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【授業レポート】システム開発(2年) 第39週目

〜ユースケース完成&ミニ発表会:安定して動くシステムを「見せる」〜

第39週目は、これまで設計・実装・結合・エラーハンドリングを重ねてきた成果をまとめ、
ユースケース単位で完成したアプリを発表するミニ発表会を行いました。

テーマは「安定して動くことを証明する」。
機能の多さではなく、設計どおりに・エラーに強く・分かりやすく動くかが評価の軸です。


■ 先生の導入:「今日は“動くかどうか”ではなく“安心して使えるか”」

田中先生:「今日は新機能を足す日ではありません。
“想定どおりに動き、想定外でも壊れないか”を、他人に見せて確認する日です。」

先生は評価観点として、次の4点を提示しました。

  1. ユースケースの流れが明確か
  2. 正常系・異常系の両方を説明できているか
  3. エラーメッセージがユーザー視点になっているか
  4. ログや設計と実装の対応が取れているか

■ 実習①:最終調整タイム(30分)

発表前の最終確認として、各班は以下をチェック。

  • 主要ユースケースが最初から最後まで動くか
  • 異常入力(数字以外、存在しないID等)で落ちないか
  • 例外時にスタックトレースがUIに出ていないか
  • ログに「失敗の理由」が残っているか

生徒A:「発表直前にエラーメッセージを直したら、一気に印象が良くなった!」


■ 実習②:ミニ発表会(班ごと・5分)

各班が次の流れで発表を行いました。

発表構成(共通)

  1. ユースケースの説明(1分)
    • 例:「図書を借りる/返す」
  2. デモ(2分)
    • 正常系の操作
  3. 異常系デモ(1分)
    • エラー入力や業務ルール違反時の挙動
  4. 工夫点の説明(1分)
    • エラーハンドリング、設計上の配慮など

■ 発表の一例(図書館システム)

正常系デモ

  • 本IDを入力 → 貸出成功
  • UI表示:「◯◯ を貸し出しました」

異常系デモ

  • 同じ本を再度借りる
  • UI表示:「貸出不可:すでに貸出中です」
  • ログ確認:「BookNotAvailableError / book_id=3」

先生のコメント:「
ユーザー向け表示とログの役割分担が明確で、とても実務的ですね。」


■ 相互フィードバック(ピアレビュー)

発表ごとに、他班から次の観点でコメント。

  • 分かりやすかった点
  • 実際に使うときに安心できる点
  • もう一段良くなりそうな点

生徒B:「異常系をちゃんと見せてくれる発表は信頼感が高い」
生徒C:「ログの内容まで説明してくれたのが勉強になった」


■ 先生からの全体講評

よかった点

  • 多くの班が「例外=悪」ではなく「制御すべきもの」として扱えている
  • UI・Service・DAOの役割分担が明確
  • 想定外入力でもアプリが止まらない設計ができている

改善ポイント

  • メッセージの表現がまだ技術寄りな部分がある
  • ログの粒度(情報量)が多すぎ/少なすぎな班が混在
  • ユースケース外の操作へのガードが甘い箇所あり

田中先生:「
“使う人の立場で不安がないか”を最後にもう一度見直すと、完成度が一段上がります。」


■ ふり返りワーク:自分たちのシステムを評価する

各班で以下を記入。

  • 一番うまく設計できた点
  • 一番苦労した点
  • バグが減った決定的な工夫
  • 次に改善したいポイント(設計/実装/UI)

生徒D:「最初に設計図を書いたおかげで、後半の修正が楽だった」
生徒E:「エラー処理を後回しにしなくてよかったと心から思った」


■ 先生のまとめのひとこと

「今日の発表で、皆さんは
“動くプログラム”ではなく
“安心して使えるシステム”を作れていました。

これは設計・実装・改善を順番に積み重ねてきた成果です。
次は、これを他人に引き継げる形にしていきましょう。」


■ 宿題(次回に向けて)

  1. 今日の発表を踏まえた 最終改善点リスト(5項目以上)
  2. 主要ユースケースの 最終版フロー図+シーケンス図
  3. アプリ全体の README(使い方・エラー時の挙動・注意点) を作成

■ 来週の予告:ドキュメント仕上げ&引き継ぎ設計

次週は、完成したシステムを
「他の人が使える・直せる・引き継げる」形にするためのドキュメント整備を行います。
README、設計書、運用メモをまとめ、開発を“終わらせる力”を学びます。


第39週目は、これまでの学びが一つの形になった達成感のある授業でした。
生徒たちは「動く」だけでなく「信頼される」システムを作る視点を身につけ、
次のフェーズへ自信を持って進もうとしています。

投稿者 greeden

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