2026年1月18日の世界主要ニュース:グリーンランド関税が再点火した貿易摩擦と、戦時エネルギー・統治の揺らぎが同時進行
きょうの要点(先に全体像)
- 米国が「グリーンランド購入」を条件に欧州8カ国へ追加関税を示し、2月1日から10%、6月1日までに最大25%へ引き上げる構えが市場と企業の前提を揺らしました。
- ガザを起点に紛争解決へ関与する「平和評議会(Board of Peace)」構想が広がり、参加要請は約60カ国に。国連の役割との関係や資金条件をめぐって各国は慎重姿勢です。
- イランでは抗議と弾圧の死者が「少なくとも5,000人」と当局者が言及し、司法は死刑の可能性にも触れました。国内の傷は深く、周辺の緊張は金融・エネルギー市場にも影を落とします。
- ウクライナは200機超の無人機攻撃で死傷者が出て、寒波の中で電力・暖房の不安が続きました。交渉の動きと、生活インフラの持久戦が重なっています。
- シリア北東部では政府側が油田・ガス田や要衝のダム周辺へ進出し、米国が支援してきた勢力は「保証」を求めました。資源と統治の争いが再び前面に出ています。
- チリは森林火災で非常事態を宣言し、避難と住居被害が拡大。極端高温と強風が災害を増幅させ、暮らしと保険・財政に負荷をかけています。
このまとめが役立つ方(具体的に)
きょうは「外交の言葉」が「コスト」に直結しやすい日でした。関税や制裁、紛争の拡大は、企業の原価・物流・投資心理にすばやく反映され、家計にも燃料費や物価として届きます。特に、次のような方には、影響の出方を順番で把握しておくことが実務の助けになります。
たとえば、欧州向け・米国向けに輸出入をしている製造業や商社、物流の方です。関税が「いつ」「どの国に」「何%」で来るかは、見積もりの条件や契約更改、在庫の積み増し判断を変えます。しかも今回は安全保障(グリーンランド)と貿易(関税)が絡むため、数字だけでなく政治の温度感も読み替えが必要になります。
次に、自治体や医療・福祉、教育など、生活の基盤を支える方にも重要です。停電、暖房停止、通信遮断、火災避難は、弱い立場の人ほど早く影響を受けがちです。ニュースを「遠い出来事」として終わらせず、災害時の連絡手段や避難情報の出し方を点検するきっかけになります。
そして、投資・資産形成をしている方にとっても、きょうは「安全資産」「防衛関連」「エネルギー」の見られ方が変わりやすい局面でした。短期の値動きよりも、関税・制裁・戦時インフラが長引く場合の分岐点を意識すると、情報の整理がしやすくなります。
1)米国の「グリーンランド関税」:再燃する貿易摩擦が、同盟と企業計画を同時に揺さぶる
米国大統領は、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、オランダ、フィンランド、英国の8カ国を対象に、追加関税を課す方針を示しました。開始は2月1日で10%上乗せ、合意が得られなければ6月1日までに25%へ引き上げるとしています。名目は「グリーンランド購入の容認」を求めるもので、貿易措置が安全保障・領土問題と結びついた点が、関係国の反発を強めました。
欧州側は、グリーンランド支持の共同声明などで結束を見せ、EUとして報復も示唆されました。オランダ外相は「脅迫」と表現し、ドイツ産業界も要求に屈しないよう促すなど、政治だけでなく産業界の危機感が前面に出ています。グリーンランド側も欧州の支持に謝意を示し、デンマークとグリーンランドでは自己決定や主権をめぐる世論も揺れています。
経済への影響は、まず「先回りのコスト」として出ます。関税は実施前から、発注前倒し、在庫積み増し、代替サプライヤー探しを誘発し、物流と資金繰りを圧迫します。欧州から米国へ輸出する機械、化学品、自動車部品などは、関税上乗せが価格転嫁の議論を呼び、米国内でも仕入れ価格が上がりやすくなります。さらに、同盟(NATO)内の摩擦が深まると、防衛費の議論が加速し、財政と国債市場の見通しにも影響します。
ここで小さなサンプルを置きます。たとえば「米国向けに工作機械を出す欧州企業A社」は、2月1日の10%を前提に、1月末までの出荷を増やすか、米国内での最終組立に切り替えるかを迫られます。一方「欧州で部材を調達する日本企業B社」は、欧州側が米国向け比率を下げる過程で、部材のスポット供給が日本向けに回る可能性もあれば、逆に為替や需給の乱れで調達条件が悪化する可能性もあります。貿易摩擦は、当事者同士だけでなく、サプライチェーンの端まで影響が波及します。
2)ガザを起点にした「平和評議会」構想:国連との役割分担と資金条件が焦点に
米国主導の「平和評議会(Board of Peace)」構想は、ガザの暫定統治を出発点に、紛争解決の枠組みを広げようとするものです。参加要請は約60カ国に送付され、評議会は大統領が終身議長を務める案とされました。加盟国は原則3年任期で、一定条件を満たすと延長が可能とされ、文書には初年度に10億ドルを拠出すれば「恒久的な資格」に近い扱いになる趣旨も示されています。
各国の反応は慎重でした。無条件で前向きな姿勢を示した国は限られ、外交筋からは「国連の活動を傷つけかねない」という懸念が語られています。国連の総会議長も、国際秩序の根幹に関わる問題として注意を促しつつ、各国が判断することだと述べました。加えて、パキスタンが参加要請を受けたことも報じられ、ガザ問題が中東域内だけでなく、広い外交地図の中で扱われつつあります。
経済面で注目すべきは、「資金の出口」と「説明責任」です。大規模拠出を条件に恒久的地位が付与される設計は、財政・議会・世論の説明を難しくします。支援金が人道・復旧に向かうのか、統治支援や治安コストに向かうのかで、民間の寄付や国際機関の資金フローも変わります。企業にとっては、ガザの復旧事業や通信・電力設備の需要が見込まれる一方、政治的正統性が揺らげば契約の安定性が下がり、保険料やカントリーリスクが上がります。
社会面では「誰の声が反映されるか」が核心です。構想には著名な政治家が関与すると報じられましたが、当事者の代表性や住民の合意形成が弱いまま制度だけが先行すれば、現地の不信と分断が深まります。支援の現場では、配給の公平性、身分確認、治安維持の線引きが、生活の安全に直結します。制度の設計と同時に、透明性と当事者性をどう担保するかが問われています。
3)イラン:死者「少なくとも5,000人」言及と死刑示唆、社会の亀裂は長期化へ
イランでは、昨年12月28日に始まった抗議と当局の弾圧をめぐり、当局者が死者が「少なくとも5,000人」と述べ、治安側の死者も含まれるとされました。抗議は経済的苦境を背景に拡大し、1979年の革命以降で最も深刻な不安定化と位置づけられています。司法当局の報道官は、宗教法上の重い罪(「神への戦争」など)に触れ、死刑があり得るとの趣旨の説明をしました。国外からは介入を示唆する発言もあり、最高指導者はこれに反発し、対立は一段と険しくなっています。
経済への影響は、短期には市場心理を通じて表れます。中東の緊張が高まると、原油の供給が実際に止まらなくても、海上輸送や保険、ヘッジ需要が増え、価格が不安定になります。また、制裁や資金洗浄の摘発が強まれば、決済ルートの不透明さが増し、域内の企業活動が萎縮しやすくなります。国内では通貨安、物価高、雇用の不安が抗議の温床になりやすく、生活の負担が政治の火種を育てる循環ができてしまいます。
社会への影響は、統計を超えて深刻です。大規模な拘束や通信遮断が続けば、人々は医療・教育・仕事の機会を失い、家族やコミュニティの分断が深まります。海外にいる家族と連絡が取れない不安、突然の逮捕や失踪への恐怖、葬儀すら安心してできない空気は、社会の信頼を傷つけます。抗議が沈静化したように見える局面でも、傷が癒えたわけではなく、むしろ沈黙の下で不満が堆積しやすい点が気がかりです。
4)ウクライナ:200機超の無人機攻撃と寒波、停電が「交渉」と並走する
ウクライナでは、ロシアによる大規模な無人機攻撃があり、200機を超える規模で複数地域が標的となりました。死者と多数の負傷者が報じられ、特にエネルギー関連施設の損傷が深刻だとされています。寒波が重なる中、首都を含む各地で停電や暖房の停止が続き、生活の安全がインフラに強く依存する現実が改めて浮き彫りになりました。
一方で、米国とウクライナの交渉は進み、戦後の復旧パッケージや安全の枠組みが議題になっています。交渉の動きがあるほど、現場の攻撃は「交渉力」を左右する圧力として作用しやすく、停電は軍事だけでなく社会の持久力を削る手段になってしまいます。電力設備の輸入や修理資材の確保は、単なる物流ではなく、安全保障と直結したサプライチェーンになります。
経済面では、電力と暖房の不安が生産性に直撃します。工場の操業停止、店舗の短縮営業、冷蔵・医療機器の維持が難しくなり、都市の機能が落ちます。復旧費用は財政を圧迫し、国際支援の継続性が投資の前提になります。農産物や工業品の輸出も、港湾・鉄道・電力の状態で左右され、周辺国の物価や供給にも波及します。
社会面では、寒さの中の停電が最も弱い人を脅かします。高齢者、乳幼児、慢性疾患のある人、避難生活の長い人ほど影響を受けやすく、医療アクセスと情報の確保が命綱になります。ニュースを追う際は、戦況だけでなく「何時間停電したか」「暖房や通信が戻ったか」という指標が、生活の安全を測る物差しになります。
5)シリア北東部:油田・ガス田とダムをめぐる争いが、統治と資金の主導権を左右
シリア北東部では、政府側が米国支援の勢力が実効支配してきた地域へ進出し、同国最大級の油田とされるオマル油田、コノコのガス田を掌握したと報じられました。これらは、地域の行政と治安を支えてきた資金源であり、資源収入の主導権が移れば、統治の形が大きく変わります。さらに政府側は、タブカと周辺のダム施設の掌握も進めたとされ、電力・水資源のコントロールが争点として浮上しました。
米国の支援を受けてきた側は、停戦の道筋が見えないとして、米国に「より強い介入」や保証を求めました。現地ではアラブ部族の不満や政治的疎外感も語られ、資源地帯での主導権争いが民族・部族の分断を刺激しやすい環境にあります。こうした局面では、軍事的勝敗以上に、地域住民の「安全」と「日常」が崩れやすく、避難と治安悪化が連鎖します。
経済面では、資源地帯の支配が国家財政と復興に直結します。政府側は「国家が必要とする資源が奪われてきた」と主張し、資源収入を取り戻すことは、公共サービスや給与支払いの再開に結びつく可能性があります。ただし、戦闘が続けば生産・輸送の安定性は低く、制裁や取引の透明性が問題になると、収益化は簡単ではありません。資源は「取れる」だけでは足りず、「売れる」仕組みが必要です。
社会面では、アラブとクルドの亀裂が深まることが最大の懸念です。住民の側から見れば、統治主体が変わるたびに、行政サービス、徴税、治安のルールが変わり、生活の見通しが立ちにくくなります。ダムや油田の争奪は、電力・水・雇用・燃料価格に直結し、戦闘地域だけの問題ではなく、周辺地域の暮らしにも影響が及びます。
6)災害・選挙・通信遮断:暮らしの脆さが可視化されたニュース
きょうは、紛争だけでなく「日常を支える基盤」が揺れるニュースも重なりました。世界は同時多発的に不確実性を抱え、遠い地域の出来事が、保険料・燃料費・食料価格として身近に届く時代になっています。
チリ:森林火災で非常事態、避難2万人規模と住宅被害
チリ南部では森林火災が広がり、政府は2地域に非常事態(大統領令の災害宣言)を出しました。避難は少なくとも2万人、住宅被害も報じられ、強風と高温が延焼を助長しています。災害は、家を失う痛みだけでなく、学校の休校、医療のひっ迫、地域経済の停滞として長く残ります。保険の支払い、復旧の財政負担、木材・農産の供給影響など、経済と暮らしの両面で尾を引きやすい局面です。
ポルトガル:大統領選で極右が存在感、政治の断片化が進む
ポルトガルでは大統領選の投票が行われ、世論調査では複数候補が拮抗し、極右政党の党首が決選投票へ進む可能性が指摘されました。大統領職は儀礼的側面が大きい一方、議会解散や法案拒否などの権限を持つため、政治の分断が深まると、政策運営の安定性に影響します。移民政策や財政、EU内の立ち位置にも波及しやすく、企業は規制や労働市場の変化を見通しづらくなります。
ウガンダ:インターネットが部分回復、ビジネス再開と引き換えにSNS遮断が続く
ウガンダでは、長期政権の大統領が続投する選挙結果をめぐり、当局が停止していたインターネット接続を「企業向けに」部分回復させた一方、SNSは遮断を続けると報じられました。通信遮断は、政治の緊張を抑える手段として使われることがありますが、同時に決済、物流連絡、遠隔医療、報道の自由を傷つけます。ビジネスを動かすために最低限は戻しつつ、言論空間は制限するという設計は、社会の信頼を削り、分断を残しやすい点が心配です。
セルビア:制裁の例外措置で製油所が再稼働、エネルギー供給と政治が絡む
セルビアでは、ロシア資本が絡む石油会社が米国の制裁免除を得て製油所を再稼働し、燃料供給を回復させる見通しが示されました。燃料は生活必需であり、供給が途切れると物価と社会不安に直結します。一方で、制裁は外交と戦争を背景にした政策手段であるため、免除や例外は政治的な意味を帯びます。エネルギー供給の安定と、国際関係の綱引きが同じ線上で動く点が、今の世界の難しさです。
中国:工場爆発が発生、産業安全と供給網のリスクを再確認
中国内モンゴル自治区の鋼板工場で爆発が起き、死者と行方不明者が報じられました。産業事故は、被災者と家族の痛みが中心であるのは当然として、地域の雇用、環境、関連企業の操業にも影響します。鉄鋼は幅広い産業の基礎素材であり、事故が操業停止や規制強化につながると、価格や納期に波及することもあります。安全対策は「コスト」ではなく、供給を安定させるための基盤だと改めて感じます。
きょうのニュースを「経済」と「暮らし」に落とす見取り図(簡単な整理)
きょうのキーワードは、関税・資源・インフラ・通信でした。これらは、次の順番で影響が届きやすいです。
- まず企業の「見積条件」が揺れる:関税率、保険料、納期、為替の前提が動く
- 次に「物流と在庫」に反映:前倒し出荷・迂回輸送・在庫積み増しが起きる
- その後「物価と生活費」に波及:燃料、食品、電気、交通、日用品の値上げ圧力
- 最後に「雇用と社会不安」へ:操業調整、投資先送り、通信遮断や災害が不満を増幅
サンプルとして、家庭の視点で一つだけ。関税や制裁のニュースが続く週は、ガソリンや電気料金が急に変わらなくても、輸送費と為替がじわじわ効いてきます。家計簿の中で「逃げ場が少ない支出」(光熱・食費・交通)を先に把握しておくと、値上げ局面でも慌てにくくなります。
まとめ:1月18日は「同盟と統治の再設計」が、貿易・エネルギー・生活基盤を揺らした
2026年1月18日の世界は、米国のグリーンランド関税が貿易摩擦を再点火し、同盟の結束と企業計画を同時に揺さぶりました。同時に、ガザを起点とする新たな「平和評議会」構想が国際秩序の枠組みに問いを投げ、イランの深い流血とウクライナの厳寒下の停電が、社会の持久力を試しています。シリアでは資源地帯をめぐる主導権争いが再燃し、チリの火災やウガンダの通信制限は「暮らしを支える基盤」の脆さを可視化しました。
今後の注目点は、2月1日の関税開始が現実の取引にどう反映されるか、欧州側がどの程度の対抗措置を取るか、そして各地の「統治」と「生活インフラ」がどれだけ持ちこたえられるかです。きょうのニュースは、出来事の大小ではなく、私たちのコスト構造と日常の安全に直結する回路が一斉に点灯した一日でした。
参考リンク(出典)
- 米国、欧州8カ国に追加関税を示唆(グリーンランドめぐり)|Reuters
- グリーンランド、欧州の支持表明に謝意(関税圧力に反発)|Reuters
- EUは報復も辞さず(関税が実行されれば)|Reuters
- 「平和評議会」への参加要請に各国慎重(国連への影響懸念)|Reuters
- 「平和評議会」憲章、拠出条件に10億ドル(文書)|Reuters
- パキスタン、「平和評議会」参加要請を受領|Reuters
- イラン抗議の死者「少なくとも5,000人」言及、司法が死刑示唆|Reuters
- ウクライナ、200機超の無人機攻撃で死傷者(厳寒下の停電)|Reuters
- シリア北東部で政府側が油田・ガス田を掌握|Reuters
- クルド司令官、米国に「より強い介入」を要請|Reuters
- チリ南部の森林火災で非常事態、避難2万人規模|Reuters
- ポルトガル大統領選、極右が決選投票圏内へ|Reuters
- ウガンダ、ネット接続を部分回復(SNS遮断は継続)|Reuters
- セルビア製油所、制裁免除で再稼働(燃料供給の回復へ)|Reuters
- 中国内モンゴルの鋼板工場で爆発、死者と行方不明|Reuters
- 欧州が「危険な悪循環」を警告(グリーンランド関税めぐり)|AP
