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目次

2025年11月22日 世界ニュース総まとめ

ウクライナ和平案を巡る駆け引き、ガザ再空爆、COP30妥結、G20南ア開幕、日中「台湾」対立激化


きょうのポイント(まず全体をざっくり)

  • トランプ政権高官とロシア側特使が10月にマイアミで会談していたことが判明。ロシア寄りと批判される「ウクライナ和平28項目案」をめぐり、米国内・欧州で強い疑念が噴出しています。
  • 同じ和平案をめぐり、西側首脳は「交渉のたたき台にはなるが、ウクライナに不利な部分の修正が必要」とし、ウクライナと米国は数日内にスイスで協議を開始すると発表。ゼレンスキー政権は「尊厳ある平和」を守れるか、非常に厳しい選択を迫られています。
  • ガザ地区では、イスラエル軍の新たな空爆により少なくとも24人が死亡。10月10日の停戦開始以降の死者は少なくとも318人に達し、「停戦合意の実質崩壊」との懸念が高まっています。
  • ブラジル・ベレンのCOP30は、徹夜協議の末に「化石燃料」という文言を事実上避けた妥協的な最終合意に到達。先進国に対し、途上国向けの気候適応資金を2035年までに3倍にするよう求めていますが、環境団体や一部国家からは「不十分」との声も強く上がっています。
  • 南アフリカ・ヨハネスブルグでは、アフリカ初のG20首脳会議が開幕。米国はボイコットし、G20の将来性や「米国抜きのグローバル・ガバナンス」が議論の的となっています。
  • G20開幕直前、南ア政府は「ジェンダーに基づく暴力と女性殺害(GBV・フェミサイド)」を国家的災害=ナショナル・ディザスターに指定。全国で女性たちが黒い服で「寝転びデモ」を行い、一日15人が殺される現実に世界の注目を集めました。
  • 中国は、日本の高市早苗首相による「台湾有事」発言を巡る対立を国連の場に持ち込み、「日本が武力介入を示唆した」と強く非難。日本外務省は「国際法に基づく正当な説明」と反論し、日中関係はここ十年で最悪級との見方も出ています。
  • 日本関連では、前日に決定した21.3兆円の大型経済対策に続き、日銀審議委員が「利上げ決定は近い」と発言。円安と国債増発への警戒から、海外投資家の日本国債離れを懸念する声も出ています。
  • チュニジアでは、サイード大統領による権限集中とメディア弾圧に抗議する大規模デモが続き、「アラブの春」発祥の地で再び民主化を求める声が高まっています。

この記事が「役に立つ方」と読み方ガイド

きょうのまとめは、次のような方を具体的にイメージして書いています。

  • 日本企業で、経営企画・海外事業・リスク管理・サステナビリティ・IRなどを担当されている方
  • 株式・投信・債券・FX・コモディティなどで資産運用をしている個人投資家の方
  • 国際政治・安全保障・国際経済・開発・気候変動を学ぶ高校生・大学生・社会人大学院生の方
  • 観光・小売・製造・エネルギー・金融・自治体・NGO/NPOなどで、世界情勢が自分の現場にどう響くかを知りたい方

構成は「重要度の高いテーマから順に」並べた逆三角形型です。

  1. ウクライナ和平案とマイアミ会談(第1章)
  2. ガザ情勢と市民生活への打撃(第2章)
  3. G20南ア+南ア国内のジェンダー暴力問題(第3章)
  4. COP30最終合意と気候・経済(第4章)
  5. 日中「台湾」対立と日本経済・金融市場(第5章)
  6. チュニジア民主化デモなどその他の重要トピック(第6章)
  7. 最後に「自分ごと」にするためのヒント(第7章)

お時間がない場合は、第1〜3章だけ読んでいただくと「安全保障+世界経済+アフリカG20」の大枠がつかめます。
余裕のあるときに第4章以降をゆっくり読んでいただくと、気候、ジェンダー、民主化など、より長期的な社会変化も見えてきます。


第1章 ウクライナ和平案を巡る「マイアミ会談」と西側の綱引き

1-1. トランプ側近とロシア特使、マイアミで極秘会談

ロイターなどの報道によると、10月末に米フロリダ州マイアミで、トランプ政権の特使スティーブ・ウィトコフ氏やジャレッド・クシュナー氏らと、米制裁対象のロシア国営投資基金トップ、キリル・ドミトリエフ氏が秘密裏に会談していました。

この会談は、

  • ロシア寄りと批判される「28項目のウクライナ和平案」の草案づくりに関与した
  • 米政府内の一部高官やウクライナ側の主要交渉窓口を外して進められた

とされ、米議会や情報機関から「正規の外交ルートを無視している」「制裁対象者が和平案づくりに関わるのは問題だ」と強い疑問の声が上がっています。

1-2. 「ロシアの願望リスト」と批判される28項目案

同じ28項目案について、欧米の複数メディアは、

  • ウクライナによる追加的な領土割譲
  • クリミアのロシア領としての事実上の承認
  • ウクライナ軍の規模縮小や中立化

といった内容が含まれていると伝え、「ロシアの願望リストに近い」と指摘しています。

米議員の中には、「この案はロシア大統領プーチン氏が長年求めてきた条件をほぼ満たす一方で、ウクライナ側の主権と安全保障を著しく損なう」と懸念を示す声もあります。

1-3. ウクライナはスイスで米国と協議へ、「尊厳ある平和」を模索

キーウは、「数日以内にスイスで米国と協議を行い、戦争終結の条件を話し合う」と発表しました。

  • ゼレンスキー大統領は、「ウクライナは和平の障害にはならないが、尊厳と自由を失うような和平は受け入れない」と述べ、国民の期待と圧力の板挟みになっています。
  • 一方、トランプ大統領は「11月末(米サンクスギビング頃)までに受け入れなければ、軍事支援削減もあり得る」とウクライナに強い圧力をかけていると報じられています。

西側首脳たちはG20会場などで、「この和平案は交渉の出発点にはなり得るが、ウクライナ側にあまりに不利な項目が多く、修正が必要」とコメント。ゼレンスキー政権を守りつつも、トランプ政権の怒りを買わないよう、非常に微妙なバランスをとろうとしています。

1-4. 経済への影響:エネルギー・防衛・欧州経済

  1. エネルギー市場の揺れ

    • 「和平実現→対ロ制裁一部緩和→中長期の供給増」という期待が一部にある一方、
    • 「不公平な和平→ウクライナ国内の不安定化→欧州安全保障リスク長期化」という懸念もあり、原油・ガス価格は“上にも下にも振れやすい状態”が続きます。
  2. 防衛・インフラ需要

    • たとえ停戦しても、ウクライナのインフラ復興、防空システム整備、地雷除去などには莫大な費用と時間が必要です。
    • 欧州や日本の建設・エンジニアリング・エネルギー・IT企業にとっては、長期的なビジネス機会となる一方、治安リスクや政治リスクも伴います。
  3. 欧州経済と日本企業

    • 戦争長期化は、欧州のエネルギーコストと防衛費を押し上げ、景気の重しになります。
    • 欧州向け輸出が多い日本企業にとって、需要の伸び悩みや投資計画の先送りがリスクとなる一方、防衛・再エネ・省エネ関連では新たな需要が見込まれます。

1-5. 社会への影響:「公正な平和」とは何か

  • ウクライナ国民にとって、領土や主権を大きく譲る和平は「敗北の受け入れ」に等しく、将来の安全保障も危うくします。
  • 一方で、欧米の市民からは「いつまで高い税金で戦争支援を続けるのか」という“支援疲れ”の声も出ています。

「公正な平和」とは何か。
侵略された側の尊厳を守りつつ、被害の拡大を止める現実的なラインはどこにあるのか――。
この問いは、日本を含む世界中の市民に投げかけられているように感じます。


第2章 ガザ:24人死亡の空爆で「停戦」の信頼が揺らぐ

2-1. 24人死亡、停戦後としては最大級の空爆

ガザ地区では22日、イスラエル軍による新たな空爆が相次ぎ、病院の発表によると少なくとも24人が死亡、数十人が負傷しました。

  • 爆撃はデイル・アルバラやヌセイラト難民キャンプ、アル・アクサ病院近くの住宅などを直撃。
  • 死者には女性や子どもも含まれており、現場の様子を伝える映像には、瓦礫の中から家族を探す人々の姿が映し出されています。

10月10日に停戦が発効して以降も、イスラエル側による空爆と地上作戦は断続的に続いており、報道によれば停戦後だけで少なくとも318人が死亡、700人以上が負傷したとされています。

2-2. 経済・生活への打撃:復興コストと人道支援

  1. 莫大な復興コスト

    • 住宅やインフラが繰り返し破壊されることで、再建費用は雪だるま式に膨らみます。
    • ガザと周辺地域の復興には、数百億ドル規模の長期的な支援が必要と見込まれ、湾岸諸国・欧州・日本などの負担が議論の焦点になっていきます。
  2. 人道支援の難しさ

    • 停戦中でありながら空爆が続く状況では、支援団体や国連機関が安全に活動することが難しくなります。
    • 食料・水・医薬品・テントなど物資だけでなく、トラウマケア・教育支援・生計支援といった「長期的な人間の安全保障」も欠かせません。
  3. 周辺経済への波及

    • エジプトやヨルダン、レバノンなど近隣諸国は、難民受け入れや治安対策の負担が増え、観光や投資にも悪影響が出ています。
    • 中東全体の不安定化は、原油市場の地政学リスク要因として、世界的な物価にも影を落とし続けます。

2-3. 社会への影響:停戦への信頼の崩壊と世論の分断

「停戦」と言いながら空爆が続く状況は、現地住民にとってはもちろん、国際社会にとっても停戦合意への信頼を大きく揺るがします。

  • パレスチナ側では、「停戦は紙切れにすぎない」という諦めや怒りが広がり、過激な思想に傾く若者が増えるリスクがあります。
  • イスラエル国内でも、「安全保障」の名の下でどこまで軍事行動を続けるべきか、道徳的・戦略的な議論が続いています。

世界各国の世論は、

  • イスラエルの安全保障を重視する立場と、
  • パレスチナ人の人権と国際人道法を強く求める立場との間で、激しく二極化しがちです。

日本社会でも、SNS上の議論が感情的な対立に陥りやすいため、複数の情報源を確認し、「事実」と「意見」を丁寧に分けながらニュースを見る姿勢が大切になってくると思います。


第3章 G20南アフリカ開幕と、「ジェンダー暴力は国家的災害」という宣言

3-1. アフリカ初のG20首脳会議がヨハネスブルグで開幕

22日、南アフリカ・ヨハネスブルグのナスレック・エキスポセンターで、アフリカ初となるG20首脳会議が開幕しました。

  • テーマは「連帯・平等・持続可能性(Solidarity, Equality, Sustainability)」。
  • 低・中所得国の債務問題、気候資金、インフラ投資、食料安全保障など、グローバル・サウスの課題を前面に掲げています。

ただし、トランプ大統領は「南アフリカでの人権侵害(特に白人農家への暴力)」を理由に米政府としての参加を拒否し、米国は完全ボイコット。
G20本来の「主要20カ国が同じテーブルにつく」という枠組みが揺らぎつつあることが、象徴的に表れています。

3-2. 南アフリカ、「ジェンダーに基づく暴力」を国家的災害に指定

G20開幕前日、南アフリカ政府は「ジェンダーに基づく暴力とフェミサイド(女性殺害)」を国家的災害(ナショナル・ディザスター)として正式に指定しました。

その背景には、

  • 一日あたり約15人の女性が殺害されるとされる深刻な状況
  • 女性の3分の1が身体的暴力を経験し、約1割が性暴力を経験したという政府調査結果
  • NGO「Women for Change」が主導した100万筆以上の署名キャンペーンと全国規模の抗議行動

などがあります。

3-3. 黒い服で「寝転びデモ」――G20を利用した草の根アクション

21日には、ヨハネスブルグやケープタウンなど15都市で、黒い服を着た女性たちが15分間地面に横たわる「ライダウン・プロテスト」を実施し、「毎日15人の女性が殺されている」現実を可視化しました。

G20という世界の注目が集まる場を利用して、

  • 家事やケア労働、職場での労働、消費行動を一時的に止める「Women’s Shutdown」
  • SNSでのハッシュタグ運動
    など、草の根のアクションが政府の政策決定を動かした、非常に象徴的な事例と言えます。

3-4. 経済・社会へのインパクト:ジェンダー暴力は「経済問題」でもある

ジェンダーに基づく暴力は、人権問題であると同時に、深刻な経済問題でもあります。

  • DVや性暴力の被害により、被害者は仕事を続けられなくなったり、医療費・引越し費用・法的手続きに多額のコストを払わざるを得ません。
  • 企業にとっても、従業員の欠勤・離職・生産性低下につながり、社会全体の労働力や成長率を押し下げる要因となります。

南アフリカが国家的災害として位置づけたことは、

  • 予算・法制度・警察・司法・教育など、社会のあらゆる仕組みにジェンダー暴力対策を組み込む
  • G20の議題としても、ジェンダー平等と安全な社会構築を位置づける

というメッセージでもあります。

日本でも、性暴力・DV・ストーカー・職場でのハラスメントなどが社会問題として認識されるようになりましたが、
「それは個人的な家庭の問題」ではなく、「社会・経済全体の損失」でもあるという視点が、今後さらに重要になっていきそうです。


第4章 COP30最終合意:化石燃料を避けた妥協と、揺れる気候正義

4-1. 「化石燃料」なき最終合意、それでも一歩前進?

ブラジル・ベレンで開かれていたCOP30は、22日、徹夜協議の末に最終合意に到達しました。

主なポイントは、

  • 先進国に対し、2035年までに気候変動「適応」資金を3倍に増やすよう求める
  • 災害リスク削減や気候に強いインフラ整備のための新たな枠組みを作る
  • 貿易政策と気候行動の整合性を検証するプロセスを設ける

といった、資金と制度面での具体的な前進が含まれています。

一方で、

  • 合意文書の本体からは「化石燃料」や「フェーズアウト」という言葉が削除され、
  • 化石燃料の扱いについては、別の補足文書として弱い表現にとどまった

ことが、EUやコロンビア・パナマなど多数の国、そして環境団体から強い批判を浴びています。

4-2. 経済的インパクト:投資家へのシグナルと日本企業への影響

  1. 化石燃料企業へのシグナル

    • 国際合意として明確な「脱化石」の期限が打ち出されなかったことで、石油・ガス企業は短〜中期的には投資を継続しやすくなります。
    • ただし、EUや一部の国・投資家は独自に脱化石を進める方針を強めており、「世界全体では鈍いが、一部地域では急速な転換」という不均一な構図になりそうです。
  2. 再エネ・適応ビジネスの拡大

    • 適応資金の拡大は、堤防や排水設備、耐熱建築、農業の干ばつ対策、水インフラなど、さまざまな分野の投資拡大につながります。
    • 日本の建設・インフラ・水処理・農業技術企業にとっては、アジア・アフリカ・中南米でのビジネスチャンスが増える可能性があります。
  3. 金融・開発機関の役割

    • 世銀や地域開発銀行の改革が議題となっていることから、民間資金を呼び込む「ブレンド・ファイナンス」の重要性が一段と増しています。
    • 日本のメガバンク・保険・年金基金も、気候変動に配慮した投融資を求められる場面が増えそうです。

4-3. 社会への影響:「気候正義」と世代間の公平性

  • 小さな島国やアフリカ諸国は、「歴史的に大量の温室効果ガスを排出してきた先進国が、十分な責任を取っていない」と不満を強めています。
  • 若い世代の活動家たちは、「自分たちの未来が妥協に使われている」と感じ、ストライキや抗議行動を強める動きもあります。

気候危機は、環境問題であると同時に、

  • 北と南
  • 富裕層と貧困層
  • 現在世代と将来世代

の間の「不公平」をどう是正するか、という問題でもあります。
日本にいる私たちも、電気・ガソリン・食品など日々の消費の中で、少しずつ「気候のコスト」を意識していく必要がありそうです。


第5章 日中「台湾」対立のエスカレート:国連の場へ、そして日本経済

5-1. 中国、国連で日本を強く非難「武力介入の脅し」

中国は、日本の高市早苗首相による「中国が台湾を攻撃すれば、日本の存立危機事態に当たり得る」という発言をめぐる対立を、国連の場に持ち込みました。

  • 中国の傅聡・国連大使は、国連事務総長あての書簡で「日本が台湾への武力介入を示唆した」「中国に対する侵略の脅しだ」と強く非難。
  • さらに、「日本が第二次世界大戦の歴史から教訓を学んでいない」として、歴史問題にも言及しました。

日本側は、「発言は国際法と日米安保に基づく一般論であり、中国を挑発する意図はない」と説明しつつ、「力による一方的な現状変更には断固反対」との立場を維持しています。

5-2. 経済的影響:貿易・投資・観光へのリスク

今回の対立は、すでに進んでいた

  • 日本産水産物の輸入停止
  • 中国から日本への旅行ボイコット
  • 各種文化交流イベントの延期・中止

といった流れをさらに悪化させる可能性があります。

具体的には、

  1. サプライチェーンの分断リスク

    • 自動車・電子部品・機械などで中国に生産拠点や販売網を持つ日本企業は、政治リスクを改めて意識せざるを得ません。
    • 「中国+1」「中国からの生産シフト」といった動きが、さらに加速する可能性があります。
  2. 観光・コンテンツ産業への影響

    • 中国人観光客の減少は、地方の観光地・百貨店・ドラッグストアに大きな打撃を与えています。
    • 映画・アニメ・音楽などの文化コンテンツも、中国市場からの収益が当てにできない前提で戦略を立てる必要が出てきました。
  3. 金融市場の反応

    • 円安が進んでいた中で、地政学リスクの高まりは、日本株・日本国債に対する海外投資家の警戒要因になり得ます。

5-3. 日銀の利上げ観測と「財政・為替・安全保障」の三重苦

前日までの報道では、

  • 日本政府が21.3兆円の大型経済対策を決定したことに対し、市場は「国債増発による財政悪化」を懸念、
  • 円は対ドル・対ユーロで下落し、日銀は「円安を放置できない」として12月利上げに踏み切る可能性が高まっているとされています。

日本にとっては、

  • 安全保障上の緊張(台湾海峡・中国)
  • 財政規律への不安(大型対策+国債残高)
  • 円安・物価高と利上げのジレンマ

が同時に進行している状態とも言えます。

家計にとっては、

  • 生活費(輸入物価)
  • 住宅ローン金利
  • 将来の税負担

がどう変化するのか、ますます目が離せない局面ですね。


第6章 チュニジア民主化デモとメディア弾圧:アラブの春の原点で何が起きているか

6-1. 数千人規模の「民主主義を返せ」デモ

チュニジアの首都チュニスでは22日、カイス・サイード大統領に対する大規模な抗議デモが行われ、数千人が「不正義と弾圧に反対する」「民主主義を返せ」と訴えました。

  • デモ参加者は、大統領が憲法改正や議会解散を通じて権限を一手に集中させ、「一人支配」を強めていると批判。
  • 経済停滞・失業・物価高への不満も、デモを後押ししていると見られます。

6-2. ジャーナリストへの弾圧と表現の自由

同じ週には、チュニジアのジャーナリストたちが政府庁舎前で抗議集会を開き、「報道への制約をやめろ」「拘束された記者を解放せよ」と訴えました。

  • 政府批判を行った記者や活動家が逮捕・起訴されるケースが増えており、報道の自由を巡る国際的な懸念が高まっています。

「アラブの春」の発祥地として民主化の象徴だったチュニジアが、再び権威主義に傾いているという指摘もあり、
国際社会は、民主主義・人権・経済支援をセットでどう支えていくか、難しい判断を迫られています。

6-3. 経済・社会への影響:若者の将来と移民圧力

  • 高い失業率と政治的閉塞感は、若者がヨーロッパへの不法移民を試みる動機となり、地中海の移民問題をさらに深刻化させる要因になります。
  • EUにとっては、チュニジアや他の北アフリカ諸国の安定は、自国の安全保障や労働市場にも直結する問題です。

日本にいると遠く感じるかもしれませんが、
世界の民主化の「先行指標」として、中長期的には国際秩序や人権規範の行方に影響してくるテーマでもあります。


第7章 きょうの世界を「自分ごと」にするために

最後に、今回ご紹介したニュースを、私たち一人ひとりの生活や仕事にどう結びつけて考えられるか、少しだけ整理してみますね。

7-1. キャリア・ビジネスの視点

  • ウクライナ和平案、ガザ情勢、G20南ア、COP30、日中対立――これらは、防衛・エネルギー・再エネ・インフラ・農業・観光・IT・金融など、多くの業界の「伸びる分野」と「縮む分野」を同時に映しています。
  • たとえば、
    • 「ITスキル+英語+気候・エネルギーの基礎知識」
    • 「金融+地政学リスク理解」
      といった組み合わせは、企業・国際機関・シンクタンク・スタートアップなど幅広い場で重宝されやすいスキルセットです。

ご自身の会社や専門分野が、

  • どの地域(欧州・中東・アフリカ・アジア)とつながっているのか
  • 気候・安全保障・ジェンダー・人権といったテーマとどう関わっているのか

を一度棚卸ししてみると、これからのキャリアの方向性を考えるヒントになるかもしれません。

7-2. 家計・投資の視点

  • 日本の大型経済対策と日銀の利上げ観測、世界の株・債券・為替・コモディティ市場の動きは、住宅ローン・生活費・投資運用に直接影響してきます。
  • 短期の値動きに振り回されるのではなく、
    • 「なぜ今、金利が動いているのか」
    • 「なぜ円が安く(または高く)なっているのか」
    • 「なぜAI関連やエネルギー関連に資金が集まるのか」
      といった“なぜ”を考える習慣をつけると、ニュースがぐっと立体的に見えてきます。

投資をしている方であれば、

  • 地政学リスクに強い資産(債券・金など)
  • 成長を取りにいく資産(株式・REITなど)

のバランスを意識しつつ、自分のリスク許容度に合わせたポートフォリオをゆっくり整えていくのが大切ですね。

7-3. 市民としての視点

  • 南アフリカのジェンダー暴力問題、ガザやウクライナ、チュニジアの民主化――どれも、日本からは遠く感じられるかもしれませんが、
    私たちの税金・消費・投資・声が、少しずつ世界の方向性に影響を与えています。

たとえば、

  • フェアトレードやエシカルな商品を選ぶ
  • 信頼できる複数のニュースソースを確認し、SNSで拡散する前に出所を確かめる
  • 選挙のときに、外交・安全保障・気候・ジェンダーに関する各党の公約を一度読んでみる

といった小さな行動が、長い目で見れば社会の「しなやかさ」を高める力になります。


参考リンク(英語・一部日本語)

以下は、きょうの記事をまとめる際に参照した主な英語・日本語記事の一部です。ブラウザの自動翻訳などを使うと読みやすくなります。

投稿者 greeden

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