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【2025年9月25日|世界ニュース総まとめ】国連総会での和平シグナルと圧力、ガザ・ウクライナの戦時政治、原油と金のシフト、米政府閉鎖とTikTok売却の波及を読み解く

きょうの要点(短く)

  • 国連総会でパレスチナ自治政府トップのアッバス氏が「国連支持の和平計画」を受け入れ、米・サウジ・フランスと協調姿勢。イスラエルはガザ作戦を継続し、イタリア・スペインはガザ支援船団の保護に艦艇を派遣。
  • 米政府の一部閉鎖リスクが高まり、ホワイトハウスは強硬策を示唆。市場・実体経済への影響が注視点。
  • 欧州では、ドイツのメルツ首相が凍結ロシア資産を裏付けにした「対ウクライナ貸付」構想を支持。ロシアは国連でNATO/EUを非難。
  • 原油は在庫取り崩し後の高値から小反落も、イラク北部の輸出再開合意が新たな材料。金は史上高値圏で横ばい。
  • 米大統領がTikTok米事業の売却計画を承認、評価額は約140億ドル。生成AIを巡る著作権集団訴訟ではAnthropicの150億ドル級和解が仮承認。
  • 国連安保理は「対イラン制裁の復活延期」決議を金曜投票へ。可決は不透明。

1. 国連総会のメインストーリー:中東和平の“現実解”と対露資金スキームの同時進行

ニューヨークで続く国連総会は、中東とウクライナを軸に「停戦・統治・資金」の三層で動きが見られました。パレスチナ自治政府のアッバス氏は、ガザの統治を自治政府が担い武装勢力の武装解除を進める内容を含む国連支持の計画に「協力する」と演説。米国(トランプ政権)、サウジ、フランス、国連と実装を図る構えです。一方、イスラエルはガザ市での軍事作戦を強化し、ネタニヤフ首相は総会に向けて出発。現実の戦闘と外交の歩み寄りが並走しています。

欧州では、ドイツのメルツ首相が凍結ロシア資産の“元本を動かさずに”キャッシュフローを裏付けにする「EUスキーム」を公に支持。最大1,400億〜2,100億ユーロ規模の組成論が取り沙汰され、来週の非公式サミットが論点に。米国の対ウ支援の不確実性を補う狙いが濃く、加盟国・ECBの法務整理が焦点です。

安保理では、ロシア・中国が「対イラン制裁(スナップバック)の6か月延期」案を提示し、金曜投票へ。ただし英仏米の拒否権行使の可能性が高く、採択は楽観できません。中東の緊張緩和と対イラン核合意の再設計に猶予を持たせるか否か、週末にかけて大きな岐路を迎えます。

近未来の見通し

  • 中東:ガザ統治の移管設計(治安部門、港湾・空港の監督権、財政移管)が議論の中心。欧米・湾岸が資金と監督を担う“暫定ガバナンス”に収斂するシナリオ。
  • 欧州:ロシア資産スキームは「SPV+ゼロクーポン債+将来賠償充当」の折衷案に落ち着く可能性。第4四半期に法的骨格(適用指令・保証スキーム)が提示される公算。

2. ガザ・紅海・東地中海:エスカレーション管理と海上輸送の安全コスト

イスラエル国防軍は、ガザ市内の空爆・地上作戦で「170目標を攻撃」と発表。現地保健当局は死傷者増を伝え、住民の避難先は限られています。加えてイエメン方面からの飛翔体をイスラエルが迎撃したと発表し、射程と防空の攻防が続きます。

ギリシャ沖を進むガザ支援船団を、イタリアとスペインが艦艇で護衛へ。前日には無人機(スタングレネード等)による妨害が報告され、欧州各国は自国民保護・ humanitarian escort の名目で関与を強めています。イスラエルは封鎖維持の立場で衝突回避の線引きを探る局面です。

物流・海運への含意(サンプル)

  • 航路:東地中海〜紅海の保険料(戦争危険料)と寄港地分散を前提に、代替ルート(アレクサンドリア/ラータキア経由、またはエーゲ海ハブ)を設計。
  • コンプライアンス:積荷の最終仕向・エンドユーザー証明を強化し、軍事転用物資判定の審査頻度を引き上げ。
  • 契約:不可抗力条項に「ドローン攻撃・軍事封鎖」を明記、Laytime計算の特則を導入。

3. ウクライナ戦況と対露メッセージの再配列:電力網攻撃、EU資金、ラブロフ発言

ウクライナ北部チェルニヒウ州ではロシアの攻撃により約7万人が停電に。冬季前の送電網リスクは依然大きく、分散型電源・トランス在庫の確保が喫緊です。

政治面では、ゼレンスキー大統領が「戦争終結後の退任意思」に触れ、戦時リーダーシップの“出口”を初めて具体化。対外支援の長期枠組みへ心理的効果を狙う発信とも読めます。国連総会ではラブロフ外相がNATO/EUの関与を「対露の実戦争」と非難し、対立のレトリックは高止まりです。

資金面では、前述のEUスキームが現実味。元本没収は避けつつ、将来賠償で裏付けた貸付を実行する枠組みが検討され、ベルギー保管資産のキャッシュ収益をテコに「橋渡し資金」を積む設計です。米国の関与度合いが不透明な中、欧州主導の“長期×分割支給”が濃厚です。

電力・公共調達の実務例(サンプル)

  • 変圧器:66/110kV級の代替品番リスト化と相互運用試験を前倒し。
  • 予算手当:EU・国際復興枠の仕様適合(欧州規格ENの適用可否)を入札前に精査。
  • 民生:避難所の蓄電池・衛生設備を“移動キット化”し、都市間で融通可能に。

4. エネルギー・コモディティ:原油は高値調整、イラク北部の輸出再開、金は高値圏

原油は前日の7週間ぶり高値から利益確定で小反落。米在庫の取り崩し、ウクライナによる対露エネルギー施設攻撃リスクが上昇要因ですが、季節要因とOPEC+増産観測で上値は限定されやすい展開です。

一方、イラク政府とクルド地域政府がトルコ経由の原油輸出再開で合意。23年3月から止まっていたキルクーク—ジェイハンのパイプラインが動けば、日量20万〜23万バレル級のフロー復帰が見込まれ、地政学リスクと供給増の綱引きが進みます。

金相場は3,700ドル台後半で高原状態。米PCEなど重要指標待ちのなか、利下げ期待と安全資産需要が下支えに。中央銀行の買い需要も相まって、レンジは当面広がりにくい見通しです。

価格前提とヘッジ(サンプル)

  • 原油:Q4の想定レンジはブレント65〜74ドル。上振れ要因は紅海・黒海の軍事リスク、下振れは中国需要減速とOPEC+の供給判断。スワップで月次ヘッジ比率を段階設定。
  • 金:3,650〜3,900ドルのレンジを基本に、政策イベント周辺でのCollar構築を優先。ETFフローと実質金利の乖離に注意。

5. 米国政治・テック規制:政府閉鎖のカウントダウン、TikTok売却、AI訴訟の地殻変動

連邦政府の一部閉鎖リスクが来週火曜(米東部)に迫る中、ホワイトハウスは「閉鎖なら恒久的な人員削減もあり得る」と圧力を強めています。市場面では国債入札・統計公表の遅延、FAAの採用・訓練停止など実体経済にも波及するため、短期金融市場の歪みや旅行・航空セクターの打撃が懸念されます。

テックでは、米大統領がTikTok米事業の売却計画を承認し、評価額は約140億ドル。年末までの完全分離と米国主導の運営体制が要件で、データ管理・推薦アルゴリズムの統治に注目が集まります。投資家にはOracleやSilver Lakeなどの名が挙がっています。

生成AIの著作権を巡っては、Anthropicの和解案(約150億ドル)が連邦地裁で仮承認。大規模言語モデルの学習と著作権の関係に先例が生まれる可能性が高まり、今後のデータライセンス市場やモデル訓練コストに影響が及びます。

企業の実務対応(サンプル)

  • 閉鎖リスク:政府調達・助成金・監督官庁手続の停止に備え、納期・検査の延長条項を事前に交渉。航空・旅行関連は需要ショックを想定し、プロモ・価格調整で平準化。
  • TikTok:広告主はブランドセーフティとクリエイター契約の準拠法・データ転送条項を再点検。移行期の配信実験(短尺×縦型の代替在庫)を分散。
  • 生成AI:合意済みデータソースの「権利証跡」を整備し、モデル訓練・微調整のドキュメント化を標準化。

6. 日本の視点:与党総裁選、日銀の“タカ化”、為替・国債市場への波及

与党総裁選は「大型財政」対「持続可能性」の構図が鮮明に。高市氏は必要なら国債で財源調達と発言、他候補は賃金・生産性重視の路線で対抗。いずれの政権でも補正の規模観と国債需給に注目が集まります。

日銀は7月会合議事で一部委員が将来の追加利上げに言及。9月会合でも利上げ提案が少数ながら出たとされ、為替のボラティリティと連動しやすい地合いが続きます。10月利上げの思惑も一部で燻っています。

家計・企業への示唆(サンプル)

  • 家計:固定・変動のローン比率を点検。冬季電力料金と食料インフレに備え、支出平準化の計画を。
  • 企業:国債利回り上昇時の評価損・担保増の影響試算。為替予約の段階ヘッジ(25%→50%→75%)で輸出入の利益幅を守る。

7. マーケットの地図:ドル、株、金利の力学

為替はドル高基調が維持されつつも、金価格の高止まりと相殺し合う局面。米PCEを控えたポジション調整が主体で、株式はイベント待ちの様子見トーンが濃い一日でした。テクニカルには「上値重い」の指摘も増えています。

運用の作戦(サンプル)

  • クロスアセット:金高・原油レンジ・株もみ合いの“非典型相関”に備え、VIX・MOVE・金先の同時ウォッチを継続。
  • クレジット:米政府閉鎖の長期化シナリオでは、短期流動性ファンド→Tビルロールの滞りに注意。スプレッドの一時拡大は拾いどころになり得るが、ディフェンシブ優先。

8. 1〜3か月のシナリオ別見通し(情勢・経済への影響)

ベースシナリオ(確率40%)

  • ガザ:戦闘は続くが、国連支持の暫定統治設計が米・湾岸・欧州の連携で具体化。紅海・東地中海の航行リスクは高止まり。
  • ウクライナ:欧州主導の資金スキームが骨格合意。ロシアのインフラ攻撃が続くも、送電網の臨時復旧が奏功。原油は65〜74ドル、金は3,650〜3,900ドル圏。

上振れシナリオ(確率30%)

  • 国連安保理や米政権の仲介で、停戦に向けた段階的措置(捕虜・人道回廊)が進む。米政府閉鎖は回避され、リスク資産に追い風。原油は需給タイト化で一時75ドル台。

下振れシナリオ(確率30%)

  • ガザ情勢で周辺国の関与が深まり、紅海〜地中海の航路妨害が増加。ウクライナ冬季の電力網被害が深刻化。米政府閉鎖が長期化し、消費・設備投資に下押し。金は4,000ドル試しのリスク、株は調整色。

9. この記事は誰の役に立つか

想定読者(具体像)

  • 企業の経営企画・財務・調達・SCM担当者:原油・金・為替のレンジ感と、中東・ウクライナに伴う物流・保険・法規制の実務影響を“明日からの業務”に反映したい方。
  • 金融機関のCIO/PM/アナリスト:米政府閉鎖リスクと国連総会の外交イシューを、10〜12月のポートフォリオ再配分(エネルギー、国防、金鉱株、旅行関連)の判断材料にしたい方。
  • メディア・教育関係者:国際政治・安全保障・エネルギー・テック規制の“相互連関”を授業・研修・社内勉強会の素材にしたい方。

参考リンク(主要ソース)


免責

本記事は、各一次報道(主にロイター)に基づき、事実関係を確認のうえ要約・分析しています。公式発表の更新や裁可の有無により、数値・スケジュールは変動する場合があります。

投稿者 greeden

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