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目次

2025年11月27日の世界情勢まとめ

香港高層火災、ウクライナ和平の新局面、教皇トルコ訪問と金融市場の行方


1. きょう世界で何が起きたのか(ざっくり早わかり)

2025年11月27日、世界では「安全保障・人道危機・金融市場・民主主義」という4つのテーマが同時進行していました。この記事は、とくに次のような方を意識してまとめています。

  • 海外売上や調達比率の高い日本企業の経営層・企画部門・リスク管理部門の方
  • 株式・債券・為替・コモディティ・暗号資産などで運用をしている個人投資家・プロ投資家の方
  • 国際政治・安全保障・開発経済・人権を学ぶ高校生・大学生・社会人の学習者
  • 自治体や教育・医療・福祉・NGO/NPOで、世界情勢が現場にどう響くかを知りたい方

まずは、1日の主要トピックを箇条書きで整理します。

  • 香港・新界大埔の高層住宅群「ワンフォック・コート」での大規模火災は、死者55人・行方不明279人に。警察は改修工事を担っていた会社の幹部3人を「重大な過失」による過失致死容疑で逮捕し、中国政府の統治能力を問う事態に発展しています。

  • ロシアのプーチン大統領は、米国とウクライナがジュネーブで協議した停戦案について「将来の和平合意の基礎になり得る」と初めて前向きな評価。一方で、クリミア大橋爆破事件をめぐり、ロシア軍事裁判所が8人に終身刑判決を下し、対ウクライナ強硬姿勢も改めて示しました。

  • カトリック教会のレオ教皇が、就任後初の外遊でトルコに到着。「断片的な第三次世界大戦が進行している」と警鐘を鳴らし、特にパレスチナ問題をめぐるエルドアン大統領との会談が注目されています。

  • ガザでは停戦が続く一方、国連やNGOは「テントや食料が冬に間に合っていない」と警告。豪雨や寒さのなか、避難民キャンプの状況はさらに悪化しています。

  • 世界の株式市場は、12月の米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ観測が強まり続伸。アジア株が上昇し、ビットコインは9万ドル台を回復する一方、円は「いつ介入があってもおかしくない水準」での推移が続いています。

  • 中国は「メイド・イン・チャイナ2025」に続く新たな産業戦略(仮称:Made in China 2035)を準備中との分析が公表されました。AI・クリーンエネルギー・6G・量子などのハイテク輸出をさらに拡大し、今後10年でGDPを40%増やす野心的な構想が、各国との摩擦を招きそうです。

  • 米国では、トランプ大統領の「報復キャンペーン」を調査したロイター特別リポートが、少なくとも470人・団体が標的になったと指摘。さらにジョージア州は、2020年大統領選介入を巡るトランプ氏への刑事訴追をすべて取り下げ、法の支配と政治介入の境界に議論が集まっています。

  • 日本では、高市早苗首相が経済財政諮問会議で「2026年度予算は物価上昇を適切に反映した成長型予算にする」と表明。25日のトランプ米大統領との電話会談を巡っては、「中国を挑発しないよう助言された」との米報道を日本政府が否定するなど、外交・経済ともに綱渡りの局面が続いています。

以下では、これらのニュースを「①香港火災」「②ウクライナとロシア」「③中東と教皇外交」「④世界経済と中国」「⑤米国の民主主義」「⑥日本の外交・経済」の6つの章に分けて、経済的・社会的な意味合いも含めて丁寧に見ていきますね。


2. 香港・ワンフォック・コート大火災:高密度都市の安全と統治の試金石

2-1. 死者55人・行方不明279人、改修会社3人を逮捕

香港・新界大埔にある高層公営住宅「ワンフォック・コート」で、26日に発生した大規模火災は、27日午後になってようやく「ほぼ鎮圧」の状態になりました。現時点で少なくとも55人が死亡、279人が行方不明とされ、香港で数十年ぶりの大惨事となっています。

  • 炎は8棟あるタワーのうち7棟に燃え広がり、住民約4600人に影響
  • 外壁を覆っていた竹製足場と防炎基準を満たさないシートが炎の拡大を助長した可能性
  • 警察は、改修工事を請け負った建設会社の幹部3人を「重大な過失による過失致死」の疑いで逮捕

今回の工事には約3億3,000万香港ドル(おおよそ60億円)規模の予算が投じられていたとされ、コスト削減と安全性軽視がどこまで影響したのか、汚職や談合の有無も含めた本格的な捜査が始まっています。

2-2. 経済への影響:建設コスト・保険料・不動産市場

1)建設・改修コストの上昇

香港政府はすでに、竹足場の段階的な廃止と金属足場への切り替え方針を示していましたが、今回の火災でその流れが一気に加速する可能性があります。

  • 竹足場→金属足場への転換は、材料費・人件費ともに上昇要因
  • 公営住宅だけでなく、民間マンションの大規模修繕でも安全対策費が増加
  • その結果、改修工事の遅延や中止、家賃・管理費の上昇につながるリスク

2)保険・再保険市場への波及

高層住宅群でこれだけ大規模な人的・物的被害が出ると、

  • 火災保険・工事保険の保険金支払いが大きく膨らむ
  • 香港を拠点とする再保険会社や、グローバル再保険市場全体の「アジア都市災害リスク」の評価が見直される

といった動きが出てくるかもしれません。

3)不動産市場と住宅政策

香港の公営住宅には、低所得層や高齢者、移民家庭など、社会的に脆弱な立場の人々が多く暮らしています。

  • 「古い団地=危険」という印象が広がれば、建て替え需要が一気に高まる一方、住民の移転先確保や財政負担が問題に
  • 不動産価格が高止まりする中で、公営住宅への依存度がさらに高まる可能性もあり、「安全な住まい」をどう確保するかが香港政府の大きな宿題になります

2-3. 社会への影響:中国の「統治能力」が問われる

ロイターは、この火災を「中国政府の香港統治の最大の試金石のひとつ」と位置付けています。

  • 2019年の民主化デモ以降、選挙制度や治安関連法の改正で政治的自由は大きく制限されましたが、その代わりに「安全・安定・繁栄」を約束するとされてきました。
  • 今回のように、生活の基盤である住まいの安全が脅かされると、「政治的自由を抑えてまで実現すると言っていた安定とは何だったのか」という疑問が市民の間で高まる可能性があります。

たとえば、日本の政令指定都市でも、1970〜80年代に建てられた高層団地の老朽化が進んでいます。

身近な例として

  • 耐震基準は満たしているか
  • 外壁タイルや配管の劣化はないか
  • エレベーターや非常口の点検は十分か

といったチェックは、普段は見えにくいですが、香港の火災は「高密度に住む社会のリスク」をあらためて突きつけています。


3. ウクライナ和平構想とクリミア大橋事件判決:戦争を終わらせる「言葉」と「裁き」

3-1. プーチン「将来の合意の基礎になり得る」

キルギス・ビシュケクを訪問中のロシアのプーチン大統領は、米国とウクライナがジュネーブで協議した最新の停戦案について、「全体として見れば、将来の合意の基礎になり得る」と述べました。

この案は、先週公表された米国主導の「28項目和平案」をウクライナ側が批判し、ジュネーブで修正協議を行った結果生まれた「修正版」だとされています。

  • ロシア寄りとされた原案のうち9項目が削除され、領土や安全保障に関する条件の一部が緩和されたとの報道
  • ただし、具体的な文言は非公開で、「ウクライナにどこまでの譲歩を求めているのか」は依然として不透明

プーチン氏は同時に、「ウクライナ政権は違法であるため、現時点で正式な合意に署名することは法的に不可能」とも発言しており、実際の停戦までの道のりはまだ長そうです。

3-2. クリミア大橋爆破事件、8人に終身刑

同じ日、ロシア南部ロストフ・ナ・ドヌの軍事裁判所は、2022年10月のクリミア大橋爆破事件に関与したとして、8人の被告に終身刑を言い渡しました。

  • 大橋はロシア本土とクリミア半島を結ぶ全長19キロの道路・鉄道橋で、ロシアの象徴的インフラ
  • 2022年10月8日の爆発で5人が死亡、橋の一部が崩落し、軍事物資輸送にも影響
  • ロシアは「ウクライナの情報機関SBUが組織したテロ」と主張し、トラックに積まれた金属ロール内部に爆薬が隠されていたと説明

被告側は「積荷の内容を知らされていなかった」と無罪を主張しましたが、裁判は非公開で行われ、弁護士は「十分な反論の機会が与えられなかった」と批判しています。

3-3. 経済・市場への影響:エネルギーとリスクプレミアム

ウクライナ和平構想とクリミア大橋判決は、金融・商品市場にも間接的な影響を与えます。

1)原油・ガス市場

  • 停戦案が「将来の合意の基礎」とプーチン氏に認められたことで、ロシア産エネルギー供給が中長期的に安定する可能性を市場が少し織り込み、原油価格は一時下落しました。
  • その後は、西側制裁の継続や中東情勢も重なり、価格は「やや軟化しつつも下値は限定的」という状態に。

2)債券・通貨・株式

  • 停戦期待はリスク資産にはプラスですが、領土割譲を含む案への国内反発や政治的不安定さを考えると、「全面的なリスクオン」にはなりにくく、欧州国債やユーロへの影響は今のところ限定的です。
  • 逆に、ウクライナ国債や近隣新興国の通貨には、「停戦で復興需要が生まれるシナリオ」を先取りした思惑買いも出る可能性があります。

サンプル:日本企業にとっての具体的な視点

  • エネルギー輸入企業…ロシア・中東両方のリスクをにらみ、「高値継続」「急落」「乱高下」の3シナリオで原材料コストを試算しておく。
  • インフラ・建設・商社…ウクライナや周辺国の復興案件への参画を検討する際、「制裁リスク」「安全確保」「現地パートナーの信頼性」をチェックリスト化して社内共有しておく。

3-4. 社会への影響:和平への期待と「正義」の感覚

  • 一方で、クリミア大橋事件の実行犯とされる人々が終身刑を言い渡されるニュースは、ロシア国内では「報復と抑止」のシンボルとして受け止められています。
  • ウクライナ側から見れば、「ロシアが違法に建設した橋への攻撃」であり、軍事的正当性を主張する声も強く、双方の「正義」が鋭くぶつかり合ったままです。

和平交渉では、領土・安全保障・賠償に加えて、戦争犯罪やテロリズムを巡る「歴史認識」と「司法」の問題も避けて通れません。

日本にいる私たちにとっても、
「平和のためにどこまで妥協できるのか」
「被害者や遺族の感情をどう扱うのか」
といった問いは、決して他人事ではないテーマですね。


4. 中東と教皇外交:ガザの冬とレオ教皇の「断片的世界大戦」発言

4-1. レオ教皇、トルコで「人類の未来が危険にさらされている」と警告

米国出身のレオ教皇は、就任後初の外遊としてトルコに向かう機上で、記者団に対し、各地で続く紛争を「断片的な第三次世界大戦」と表現し、「人類の未来が危険にさらされている」と強い懸念を示しました。

トルコではエルドアン大統領と会談し、

  • パレスチナ問題への「鋭い洞察」を持つ姿勢をエルドアン氏が称賛
  • ガザ停戦とレバノン情勢の安定化、難民支援に向けた協力を確認

と伝えられています。

教皇はこのあとレバノンも訪問予定で、

  • キリスト教・イスラム教・他宗教が共存する社会での対話
  • 経済危機と難民流入に苦しむ人々への連帯メッセージ

を発信する見込みです。

4-2. ガザ停戦の裏で続く人道危機

一方、ガザでは10月の停戦合意から約1か月以上が経過したにもかかわらず、冬に向けた準備は全く追いついていません。

  • 国連やNGOは、「トラック600台分の支援」を約束した停戦合意に対し、実際には1日あたり約145台しか物資が入っていないと指摘。
  • 食料は必要量の半分程度しか届かず、多くの家庭は乾燥した穀物だけで飢えをしのいでいる状態。
  • 燃料不足で、住民の6割が「ゴミなどを燃やして調理せざるを得ない」とされ、健康被害も懸念されています。

さらに、降り始めた雨でテントが傷み、泥濘のなかで生活する避難民の映像も多数報じられています。

4-3. 経済・社会への影響:復興ビジネスと「倫理」の両立

1)中東全体の安定とエネルギー市場

  • ガザやレバノンで停戦が安定すれば、原油市場のリスクプレミアムは少しずつ低下し、日本を含む輸入国にとっては燃料価格の安定要因になります。
  • 逆に停戦が崩れれば、イスラエルとイラン・レバノンなどを巻き込んだ広域紛争に発展するリスクが再び意識され、原油・ガス価格の急騰につながる可能性も。

2)復興需要と企業の役割

ガザの復興には、

  • 住宅・道路・電力・上下水道・病院・学校など、ほぼあらゆるインフラの再建
  • 太陽光や分散型電源、水処理技術などの導入

が必要になるとみられ、日本や欧州のインフラ企業・商社・建設会社にとっては大きなビジネス機会にもなり得ます。

ただし同時に、

  • 紛争当事者との契約・協力が、「一方の立場に肩入れしている」と見なされるリスク
  • 労働者の安全確保や住民への影響評価など、人権・環境・汚職防止への配慮

など、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点から慎重な検討が必要です。

サンプル:日本企業が考えたいチェックポイント

  • 契約相手は国際的に制裁対象になっていないか
  • 現地パートナーは、住民とのコミュニケーションや説明責任を果たせるか
  • プロジェクトの設計段階から、女性や子ども、高齢者、障害のある方の利用しやすさや安全性を織り込めているか

こうした視点は、単に「良いことをしたい」という気持ちを超えて、長期的に信頼されるビジネスの前提になっていきます。


5. 世界経済・金融市場と中国の「次の一手」

5-1. FRB利下げ期待で株高、円は「介入ゾーン」に張り付く

アジアの株式市場は27日、12月のFRB利下げ観測を追い風に上昇しました。

  • MSCIアジア太平洋指数は約0.4%高
  • 日経平均は1%超の上昇
  • 米株は感謝祭で休場ながら、前日のNY市場も主要3指数が続伸しています。

CMEフェドウォッチなどによると、市場は「12月会合で0.25%利下げ」が約85%織り込まれており、1週間前の30%前後から大きく確率が上昇しています。

一方で、為替市場では円が引き続きドルに対して弱含み、

  • 1ドル=156円前後と、政府・日銀による円買い介入が意識される水準に滞留
  • 財務相や日銀幹部の「必要ならあらゆる手段をとる」といった口先介入も相次ぎ、トレーダーは神経質な取引を続けています。

ビットコインは一時9万ドル台を回復し、「利下げ環境でのリスク資産」としての側面が再び意識されていますが、ETFからの資金流出などもあり、ボラティリティは高い状態が続いています。

5-2. 中国の次期産業戦略「Made in China 2035」構想

ロイター・Breakingviewsの分析によると、中国は「メイド・イン・チャイナ2025」の次段階として、AI・クリーンエネルギー・6G・量子コンピューティングなどを柱とした新たな産業国家戦略(仮称:Made in China 2035)を準備しているとみられます。

  • 中国はすでに世界の製造業シェア約28.8%を占め、EV・医療機器・船舶など多くの分野で世界トップクラス
  • 習近平政権は、2035年までにGDPを約2.8兆ドル→4割増の28兆ドル規模に引き上げる目標を掲げ、年率4%前後の成長を見込んでいます。
  • ただし、輸出主導に依存したこの戦略は、すでに顕在化している「過剰生産」「内需不足」「不動産不況」といった構造問題を悪化させ、対外摩擦も一段と高める恐れがあると指摘されています。

日本や欧州にとっての意味

  • 中国製EVや太陽光パネルが大量に輸出されれば、価格競争はさらに激しくなり、国内メーカーの収益圧迫や雇用への影響が避けられません。
  • 一方で、AI・6G・量子分野などでの協力・分業がうまく設計できれば、新しいビジネスチャンスも生まれます。

「デカップリング(分断)」か「デリスキング(リスク分散)」か――各国のスタンスが、今後数年の産業地図を大きく変えていきそうです。

5-3. カメルーンの財政赤字倍増:グローバル・サウスの再建コスト

アフリカのカメルーン政府は、2026年度予算案で、財政赤字がGDP比2.2%から4.6%へほぼ倍増する見通しを示しました。

  • 社会保障費やインフラ投資、治安対策などの支出が増える一方、歳入は資源価格の変動や税収の伸び悩みで追いつかず
  • IMFや世界銀行との協議も続いており、「持続可能な債務水準を維持しながら、開発投資をどこまで続けるか」が大きな課題

これはカメルーンだけの問題ではなく、多くの開発途上国が「債務負担」と「開発ニーズ」の板挟みにあることを象徴するニュースです。

日本やG7諸国は、インフラ輸出やODAを通じてこれらの国々と関わっていますが、「短期の受注」だけでなく、「相手国の財政持続性」に配慮した支援が求められていきます。


6. 米国の民主主義:トランプ流「報復」と司法の後退懸念

6-1. 470の個人・団体が「報復」の標的に

ロイターの特別調査によると、トランプ大統領は2期目に入り、「政敵を処罰する」という選挙公約を実際の統治の基本原則に変え、少なくとも470人・団体に対して、解任・捜査・予算削減・資格剥奪などの報復を行ってきたとされています。

標的になったのは、

  • 前政権に批判的だった検察官やFBI・CIA職員
  • 環境・人権・選挙の公正さを訴えてきたNGOや研究機関
  • 主要メディアや、政権に批判的な企業経営者

など、多岐にわたります。

経済・ビジネスへの影響

  • 行政機関の幹部が「政権の意向を忖度しないと更迭される」空気が強まれば、規制・監督が恣意的になり、市場の予見可能性が低下します。
  • 特定企業や業界が「敵」や「味方」とみなされると、投資判断や株価が政治ニュースに過度に振られかねません。

たとえば、

  • 再エネ企業や環境団体が標的となれば、気候変動対策のルールが急に緩和・変更される
  • ICT・SNS企業が政権と対立すれば、独禁法やコンプライアンスの名目で集中的に調査される

といった事態も考えられます。

6-2. ジョージア州、2020年選挙介入の刑事訴追を取り下げ

ジョージア州検察当局は、2020年米大統領選結果を覆そうとした疑いでトランプ氏を起訴していた刑事事件について、全ての訴追を取り下げると表明しました。

  • 理由として、「現職大統領が州裁判所に出廷するのは非現実的であり、訴訟を続けるのは無益で非生産的」と説明
  • トランプ氏の弁護士は「そもそも起訴されるべきではなかった」と歓迎

これにより、大統領に対する法的なチェックが事実上弱まる形となり、今後の政治・司法のバランスに大きな前例を残すことになります。

社会への影響

  • 支持者は「魔女狩りの終わり」と受け止める一方、反対派は「法の下の平等が崩れつつある」と危機感を強めています。
  • 米国の民主主義や司法制度に対する国際的な信頼にも影響し、同盟国の外交判断や市場のリスク評価にもじわじわ効いてきます。

日本から見ると、「政権交代や権力者に対するチェック機能」が揺らぐことは、為替や金利を通じて経済にも影響し得るテーマです。短期的な値動きだけでなく、中長期のリスクとして頭の片隅に置いておきたいですね。


7. 日本:高市外交とインフレ反映予算、弱い円とどう付き合うか

7-1. トランプ大統領「日中関係のエスカレーション望まず」

25日の高市首相とトランプ大統領の電話会談について、関係筋は「トランプ氏が高市首相に対し、日中関係のさらなる悪化は望まないと伝えた」と明らかにしました。

一方で、米紙が報じた「トランプ氏が高市首相に台湾問題で挑発的な発言を控えるよう助言した」との内容について、日本政府は「そのような事実は確認していない」と否定。官房長官は、「会談の詳細は外交上のやり取りであり、これまで説明した以上のことは控える」と述べています。

  • 高市首相の「台湾有事は存立危機事態となり得る」との発言で日中関係は急速に悪化
  • 一方で、米中首脳の接近もあり、「日米同盟を維持しながら、対中関係をどこまで安定させるか」という難しい舵取りが続いています。

7-2. 2026年度予算は「物価上昇を適切に反映」

高市首相は経済財政諮問会議で、「成長型経済への転換を図るにあたり、2026年度予算は物価上昇を適切に反映したものにする」と発言しました。

  • これまで日本の予算は、「デフレ前提」の支出構造が続いてきた部分があり、物価・賃金が上昇しても、公共サービスの単価や人件費がなかなか追いつかない状況がありました。
  • 今回の方針は、教育・医療・介護など公的サービスの現場で働く人々の待遇改善や、インフラ維持に必要なコストをきちんと予算に反映させる意図があります。

ただし、

  • 物価上昇をそのまま予算に乗せれば、国債発行や財政赤字の拡大につながるおそれ
  • 金利上昇や円安との兼ね合いもあり、「どこまで積極財政を続けられるか」が今後の焦点になります。

7-3. 弱い円と家計・企業への影響

円は依然として1ドル=150円台後半と、「介入ゾーン」と呼ばれる水準にあります。

家計への影響(例)

  • ガソリン代や電気料金、輸入食品価格の上昇
  • 海外旅行や留学費用の増加
  • 一方で、外貨建て資産や海外株式を持っている人にとっては評価益が出やすい

企業への影響(例)

  • 輸出企業:円安で売上・利益は増えやすいが、原材料価格や海外での評判リスクも考慮が必要
  • 輸入企業:コスト増に耐えきれず、値上げか収益悪化かの選択を迫られる
  • 中小企業:為替ヘッジの手段が限られ、急激な円安にもっとも傷つきやすい層

高市政権は、「責任ある積極財政」と「為替の安定」の両立を掲げていますが、香港火災やウクライナ和平、中東情勢など外部要因も絡むため、簡単な舵取りではありません。


8. 今日のニュースを「自分ごと」にするヒント

最後に、今日ご紹介したニュースを、私たち一人ひとりの暮らしや仕事に落とし込む視点を、いくつか具体例でまとめますね。

8-1. 仕事・キャリアの視点

  • 香港火災 → 建設・不動産・都市計画・防災分野では、「コストと安全のバランス」を再定義する議論が広がります。
  • ウクライナ和平・中東情勢 → エネルギー・物流・保険・商社・メーカーは、複数の地政学シナリオを前提にした事業計画が必要に。
  • 中国の次期産業戦略 → 製造業・IT・自動車・再エネ業界の方にとって、「中国とどう付き合うか」は避けて通れないテーマです。

サンプル:こんなアクションから始めてみる

  • 自分の業務に一番近いニュースを1つ選び、「会社にとってのリスク」と「チャンス」をそれぞれ3つ書き出してみる
  • 社内ミーティングで、5分だけ「世界ニュース共有タイム」を作ってみる
  • 部署のメンバーと、半年に一回「世界情勢×自社ビジネス」の勉強会を開いてみる

大きな戦争や世界経済の話も、「自分の仕事」と紐づけて考えると、一気にリアルになります。

8-2. 家計・投資の視点

  • FRB利下げ・円安・ビットコインの値動きは、「ローン金利」「預金金利」「投資商品のリスク」に直結します。

今できる小さなチェック

  • 住宅ローンやカードローンの金利タイプ(固定・変動)と残存期間を確認してみる
  • 自分の資産のうち、「どれくらいが日本円建てで、どれくらいが海外資産か」をざっくり計算してみる
  • 投資していなくても、「なぜ電気代や食料品が値上がりしやすいのか」を、ウクライナ・中東・円安のニュースと結びつけて考えてみる

難しく感じたら、「きょうのニュースのうち、家計や仕事に一番関係ありそうなものを1つだけ選んで深掘りする」くらいでも十分です。

8-3. 社会・コミュニティの視点

  • 香港火災やガザのテント生活は、「災害時に誰が一番弱い立場に置かれるのか」を教えてくれます。
  • トランプ政権の報復キャンペーンや、ウクライナ和平をめぐる情報戦は、「どの情報を信じるか」という私たちの選択にもかかわります。

サンプル:身近なところから

  • 自治体やマンションの防災訓練に、1回だけでも参加してみる
  • 家族や友人と、「もし避難しなきゃいけなくなったら、どこに集合する?」と話してみる
  • SNSで見かけた政治・国際ニュースを、そのまま信じずに、発信元や日付を確認する習慣をつけてみる

世界ニュースを追うことは、遠い国の出来事を眺めることではなく、自分の暮らしと社会をよりよくするためのヒント集めでもあると思います。


参考リンク集(英語・日本語)

詳しく読みたい方のために、本文で触れた主な記事を、いくつかピックアップしておきます。ブラウザ翻訳を使うと読みやすくなります。

投稿者 greeden

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