が発生し、一部地域では暖房や水道にも影響が出ています。
- ルーマニアは、自国領空に侵入したロシアのドローンを追跡するため戦闘機を緊急発進させたと発表し、NATO領域への波及リスクも意識される状況です。
エネルギーを狙った攻撃は、冬を迎える一般市民の生活・医療・産業活動に直結します。暖房が止まれば凍死リスクが高まり、停電は病院や工場の稼働を妨げ、経済にも大きな打撃です。
1-2. アブダビで米露が水面下協議、「強い停戦案」も当事者は難色
同じ25日、アラブ首長国連邦アブダビでは、米陸軍長官ダン・ドリスコル氏がロシア当局者と面会。米紙報道をロイターが追認する形で、米露間の極秘和平協議の存在が明らかになりました。
- ここで話し合われたのは、前日に米・ウクライナがジュネーブで協議した「修正和平案」を、ロシア側にも飲ませるための調整と見られています。
- 一方、スーダン内戦を巡る停戦案も同じ枠組みで提示されているものの、いずれの陣営も正式受諾していないとトランプ政権の特別顧問が語っています。
「停戦を話し合いながらミサイルも撃つ」という矛盾した状況は、市民にとっては到底納得しがたいものです。
しかし現実の外交は、戦場の圧力と並行して水面下の交渉が進むことが多く、今もまさにその典型的な局面にあります。
1-3. ロシア鉄道の5兆円超負債、戦時経済の「ひずみ」
ロシア政府は、負債が約510億ドル(約5.1兆円)に膨らんだ国有企業ロシア鉄道の救済策を検討中だと報じられました。
- ロシア鉄道は、貨物・旅客輸送だけでなく軍事輸送の要でもあり、戦時下の物流を支える「大動脈」です。
- しかし制裁・設備老朽化・戦争関連輸送の増加などが重なり、債務の返済能力が不安視されています。
- 政府内では、債務保証・追加出資・運賃改定など複数案が議論されているといいます。
同時に、EUは凍結したロシア資産を担保にしたウクライナ向け融資を検討中ですが、格付け会社は「加盟国の信用度に大きなマイナスにはならない」との見方を示しています。
経済への影響:エネルギー・物流・債券市場
- ロシアのインフラ企業の財政悪化は、国内の貨物輸送遅延や投資減少を通じて、エネルギー輸送や農産物輸出にも影響し得ます。
- インフラ救済に政府資金が投じられれば、財政赤字やインフレ圧力を高め、ルーブルやロシア国債の信認にも関わります。
- 一方で、EUのウクライナ向け融資は「ロシア資産を使う」という象徴的な意味を持ち、将来の賠償スキームのモデルケースになる可能性があります。
社会への影響:戦争のコストが可視化され始めたロシア国内
- 兵士や市民の犠牲だけでなく、「鉄道が古くなり、列車が遅れ、サービスが低下する」といった形で、戦争のコストがロシア国民の生活にもじわじわと滲み出てきます。
- インフラの老朽化やサービス劣化は、地方住民ほど影響を受けやすく、地域間格差・不満の拡大にもつながりかねません。
第2章 パレスチナ:UNCTADが「22年の発展が消えた」と警告、停戦下のレバノンでも犠牲続く
2-1. UNCTAD報告:パレスチナ経済は「統計史上最悪級の崩壊」
国連貿易開発会議(UNCTAD)は、パレスチナ経済が過去最悪の崩壊に直面しているとする報告書を発表しました。
主なポイントは次の通りです。
- 2年にわたるガザ戦争と、イスラエル占領下ヨルダン川西岸での移動制限・検問・入植拡大が、インフラ・生産設備・公共サービスを大きく破壊。
- 1人あたりGDPは2024年末時点で2003年水準まで落ち込み、「22年分の経済・社会発展が帳消しになった」。
- 経済危機の深刻さは、「1960年以降、世界で10件しかない最悪級のケースの一つ」と評価。
- ガザの復興には数十年単位の支援が必要で、西岸も過去最悪の景気後退にある。
UNCTADは、「現在の制限や封鎖が続く限り、どれだけ援助資金が投入されても、持続的な発展は難しい」と警鐘を鳴らしています。
2-2. レバノン:停戦後も空爆で民間人127人死亡
国連人権高等弁務官事務所によると、イスラエルとヒズボラの停戦が発効した10月10日以降も、南レバノンではイスラエル軍の空爆が続いており、少なくとも127人の民間人が死亡したと報告されました。
- 多くは農村部や難民キャンプ周辺に住む一般市民で、子どもや高齢者も含まれています。
- 国連は、「停戦合意の精神に反する」として、無差別攻撃をやめるようイスラエルに求めています。
ガザでも、停戦合意後に少なくとも300人以上のパレスチナ人が攻撃で死亡しており、「停戦=安全」ではない現実が続いています。
2-3. 経済的な影響:復興コスト・投資リスク・難民問題
-
復興コストの巨額化
- インフラや住宅、工場・商店などの破壊は、再建に数百億ドル規模の費用と長い時間を要します。
- 湾岸諸国・欧州・日本などがどこまで資金を拠出するかが国際政治の大きな論点になります。
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投資・雇用への影響
- 安定しない治安と度重なる破壊により、民間投資が戻りにくく、「援助依存」と「失業」の悪循環が続きます。
- 若年層の高失業は、社会不安や過激思想への流入リスクを高め、さらに治安が悪化する……という負のスパイラルが懸念されます。
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難民・移民の増加
- 経済的な行き詰まりは、人々を国外流出へと押し出し、欧州や中東近隣国の難民・移民受け入れにも影響します。
- 教育を受けられない子どもが増えれば、将来の人的資本の損失が世界全体の課題にもなります。
2-4. 社会への影響:「再建」の前提条件としての自由な移動と尊厳
UNCTADの報告は、単にお金を投じればよい問題ではなく、
- 移動の自由
- 資源や市場へのアクセス
- ガバナンス(統治)の改善
といった「構造条件」を変えなければ、復興が空回りしてしまうと指摘しています。
日本からは遠い地域に見えても、エネルギー価格・難民問題・国際援助予算などを通じて、私たちの生活ともつながっていくテーマです。
第3章 世界経済と金融市場:利下げ期待で株高、ビットコインは「健全な冷やし」、AI投資と中国ネット企業
3-1. 米利下げ期待8割、世界株がじわり上昇
ロイターのマーケットレポートによると、世界の株式市場は25日、米利下げ期待を追い風に上昇基調となりました。
- CMEフェドウォッチによれば、市場は12月会合での0.25%利下げを約81%の確率で織り込み、1週間前の42%から大きく上昇。
- アジア・欧州・米国の主要株価指数はいずれもプラス圏で推移し、「ソフトランディング」への期待が意識されています。
金価格は、1週間ぶりの高値をつけたのち、ドル高一服と利下げ期待を背景にやや反落。市場は、米政府閉鎖の影響で公表が遅れている経済統計を見極めようとしています。
3-2. ビットコインETFから資金流出、「健全なリセット」か
暗号資産市場では、ビットコインETFからの資金流出が過去最悪ペースとなり、「ローンチ以来最悪の月」と報じられています。
- ビットコイン価格は9万3000ドルを割り込む場面もあり、リスクオフ局面での売り圧力が顕在化。
- 一方で、ETF運用会社の担当者は「過熱感を冷ます健全なリセットであり、長期投資家にはむしろ参入余地を与える」とコメントしています。
経済・投資への影響
- 利下げ期待が高まる中でも、ハイリスク資産のビットコインには調整が入り、「金利低下=なんでも上がる」という単純な構図ではないことが見えてきます。
- ポートフォリオ上は、株・債券・金・暗号資産などの役割を改めて整理し、自分のリスク許容度に合った配分を考えるタイミングとも言えますね。
3-3. ノキアが米国に40億ドルのAI投資、日本企業への示唆
フィンランドの通信機器大手ノキアは、米国内でAI対応ネットワーク向けの研究開発・生産に**40億ドル(約6200億円)**を投資すると発表しました。
- 投資先はテキサス、ニュージャージー、ペンシルベニアなど複数州で、量子耐性ネットワークや半導体製造・検査など高度なR&Dも含みます。
- 米トランプ政権との協調を強調し、「安全保障・生産拠点の国内回帰・AIインフラ強化」をセットで進める象徴的な案件と位置づけられています。
日本企業にとっては、
- 「AIそのもの」だけでなく、「AIを流すためのネットワーク」「データセンター」「電力・半導体」といった“裏側のインフラ”に、巨大投資が集まっている
- そのインフラをどこに置き、どの国の安全保障と結びつけるかが、ビジネス判断にも影響する
という流れを意識する必要がありそうです。
3-4. アリババ決算と欧州自動車販売:消費とEVの行方
中国EC大手アリババは、四半期売上高が約350億ドルに達し、市場予想を上回ったと発表しました。一方で純利益は前年同期比53%減少。米上場株は寄り付きで2%ほど上昇しました。
- 一時間配送サービスへの投資がユーザー獲得に奏功し、競争の激しい国内EC市場での存在感を維持。
- クラウド部門も堅調で、中国国内のAI・クラウド需要が続いていることがうかがえます。
欧州では10月の新車販売が4.9%増加し、EV(電気自動車)がガソリン・ディーゼル車の伸びを上回ったと自動車工業会(ACEA)が発表しました。
- ただし補助金縮小や充電インフラ不足への懸念から、成長ペースはやや鈍化しつつあるとの指摘もあります。
第4章 米国:43日目の政府閉鎖が航空と医療保険を直撃
4-1. 感謝祭の空の便、記録的需要予測から一転減速
米国では、感謝祭に向けた航空需要が「過去最高」と予測されていましたが、実際には43日間に及ぶ政府閉鎖の影響で、多くの人が旅行計画を見直しています。
- 連邦航空局(FAA)や運輸保安局(TSA)の一部職員は無給で働かざるを得ず、士気低下や人員不足から遅延や欠航リスクが高まっています。
- 航空各社は、需要の読み直しと人件費・燃料費の高止まりを踏まえ、便数削減や運賃設定の見直しを迫られています。
経済への影響
- 感謝祭・年末商戦は米小売業にとって最大の書き入れ時であり、旅行需要の鈍化はホテル・飲食・観光地にも波及します。
- 航空会社の収益悪化は、雇用や機体購入計画にも影響し、日本の航空機関連メーカー・部品サプライヤーにとっても無関係ではありません。
4-2. オバマケア加入を「待つか、諦めるか」 無保険リスクの拡大
別のロイター特集では、オバマケア(医療保険制度改革法)の補助金に頼る人々が、政府閉鎖の影響で保険加入を遅らせたり、断念したりしている実態が報じられました。
- IRS(内国歳入庁)の業務停滞などにより、補助金の手続きや情報提供が遅れ、「本当に補助が受けられるのか分からない」という不安が広がっています。
- 高額な保険料を前に、「とりあえず今年は無保険で我慢する」という選択をする人も出ているとのこと。
社会への影響
- 無保険者が増えると、病気の発見が遅れやすくなり、重症化した後で救急医療に頼らざるを得ないケースが増えます。
- 結果的に、医療費全体や病院の負担が増し、保険料や税金を通じて社会全体のコストとして跳ね返る可能性があります。
日本でも「医療財政」「社会保障の持続性」が議論になりますが、米国の例は「政治的な対立が、市民の健康と生活にダイレクトに響く」ことをよく示していると言えそうです。
第5章 アジア:高市首相とトランプ電話会談、ASEANとミャンマー、アフガニスタンとパキスタン
5-1. 高市首相、「いつでも電話して」とトランプ大統領からメッセージ
高市早苗首相は25日午前、トランプ米大統領と就任後初となる電話会談を行いました。
- 高市首相によると、トランプ大統領からは「いつでも電話してきていい」「日米関係は極めて強固だ」との言葉があったとのこと。
- 台湾有事についての直接的な言及はなかったものの、トランプ氏は前日の習近平国家主席との電話会談を「中国との関係は“極めて良好”」と評価しており、日本としては対中関係と対台政策がどのようにリンクするかを慎重に見極める必要があります。
同日、日本政府は、7日の国会答弁で高市首相が示した「台湾有事は存立危機事態となり得る」との発言について、「従来の政府見解を完全に維持したもの」とする答弁書を閣議決定しました。
経済・社会への意味
- 中国による対日旅行ボイコットや日本産水産物の輸入停止など、すでに観光・食品産業への打撃が出ています。
- 生産拠点・販売市場として中国に依存する日本企業は、**政治リスクを前提とした「中国+1」「サプライチェーン分散」**の必要性を改めて突き付けられています。
5-2. ASEANとミャンマー:選挙後も「関与は難しい」
タイ外相は、ASEAN(東南アジア諸国連合)がミャンマー軍政との関与を再開するのは、「選挙が行われても非常に難しい」と述べました。
- 軍政は2026年の選挙実施を掲げていますが、反対派勢力や少数民族武装勢力との戦闘が続いており、自由で公正な選挙が行われるとの見方は乏しい状況です。
- ASEAN内でも対応は割れており、タイなど一部は対話重視、他は制裁・非公式接触にとどめる姿勢をとっています。
日本企業や援助機関にとっては、政治リスクの高いミャンマーでの事業・支援の在り方を再考するタイミングになりそうです。
5-3. アフガニスタンとパキスタン:空爆で子ども9人死亡、関係は再び緊張
タリバン政権の報道官によれば、パキスタン軍がアフガニスタン東部に行った空爆により、子ども9人と女性1人が死亡したとされ、政権側は「報復する」と表明しました。
- パキスタン側は、自国領内で攻撃を行う武装組織に対する自衛的措置だと主張。
- 両国は近年、国境沿いの武装勢力や難民問題をめぐり緊張が続いており、今回の空爆もその延長線上にあります。
経済・社会への影響
- 国境地域の不安定化は、物流・貿易・インフラ計画(例えば中パ経済回廊など)に悪影響を及ぼします。
- 子どもが巻き込まれる空爆は、現地コミュニティの憎しみやトラウマを深め、長期的な和平構築を一層難しくします。
第6章 テックと社会:シンガポールがApple/Googleに「なりすまし」対策を義務付け
6-1. gov.sgを名乗る詐欺メッセージに対抗、年内に仕様変更命令
シンガポール内務省は25日、AppleとGoogleに対し、iMessageとGoogleメッセージ上で「gov.sg」など政府機関を装った送信者名の使用や表示を制限するよう命じました。
- すでにSMSでは「gov.sg」名を使える番号を登録制にしていましたが、iMessageやGoogleメッセージには同様の仕組みがなく、詐欺グループが“正式メッセージ風”に装うケースが増えていたためです。
- 新たな命令では、
- 「gov.sg」など政府名を騙るアカウント名の利用禁止・フィルタリング
- 見知らぬ送信者については、名前ではなく電話番号を目立たせる表示
などを求めています。
6-2. 経済・社会への意味:フィッシング詐欺と信頼のインフラ
-
フィッシング詐欺の経済損失
- 政府を装った詐欺は、個人の預金や企業の資金を狙うケースが多く、被害額は国全体で見ると相当な規模になります。
- 金融機関やEC企業にとっても、被害が広がれば「ブランドへの信頼低下」という形でコストが跳ね返ってきます。
-
プラットフォーム責任の強化
- シンガポールは、AppleやGoogleといったプラットフォーマーに対しても「詐欺対策の責任」を明確に負わせる方向に舵を切ったと言えます。
- 日本でも同様の議論が進めば、メッセージアプリやSNS運営企業は、UI設計やフィルタリング機能を「安全性ファースト」で見直す必要が出てきそうです。
-
私たち個人ができること
- 「政府からの重要連絡」を名乗るメッセージは、一度公式サイトやアプリから確認する習慣をつける。
- 不審なリンクは絶対にタップしない、家族や職場で「怪しいメッセージ共有ルール」を決めておく。
日々の小さな習慣の積み重ねが、こうした詐欺から自分と周りの人を守る力になりますね。
第7章 きょうの世界を「自分ごと」にするために
最後に、今日ご紹介したニュースを、私たち一人ひとりの生活や仕事にどう結びつけて考えられるか、いくつか具体的な視点をまとめます。
7-1. 仕事・キャリアの視点
- ウクライナ和平交渉、パレスチナ経済崩壊、アジアの安全保障、AIインフラ投資、暗号資産規制、なりすまし対策――
一見バラバラなニュースに見えて、すべて「リスクと機会のマネジメント」という共通テーマでつながっています。
たとえば……
- 製造業・物流の方なら:
→ ロシア鉄道のニュースを、「自社サプライチェーンが特定国のインフラにどれくらい依存しているか」という視点で見てみる。 - IT・通信の方なら:
→ ノキアの米国AI投資やシンガポールのメッセージ規制を、自社のクラウド・AI・セキュリティ戦略と結びつけて考えてみる。 - 金融・IRの方なら:
→ 利下げ観測と新興市場の政治リスクを、「自社・顧客のポートフォリオがどのリスクに弱いか」という地図づくりに活かす。
ニュースを「単なる出来事」ではなく、「自分の意思決定の材料」として見ていくと、少しずつ立体的に見えてきます。
7-2. 家計・投資の視点
- 米利下げ観測、ビットコインの調整、日本の財政と金利、エネルギー価格……どれも、住宅ローン・預金・投資・生活費にじわじわ効いてくるテーマです。
今日からできそうな小さなチェック
- ご自身やご家族のローン(住宅・自動車など)の金利タイプや残高を一度見直してみる。
- 投資をしている場合は、「戦争・エネルギー・金利」に強い資産がどれくらい含まれているかをざっくり確認してみる。
- 投資をしていなくても、「なぜガソリンや電気代が上がりやすいのか」を、ウクライナ・中東情勢と結びつけて考えてみる。
短期の値動きよりも、「なぜそう動くのか」を意識していくと、ニュースと家計の距離が少し近くなります。
7-3. 情報との付き合い方・市民としての視点
- ウクライナやガザ、日中・米中関係、ミャンマーやアフガニスタン、シンガポールの詐欺対策――
いずれも、「誰が情報を出し、誰がそれを信じるか」という問題と深く結びついています。
サンプル:ニュースとの付き合い方を少しだけ変えてみる
- 1つ気になるニュースを決めて、日本語記事と英語の記事を1本ずつ読んでみる。
- SNSで流れてきたニュースの「発信元」と「日付」を意識してチェックする。
- 家族や友人との雑談で、「今日こんなニュースがあったんだけど、どう思う?」と話題にしてみる。
ほんの少しだけ視点を広げるだけでも、世界と自分のつながりが見えやすくなっていきます。
参考リンク(英語・日本語)
詳しく追いかけたい方向けに、きょう取り上げた主な記事をいくつかまとめておきます(ブラウザの自動翻訳などを使うと読みやすくなります)。
- Russian barrage on Kyiv kills six, disrupts energy supplies – Reuters
- US and Russia hold peace talks in Abu Dhabi – Reuters
- Palestinian economy suffers worst-ever collapse after Israel-Hamas conflict, UN says – Reuters
- Israeli strikes have killed at least 127 civilians in Lebanon since ceasefire, UN says – Reuters
- Stocks get boost from rising chances of Fed cut; dollar steady – Reuters
- Thanksgiving air travel plans cut by US government shutdown – Reuters
- Exclusive: Americans waiting for Obamacare subsidies delay or drop health insurance – Reuters
- Japan PM talks up Trump bond in first talks since China clash – Reuters(日本語版あり)
- Singapore orders Apple, Google to prevent government spoofing on messaging platforms – Reuters
- Afghanistan says 9 children killed in Pakistani air strikes, vows to respond – Reuters
- Exclusive: Russia weighs how to prop up Russian Railways which is $51 billion in debt – Reuters
