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2026年1月26日の世界主要ニュース:寒波の戦争とエネルギー、通商の再編、そして「金」へ向かう不安

きょうのまとめ(先に要点)

  • ウクライナ東部ハルキウでロシアの無人機・ミサイル攻撃があり、周辺を含む広い範囲で電力が失われ、厳冬期の都市インフラが揺らぎました。
  • 停戦・和平に向けた協議が続く一方で、ロシアはドンバス全域の割譲を求める姿勢を崩さず、交渉の難しさが改めて示されました。
  • ガザでは、最後に残っていた人質の遺体回収が発表され、ラファ検問所(エジプト境界)の再開に向けた条件が整う可能性が強まりました。
  • インドとEUは自由貿易協定(FTA)交渉の妥結を発表へ。米国との関係が揺れる中、貿易の「組み替え」が現実の政策として進みました。
  • 米国は韓国からの輸入品(自動車、木材、医薬品など)への関税を引き上げる方針を示し、同盟国間でも通商リスクが再燃しました。
  • 金(ゴールド)は史上初の5,000ドル超え、さらに5,100ドル超えも伝えられ、安全資産志向が鮮明に。円は介入観測を伴って買われ、週後半の米金融政策発表も注目されました。
  • 米国の寒波が原油・ガス生産と電力供給を直撃し、世界のLNG(液化天然ガス)市場にも波及。気象が国際エネルギー価格を揺さぶる構図がいっそう濃くなりました。

この記事が役立つ方(どんな人に効く内容か)

きょうのニュースは、戦争や外交が「生活の電気・熱」と「企業の取引条件」を同時に動かした日でした。遠い出来事のように見えても、実際には見積、在庫、燃料費、保険、投資判断へゆっくり効いてきます。

特に、海外調達・輸出入がある製造業、商社、物流、EC、そして自動車・電子部品・医薬品の関係者の方には実務的な材料が多い一日です。関税や協定は、税率の数字だけでなく、契約の条項、原産地証明、サプライチェーンの再設計という「現場の仕事」を増やします。しかも、実施が確定する前から先回りコスト(在庫、ヘッジ、監査)が発生します。

また、財務・経営企画・投資の担当者の方にも重要です。金が史上最高値を更新する局面は、単に投機というより「制度やルールへの不安」を値段が代弁していることが少なくありません。さらに、円の急な動きは、輸入コストと海外売上の換算額を同時に変えます。企業の四半期計画や価格転嫁の設計に直結します。

そして、自治体や防災、医療・福祉、教育の現場の方にも深い示唆があります。ウクライナの停電や、米国の寒波による停電は、インフラ障害が弱い立場の人に先に響くことをはっきり見せます。支援や避難の設計は、もはや特定国の話ではなく、共通の生活課題として重みを増しています。


1)ウクライナ:ハルキウの大規模停電が示した「冬の戦争」の残酷さ

ウクライナ第2の都市ハルキウでは、ロシアの無人機・ミサイル攻撃で住宅、学校、幼稚園などが被害を受け、周辺地域を含む広い範囲で電力が失われたと報じられました。夜間は氷点下14度ほどまで下がり、エネルギー施設が狙われたことで、復旧の作業は空襲の脅威と並走せざるを得ない状況です。冬の停電は、単なる不便ではなく「命の危険」に変わります。

社会への影響で最も大きいのは、生活の最小単位が崩れることです。電気が止まると照明、通信、給水設備、暖房、調理が同時に不安定になります。体温を保つことが難しくなれば、高齢者や乳幼児、持病のある方の負担が跳ね上がります。寒さは目に見えにくいぶん、周囲が気づいた時には重症化していることもあります。復旧が遅れるほど、避難先の確保、医療のキャパシティ、学校の再開、働き口の維持が連鎖的に難しくなっていきます。

経済への影響は、都市機能の低下が「生産」と「消費」を同時に冷やす点にあります。工場や店舗の稼働が落ちるだけでなく、家計は食料や燃料の確保を優先し、通常の消費を後回しにしがちです。企業側は非常用電源、燃料、保守部材に資金を回し、投資や賃上げの余地が削られます。戦争は、破壊そのもの以上に「守るための支出」を恒常化させ、国全体の成長力をじわじわ削ります。

ここで小さなサンプルを置きます。たとえば現地の小規模な食品工場が、停電に備えて発電機を導入するとします。発電機の購入費に加え、燃料の確保、保守、騒音・排気対策までが必要です。その一方で、停電が続く日は生産量が落ち、売上も減りやすい。つまり「固定費が増え、売上が減る」という二重苦になり、資金繰りが一気に苦しくなります。冬の停電は、経済の体力が小さい事業者ほど先に響きます。


2)和平協議:ロシアはドンバス全域を要求、交渉は「領土」で硬直

停戦・終戦に向けた動きが続く中でも、ロシア側はウクライナに対しドンバス全域の割譲を求める姿勢を崩していないと伝えられました。ロシアはドンバスの大部分を支配しているとされる一方、ウクライナは領土の譲歩を明確に否定してきました。協議が「建設的だった」という表現が出ても、核心の領土問題が動かなければ、合意の設計は急には進みません。

社会的には、交渉が続くこと自体が希望である一方、期待が高まるほど失望も大きくなりがちです。特に冬のインフラ攻撃が続く中での交渉は、生活を守るための短期的な合意(インフラ攻撃の抑制、捕虜交換、避難路確保など)がどこまで現実になるのかが問われます。市民は「きょうの暖房」と「明日の停戦」の両方を同時に抱えるため、心理的疲労が深くなります。

経済面では、交渉の硬直は資金の流れに影響します。復旧・復興への投資は、停戦の確度が上がるほど動きやすい一方、領土問題で不確実性が残ると、民間資本は入りにくくなります。結果として、復旧は公的資金に依存しやすくなり、支援国側も財政負担と政治的説明責任を抱えることになります。


3)ガザ:最後の人質遺体回収とラファ再開、復興の「入口」が見え始める

中東では、イスラエルがガザで最後に残っていた人質の遺体を回収したと発表しました。遺体の回収は、停戦合意の初期段階での重要条件の一つと位置づけられてきたとされ、これによりラファ検問所(ガザとエジプトの境界)の限定的な再開が進む可能性が強まりました。現地を統治する暫定の技術者委員会は検問所が「今週開く」との見通しを示したと報じられています。

社会への影響で大きいのは、「外へ出られる」「外から入れる」という回路が回復することです。ラファは医療搬送、家族再会、学生や労働者の移動、人道支援の物流など、生活の息継ぎに直結します。封鎖が長引くほど、物資不足は価格高騰や闇市場の拡大を招き、治安と健康状態の悪化に結びつきやすくなります。検問所の再開は、生活の底を支える最低限の「通路」として重要です。

経済面では、検問所が動くことで復興の現実味が増します。復興は、建物の再建だけでなく、瓦礫撤去、上下水道、電力、通信、医療と教育の再整備、そして雇用の創出まで含みます。人と機材と資金が入れる入口が狭いままだと、計画は絵に描いた餅になりやすい。逆に入口が開けば、短期の仕事が生まれ、家計に現金が回り、地域経済の循環が少しずつ戻る可能性が出ます。

ただ、復興の議論が前へ進むほど、社会の論点もはっきりします。資金を誰が負担し、土地と住宅の権利をどう扱い、統治と治安をどの仕組みで運用するのか。ここが曖昧だと、復興は進んでも社会の納得が得られず、緊張が再燃しやすくなります。きょうの動きは「入口が見え始めた」一方で、「設計図の重さ」も増した日でした。


4)インド×EU:20年越しのFTA妥結が示す「米国頼みからの分散」

通商の大きなニュースは、インドとEUが自由貿易協定(FTA)交渉の妥結をまとめ、翌日に発表すると伝えられたことです。両者の貿易額は直近の会計年度で約1,365億ドル規模とされ、法的な精査を経て、実施は「1年以内」を見込むと報じられました。交渉は自動車や鉄鋼などが最後まで争点になり、インドがEU車の関税を大幅に引き下げる案(高い場合は110%から40%へ)も報道されています。一方で、農業や乳製品など政治的に敏感な分野は除外されたとも伝えられました。

社会への影響は、インド国内では産業保護と市場開放のバランスが問われることです。自動車や高付加価値製品が入ってくる圧力が増えれば、雇用や中小企業の競争環境は厳しくなり得ます。一方で、消費者にとっては選択肢が増え、価格や品質の競争が起きる可能性もあります。EU側でも、インド市場へのアクセス改善は企業に追い風ですが、労働・環境などの基準をどこまで協定に組み込むかは政治的な議論になりやすい分野です。

経済的には、今回のFTAは「地政学が通商を動かす」典型です。米国との関係が揺れるほど、インドもEUも、取引先と供給網を多角化してリスクを下げたい。協定はそのための道具になります。特に半導体、医薬品、クリーン技術など戦略領域では、単なる関税の話にとどまらず、投資、共同研究、規制整合、重要資源の確保まで絡んでくるでしょう。

サンプルとして、EU向けに繊維・宝飾・機械部品を出しているインド企業を想像してください。関税が下がるだけでなく、通関の簡素化やルールの安定が加わると、契約期間を長く取りやすくなり、設備投資の判断がしやすくなります。反対に、EUからの完成車や部品が入りやすくなれば、インド国内のサプライヤーは付加価値を上げる努力が必要になります。FTAは「勝ち負け」より、産業の再配置を促す仕組みとして働きます。


5)米国×韓国:関税引き上げ方針が同盟国にも「取引コスト」を増やす

米国は、韓国からの輸入品(自動車、木材、医薬品など)に対する関税を15%から25%へ引き上げる方針を示しました。実施時期など詳細は直ちには明確でないとされますが、この発言を受けて韓国株価指数が下落し、通貨ウォンも弱含んだと伝えられています。韓国の対米輸出は、金額としては中国に次ぐ規模で、自動車は対米輸出の中でも大きな比率を占める分野です。韓国の自動車メーカーに加え、韓国で生産して米国へ輸出する外資メーカーにも影響が出得る点が指摘されています。

社会への影響は、雇用と地域経済に波及しやすいことです。自動車産業は裾野が広く、部品、物流、整備、販売金融まで連鎖します。関税が上がると、販売価格、販売台数、投資計画に影響が出やすく、雇用の調整圧力が高まる可能性があります。消費者側でも、価格上昇が起きれば買い替えを先延ばしし、結果として中古市場や修理需要が膨らむ、といった二次的な変化も起こり得ます。

経済面では、関税は税負担であると同時に「意思決定の霧」です。企業が最も困るのは、税率の高さより、変更がどのタイミングで、どの品目に、どの程度及ぶかが揺れることです。揺れるほど、在庫を積む、輸送を急ぐ、契約条件を保守的にする、といった防衛的なコストが増え、価格転嫁の圧力が消費者へ移ります。同盟国同士でも通商摩擦が起きうる現実は、企業に「政治リスクの常態化」を意識させます。


6)市場:金が史上初の5,000ドル超え、円は介入観測で買われる

金融市場では、安全資産志向が一段と強まりました。金は史上初めて1オンス5,000ドルを突破し、さらに5,100ドル超えも伝えられています。背景として、ドルの弱さ、世界秩序の不安定化、貿易摩擦の再燃、中央銀行の独立性への懸念、インフレ見通しの上振れなど複数の要因が挙げられています。株式市場は大型決算や米金融政策の発表を控えて上昇する場面もありましたが、「安心してリスクを取る」より「不安を抱えたまま持ち高を調整する」空気が残っています。

為替では円が買われ、介入観測も意識されました。円高は日本の輸入物価の押し下げ要因になる一方、輸出企業の円換算売上には逆風にもなり得ます。家計にとっては、エネルギーや食料の価格が落ち着く材料になり得ますが、企業側では業績見通しがぶれ、価格転嫁や賃上げの余地にも影響します。円が動く日は、暮らしと企業の両方が同時に揺れます。

サンプルとして、海外から原材料を輸入し、国内で加工して輸出する企業を考えます。円高は輸入原価を下げる一方、輸出代金の円換算額を下げます。ここで効くのは、ヘッジの設計と、値付けの条項(為替スライド、価格改定の頻度)です。相場の当たり外れより、「変動が起きても赤字にならない作り」を持てるかどうかが、こうした局面で企業の体力差になります。


7)米国の寒波:原油・ガス生産と電力供給を直撃し、LNGを通じて世界へ波及

気象は、きょうも世界経済の重要な変数でした。米国の強い寒波により原油生産が最大で日量200万バレル程度(国内生産の約15%に相当)落ち込む可能性が伝えられ、産地では凍結による設備トラブルが起きたとされています。天然ガスも供給が大きく減少し、停電は80万人規模に及んだとの報道もありました。復旧は数日単位で進む見通しが示されていますが、寒波は「いつ戻るか」だけでなく、「戻るまでの間に何が起きるか」が問題になります。

経済面での焦点は、天然ガス価格とLNG輸出の連動です。米国のガス価格が急伸し、需要が跳ね上がる中で供給が落ちると、LNG輸出向けのガス供給(フィードガス)が細りやすくなります。米国は主要なLNG輸出国であり、欧州はロシアによる侵攻以降、米国LNGへの依存を強めてきました。つまり、米国の寒波は国内ニュースに見えて、欧州の価格にも波及し得る「国際エネルギー問題」になっています。

社会への影響としては、寒波停電が示すのは、インフラの老朽化と気象の極端化が重なった時の脆さです。停電は暖房だけでなく、医療機器、在宅介護、情報収集を直撃します。災害は、所得や住環境の差によって被害が偏りやすいのも特徴です。家や設備に余裕がある人ほど寒さをやり過ごせてしまい、支援が必要な人ほど苦しくなる。この構図は米国でも欧州でも、そして日本でも共通です。

サンプルとして、欧州の製造業が「来月のガス調達」を考える場面を想像します。需給がタイトになった時、価格上昇だけでなく、契約の確保、調達先の分散、操業計画の見直しが必要になります。原材料価格だけでなく、操業停止による納期遅れや違約金まで含めると、寒波は「気象」ではなく「財務リスク」になります。気象由来の変動が増えるほど、企業は効率よりも強靭性(余裕のある設計)にお金を払う時代に入っていきます。


8)中国×ベトナム:指導部の再任を機に、地域協力を前面に

アジアでは、中国の習近平国家主席が、ベトナムの指導者の再任を受けて協力強化を呼びかけたと伝えられました。中国側は、両国を「運命共同体」と表現し、地域・国際問題での連携や意思疎通の強化に言及しています。こうした対話は、政治的には関係安定化のシグナルになり得ます。

経済面では、ベトナムは製造業の重要拠点であり、サプライチェーンの要所でもあります。米中摩擦が続く中で、企業は生産を分散し、部材調達や組立拠点を複線化してきました。中国とベトナムの関係が安定するほど、投資計画は立てやすくなります。一方で、地域の外交環境が揺れれば、企業はまた別のリスクを織り込む必要が出てきます。きょうのニュースは、アジアの供給網が「政治の温度」に敏感であることを再確認させます。


明日以降の注目点(短いチェックリスト)

  • インドとEUのFTAが正式にどの範囲(品目、関税、サービス、投資、ルール)で発表されるか
  • 米国の対韓関税の実施時期・対象品目がどこまで拡大するか、韓国側の交渉と産業支援がどう動くか
  • 米金融政策(週後半予定)の判断と、中央銀行の独立性をめぐる市場の敏感さがどこまで続くか
  • 米寒波の復旧が進む中で、LNG輸出と欧州ガス価格がどう反応するか
  • ウクライナの電力復旧と、次回協議に向けた交渉材料がどこまで積み上がるか
  • ガザのラファ検問所が実際にどの条件で再開され、物流と人の移動がどこまで戻るか

きょうの結論:世界は「熱」と「関税」と「信頼」の値段を測り直している

1月26日は、戦争の冬が電力と暮らしを脅かし、寒波がエネルギー市場を揺らし、通商が同盟国間でも不確実性を生む日でした。その結果として、人々と市場は安全資産へ傾き、金が史上最高値を更新しました。
不確実性が増えると、企業は守りの支出を増やし、家計は将来不安から消費を抑え、政府は財政と説明責任を抱え込みます。これは景気の速度を落とす形でじわじわ現れます。きょうのニュースは、世界が「予見可能性」を取り戻すために、インフラ・通商・外交の三つを同時に動かしていることを示しました。


参考リンク(出典)

投稿者 greeden

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