SESで働くメリットとデメリット
〜「客先常駐だから不安…」を「賢いキャリア戦略」に変える考え方〜
1. そもそもSESとは?どんな人に向いている働き方?
まず最初に整理しておきたいのが、「SES」とは何か、そしてどんな人にとって有利になりやすい働き方かという点です。
ここでいうSES(システムエンジニアリングサービス)は、
自社に所属しながら、クライアント企業(エンドユーザーやSIer)のプロジェクトに常駐して働くスタイルを指します。
この記事は、次のような方に特に役立つ内容になっています。
- ITエンジニアとして これからキャリアを積みたい第二新卒・20代の方
- インフラ・開発・テストなど、今のポジションから一段ステップアップしたい中堅エンジニア
- フリーランスに興味はあるものの、
「いきなり独立は怖い…」という方 - ブランク復帰や子育て・介護と両立しながら、柔軟に働きたいエンジニア
SESにはたしかにデメリットもありますが、
正しく選び、上手に活用すると 「キャリアの加速装置」 にもなります。
ここからは、メリットとデメリットを冷静に整理しながら、成功事例も交えてお話していきますね。
2. SESで働く大きなメリット:具体的な「得」を整理する
2-1. 多様な現場経験で「市場価値」が最短距離で上がる
自社開発や社内SEだと、どうしても 携わるシステムや技術が限定されがち ですよね。
SESでは、次のような経験を短期間で積みやすいのが大きな強みです。
- 大手メーカーの基幹システム開発
- スタートアップのモダンなWebサービス開発(React / Next / Goなど)
- 金融・保険・医療など、堅牢性が求められる領域のインフラ運用
- クラウド(AWS / GCP / Azure)の移行プロジェクト
同じ3年でも、
- 1社で一つのシステムだけに携わった3年と
- 2〜3社で異なるプロジェクトを経験した3年
では、見える景色も、書けるスキルシートも大きく変わります。
転職市場では「複数の現場で成果を出した実績」が評価されやすいため、
SESは “広く・早く” 市場価値を上げたい方にとって非常に有利な土台 になります。
2-2. 「技術」と「業務知識」をセットで身につけられる
SESの現場では、単にプログラムを書くだけでなく、
- 顧客業務のフロー理解(販売・物流・人事・会計など)
- 業務要件のヒアリング・整理
- 既存システムとの連携や影響範囲の検討
といった 「ビジネス寄りの視点」 が自然と求められます。
例えば、同じJavaエンジニアでも、
- 「JavaでWebアプリを作れます」の一人より
- 「Javaで受発注システムを作り、在庫管理や請求までの一連の業務を理解して提案できます」の一人の方が、
年収も求人の選択肢も圧倒的に広がります。
SESは、さまざまな業種・業界のプロジェクトに関われるため、
技術+業務知識のセット を作りやすく、
将来「ITコンサル」「上流SE」「プロジェクトマネージャー」を目指す方には大きな武器になります。
2-3. 大企業・最先端プロジェクトに「正社員より早く」入れることも
有名企業や超大手SIerのプロジェクトは、
- 中途採用のハードルが非常に高い
- そもそも中途募集が出てこない
- 「実務経験◯年以上」「特定業務経験が必須」など条件が厳しい
といったことも少なくありません。
一方SESでは、
- エンド企業や大手SIerの開発現場にSESメンバーとして参画
- 実際の現場で評価されることで
「客先企業からの直接オファー」「グループ会社への転籍」
のチャンスが生まれる
といった “裏口ではなく、実力での正面突破” がしやすい特徴があります。
「名前の通った企業の開発現場で経験を積みたい」
「有名サービスの裏側を経験してみたい」
という方にとって、SESは “ステップアップのための現実的なルート” としてとても有効です。
2-4. キャリアの「実験」がしやすい(フロント→バックエンド→クラウドなど)
- 今はテスターだけど、開発にチャレンジしたい
- アプリ開発からインフラ・クラウド側にキャリアチェンジしたい
- 上流工程・要件定義にも関わってみたい
こういった 「ちょっと隣のキャリア」 を試したいとき、
自社開発だとポジション変更が難しかったりします。
一方SESでは、
- 案件ごとに求められるスキルが違う
- 「テスター案件」「開発案件」「インフラ案件」など、
複数の職種を持つ現場が多い
ため、
自分の希望とスキルのバランスを見ながら、少しずつ軸足をずらしていく ことが可能です。
「まずはテストから入り、半年〜1年で開発にステップアップ」
「運用・保守からクラウド構築側へ移る」
といった “段階的なキャリアチェンジ” を現実的に実現しやすいのも、SESならではのメリットです。
2-5. フリーランスや独立の“練習”として最適
SESは、
- 毎月の稼働時間
- 単価と自分の給料
- 稼働・リソースの調整
といった「ビジネスの仕組み」が見えやすい立場でもあります。
- 自分のスキルセットに対して、どのくらいの単価が付くのか
- 稼働の管理や自己管理がどこまでできるのか
- 現場でのコミュニケーション力・自走力にどれだけ自信が持てるか
を、比較的安全な環境の中で試せるので、
「将来フリーランスになりたいけれど、いきなりは怖い…」
という方にとって、SESは**“低リスクでの予行演習”**になります。
ここで実績と人脈を作っておくと、
その後の独立や副業もグッと現実的になりますよ。
3. SESでのリアルな成功事例
ここからは、イメージが湧きやすいように
代表的な成功パターンを3つご紹介しますね(内容はイメージしやすいように再構成したものです)。
3-1. テスターから年収150万円アップのWebエンジニアへ
Aさん(20代前半)は、もともとITスクール卒で
テストセンターのアルバイトからキャリアをスタートしました。
- 最初は テスト設計・テスト実行 を中心としたSES案件
- 半年後、Javaを使ったWebシステムの開発現場へステップアップ
- そこで 要件定義〜テストまで一通りの流れ を経験
- 2年目の終わりにはReact+Spring Bootの案件にも参加し、
フロント〜バックエンドのフルスタックに近いスキル を習得
3年目で自社開発企業へ転職し、
年収は最初のテスター時代から 約150万円アップ。
「最初から自社開発の中途採用に挑戦していたら、
きっと今のポジションには届かなかった」とご本人は話しています。
3-2. インフラ運用からクラウドエンジニアへキャリアチェンジ
Bさん(30代前半)は、オンプレサーバーの運用監視を中心にキャリアを積んできましたが、
- 夜勤が多い
- 将来のスキルに不安
という悩みを抱えていました。
SESとして次のようなステップを踏むことで、キャリアをシフトしています。
- まずはオンプレ+AWSのハイブリッド環境運用案件に参画
- 並行して会社負担の資格支援を使い、AWS認定資格を取得
- 2年目にはAWS移行プロジェクトにアサインされ、
本格的なクラウド構築・IaC(Terraform) に携わる - 3年目、クラウドエンジニアとして上流設計も任されるように
結果的に、
- 夜勤中心 → 日勤メイン
- 運用中心 → 設計・構築寄り
へと働き方と価値の両方をシフトできました。
3-3. 子育てと両立しながら、時間単価を上げたケース
Cさん(30代・ママエンジニア)は、
出産・育児で一度IT業界を離れたのち、SESとして復帰しました。
- 最初は 週4日・1日6時間 の短時間案件からスタート
- Webシステムの改修や軽めの運用保守を中心にリモートで参画
- 実績が評価され、2年目からは 設計レビューや技術相談 など、
経験を活かした上流寄りの役割も兼任
働く時間は制限されているものの、
1時間あたりの価値(時間単価)を上げることで収入を確保 し、
育児との両立もしやすくなりました。
子育て・介護などでフルタイムが難しい方でも、
SESなら「時間と場所に柔軟性のある案件」を選びながらキャリアを続けられる可能性があります。
4. SESのデメリット・注意点もきちんと理解しておく
もちろん、SESにはデメリットもあります。
ここを理解しておかないと、
- 「思っていた働き方と違う…」
- 「なんとなくスキルが伸びないまま年数だけ経ってしまった…」
という状況になりかねません。
4-1. いわゆる「現場ガチャ」がある
SESでは、参画するプロジェクトによって
- 開発環境・技術スタック
- チームの雰囲気・マネジメントスタイル
- 残業時間・リモート可否
が大きく変わります。
中には、
- ドキュメントがほとんどない
- 終始テストや運用だけで、なかなか開発に入れない
- チームのコミュニケーションが良くない
といった、いわゆる “ハズレ現場” が存在するのも事実です。
ここで大切なのは、
- 事前に 案件の内容・体制・技術要素をしっかりヒアリングしてもらうこと
- もしどうしても合わない場合、
派遣元(SES企業)に相談し、現場変更を含めた動きをしてもらえるかどうか
です。
この「相談しやすさ」や「現場調整力」は、
SES会社を選ぶうえでとても大きなポイントになります。
4-2. 単価と自分の給与の差が見えにくい
SESは、
-
エンド企業・元請け
-
二次請け・三次請け
-
SES企業
といった 多重構造 になっていることも多く、
自分の稼働単価と手取りの給与の差が見えにくいという課題があります。 -
自分のスキルに対して あまりにも低い給与設定 になっていないか
-
成長や実績に応じて、
単価交渉・給与アップの余地があるか
を、定期的に確認することが大切です。
ここも、
- 単価や給与の考え方をオープンに説明してくれるか
- スキルアップに応じて待遇を見直してくれるか
といった点が、SES企業選びでの重要な見極めポイントになります。
4-3. 「自社感」が薄く、孤独になりやすい
SESはどうしても 客先常駐がメイン になりやすい働き方です。
- 周りはクライアント企業の社員がほとんど
- 同じSES会社のメンバーが少ない
- 自社のイベントや勉強会に参加しづらい
といった理由から、
「なんとなく帰属意識が薄い」「会社に相談しづらい」と感じる方も少なくありません。
この点をカバーするために、
- 定期的な1on1面談
- 現場とは別のコミュニティ(勉強会・オンラインサロンなど)
- 自社メンバーとの情報交換や相談の場
をしっかり用意しているSES企業かどうかは、
長く働くうえでとても大事な判断材料です。
5. SESを「キャリア加速装置」にするためのポイント
ここまでの内容を踏まえると、
SESで働くうえでは次のような点を意識すると、メリットを最大化しやすくなります。
5-1. 「何年後にどうなっていたいか」を先に決める
- 3年後に自社開発企業へ転職したい
- 5年後にはフリーランスになりたい
- 将来的にITコンサルやPMになりたい
こういった ざっくりしたゴールで構わないので、先に決めておくこと が重要です。
ゴールによって、選ぶべき案件や学ぶべき技術が変わります。
- 自社開発狙い → モダンなWeb技術・アジャイル開発
- フリーランス狙い → 高単価が付きやすい技術(クラウド・バックエンド)+人脈
- ITコンサル・PM狙い → 業務知識+上流工程経験
SES企業と相談する際にも、
このゴールを共有しておくと、紹介される案件の質が変わります。
5-2. 現場選びは「技術」+「業務」+「人」の3軸で見る
案件を選ぶとき、
技術スタックだけで決めるのは少し危険です。
- 技術:言語・フレームワーク・クラウドなど
- 業務:業界・業種・業務プロセスの理解につながるか
- 人:リーダーやメンバーのコミュニケーションスタイル、育成の雰囲気
この3つのバランスを見ながら、
「半年〜1年後に、自分のスキルシートがどう変わりそうか」をイメージして選ぶと、
キャリアの実り方が大きく変わってきます。
5-3. 知識インプットと現場アウトプットをセットにする
SESは現場経験を積みやすい反面、
「忙しさに流されて勉強時間が取れなくなる」リスクもあります。
- 現場で触った技術を、
週1回はしっかり振り返ってメモやアウトプットをする - 資格支援や研修制度がある会社なら、
積極的に活用して 「実務+資格」でアピールできる状態 を作る
この インプットとアウトプットの二重構造 を意識しておくと、
同じ1年でも成長の密度がまったく変わります。
6. SESでのキャリア相談・案件選びは「greeden」にお任せください
最後に、
この記事を読んでくださった方へのご案内です。
- 「SESって、結局自分に向いているのかな?」
- 「今のスキルで、どんな案件・どんな単価が現実的なの?」
- 「自社開発かSESかで迷っている…」
- 「将来フリーランスも視野に入れてキャリア設計したい」
こんなお悩みがある方は、
ぜひ greeden に一度ご相談ください。
greedenでは、
- エンジニア一人ひとりの 将来像(3年後・5年後) から逆算して
SESを含めたキャリアプランニングを一緒に考えます。 - SES案件に関しても、
技術スタックや単価だけでなく、
現場の雰囲気・育成体制・リモート状況などの“生の情報” をもとにご提案します。 - 将来、自社開発やフリーランスを目指したい方には、
そこにつながるような 案件選び・スキル方針の設計 も含めてサポートいたします。
SESは「なんとなく働く場所」ではなく、
キャリアを加速させるための戦略的な選択肢 です。
メリットとデメリットをきちんと理解し、
自分に合った会社・案件を選ぶことで、
SESはきっとあなたの強い味方になってくれるはずです。
「少し話を聞いてみたいな」と感じたタイミングが、
動き出すベストタイミングです。
SESやITエンジニアとしてのキャリアについてのご相談・お問い合わせは、
どうぞお気軽に greeden までお寄せくださいね。
